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推理小説の作り方(ちょっとだけ)わかります⑥ あとがき

 というわけで、『推理小説の作り方(ちょっとだけ)わかります』というタイトルで続けてきたエントリーも、これで一段落となります。長々とお付き合いいただいて、本当にありがとうございました。

 以下、3点ほど補足を挙げます。

目次
1. 自分なりのやり方を見つける
2. 出発点は何でもOK
3. セオリーを破るその日まで


1. 自分なりのやり方を見つける

 繰り返しになりますが、そもそも書きたい小説が違えば、その書き方も違ってきます。なので、僕が紹介したやり方が万人向けのベストだとは決して考えていません。

 こういうやり方もあるのか、という程度に参考にして、ぜひ自分に合ったやり方を見つけてください。

 それにはやはり自分で実際に作品を書いて、その繰り返しの中で感触を積み重ねていくしかありません。

2. 出発点は何でもOK

 今回の一連のエントリーでは、

 プロット編 → 登場人物編 → 文章編

 といった順序でミステリの作り方を紹介してきました。

 しかし、これはこの順序で紹介するのが一番わかりやすいだろうと考えたからそうしただけで、必ずこの順序で作るべき、ということではありません。

 「奇想天外なトリックを思いついた」とか、「こんなキャラクターを出したい」とか、「この感情をユニークな表現で描くのだ」などなど、最初の出発点となるアイディアは何でもOKです。

 実際僕もこれまでに、人物、トリック、クライマックスシーン、二つ三つの台詞、書き出しの一文など、いろいろなアイディアを出発点にして長編や短編を書いています。

3. セオリーを破るその日まで

 そして、最後に矛盾するようなことを言いますが。

 真に新しいものを生み出そうとすれば、いつかはそれまでのセオリーを破ることが必要だと思います。

 自分の中で確立された方法論というものは効率的で便利な反面、あまりこだわりすぎると、今度は新しいチャレンジがしづらくなる恐れもあります。こうしたらおもしろそうだけど、これまでのセオリーに沿わなくなるし……といったように。

 ですが、どんなに洗練された方法論も、いつかは必ず古くなります。

 何かを変えなくてはならないときは、必ず来ます。そのときに従来のやり方にこだわりすぎて、新しい作品を生み出す機会を損なうのは大変な損失ですし、みすみす成長の機会を逃すのも非常にもったいないです。

 僕もいつか、ここで紹介したやり方やセオリーを自ら破るべく、これから先も書き続けていければと考えています。


 ……というわけで、全6回に渡って長々とお付き合いいただきました本エントリー「推理小説の作り方(ちょっとだけ)わかります」も、ひとまずこれで幕となります。本当にありがとうございました!

 軽い気持ちで始めてみたものの、いざ書き出してみるとなかなかにカロリーを使うしんどい仕事になってしまいましたが(笑)、「参考になりました」「刺激をもらえました」という応援もたくさんいただけて、今ではやってみてよかったなと思えます。

 この一連のエントリーを読まれたすべての方に、

「推理小説の作り方、(ちょっとだけ)わかりました!」

 と思っていただければ幸いです。


『推理作家(僕)が探偵と暮らすわけ』
本記事とあわせて読めば、推理小説の作り方がもうちょっとよくわかるかも。なにとぞよろしくお願いします。


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