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近況と雑感

えらいことになってから、随分と月日が過ぎたような気もするけど、カレンダー見てみると、まぁ大して時間は経っていない。

生活や仕事はこの2ヶ月ほどで大きく変わったと言えば変わった部分もあるけど、私自身は大して変わってない。いわゆる外出自粛している他は、ライブやイベント、興行の仕事が無くなったことと、会社の行く先や近しいスタッフや音楽家たち、ライブハウスの人たちなんかのこれからの生活のことを案じていることくらい。

コレをきっかけに大切なことに気づいた、とか、今出来ないことをとても大事なことだったと思う、とかもあまり実感として無いかも知れない。不感症なのかな。

もともと大事なことは大事、と知っていたということにしておこう。

世界各地から悲しいニュースがなだれ込み、近いところでも誰かが廃業したとか、アレが原因で差別が起こったとか、あちこちから色々聞こえてくるけど、薄眼で観てる。辛いね。右往左往しているように見える為政者に腹立つこともあるけど、そんなん前から同じで、腹立つと同時に感謝してることも多少はある。

イメージで簡単に人の政治思想に干渉する人は好きじゃないし、同時に、ホントに全ての人が声を上げる機会を潰してはいけないと思う。生活はみんな違うんだから。

こんなご時世、行く先明らかにヤバそうなのに、一応ちゃんとやることあって毎日生きてる実感あるのは、関わってる多くの人たち(あるいは、コレを読んでいるあなたたち)の支えあってこそだと思うと同時に、私はただただ、目の前のやることしか元々やってないし、それしか出来ないから、ちょっとずつ出来ることを増やす努力だけはずっとしてるから、まだギリギリ頑張れてる。

とにかくシャバ(ライブの現場とか、華々しい芸能チックな場所)から、すごく遠ざかってるので、そこが恋しいというよりは、忘れつつある。すぐ忘れる方なので。華々しい芸能チックな場所は、感覚的にもう3年以上離れてるかも。

毎月家にわざわざ送ってくれるJAPAN誌(連載してます)を読んで、若手バンドの写真とかインタビュー読んで、キラキラした彼らをちょっと心の中で応援してみたりとか。

六本木ヒルズとか、表参道とか、三茶のバーとか、昔は当たり前だった景色を忘れてるなぁ。みんな元気かなぁ。

えらいことになる数年前から、何となく自分の「新しい生活様式」の試行錯誤を繰り返していた私は、苦労も尽きないけれど、得るものの多さに身震いがする毎日。

「専業ミュージシャン」として成し得た成功のリスクは、音楽を作ること以外は何も出来なくていい、という状態を長く続けたことだった。

音楽以外からのインスパイアは無くなり、音楽のためだけに生きていたんだろう。それはそれで素晴らしいけど、こんな時代にそれでは他人に迷惑掛かるし、あと何よりも勿体ない。

ステージ上で感じる「孤独」や、楽曲制作の渦中で感じる「孤独」は、時に気持ちの良いものだったりもする。

それは、多分私自身が、「私にしか見えていない場所」に居るからだ。だから、それは私が普段毒蛇の研究をしたり、オイカワやアブラハヤを捕まえたりしていることとあまり変わらない。誰に話しても相手にされないものだ。

それでも、やり切ると、必ず何かになるということは、私は音楽を作ることをもって、それを良く知っているつもりだ。余裕なんてぶっこいたことない。毒蛇の研究でさえ、洋書翻訳しながら読んでるくらいだから。誰のためでもなく。

世の中の「成功」や、「豊かさの基準」みたいなものが、これから大胆に変わっていくことだろう。

音楽の魅力は、それはそれは変わらないように思う。元々素晴らしいものは、絶対的に素晴らしい。そして、その素晴らしさに埋もれている、まだ誰にも発見されていなかった素晴らしさに、誰かが気付くだけなんだろう。

『thaw』のCD、来週発売なので買ってください。未来への投資だと思って。

下のリンク、私が教員を勤めている大学の学長のインタビュー記事です。雇い主の話なんで忖度くさくてちょっと躊躇しますが、えらいことになってから読んだ記事で個人的にいちばんおー、と思った記事です。

https://t.co/NefBWU7lZF

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