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ガチ恋「アイドルと結婚したい」は、本当に『アイドルと結婚したい』のか?

 まずこれを書いている私は24歳の女。昔はアイドル、俳優とかそういったステージの上に立つ人が好きだった。当時、ガチ恋勢の一人として、とある界隈の男性アイドルに私生活も収入(といっても大学生でできる範囲のレベルだ)も何もかも注いでいた。(やりすぎて当時は掲示板などで叩かれたりもしていた)。その当時も彼氏のようなものは出来た事はあるけど、担当(推し)に比べるとそんなにのめり込めなかった。今はもうガチ恋だのなんだのにつかれてしまってそんな片鱗もない。恋愛的な何か、あるいは人生に対して余生だと思っている。【Twitterでプチバズってしまい、私固有の悩みと重なるところも多くあまり広く読まれたくないので限定公開にしました。→試験的に限定解除しています。追記ご確認ください】

 今回、ノートを書くきっかけとなったのは、とあるネットラジオ番組で「『○○(アイドル)と結婚したい!』という人はなんなんだ?本当にそう思っていないのではないか」といった話題が上がったから。その番組では「アイドルは幻想、ファンタジーの存在。結婚という現実的な言葉、いうなれば制度として結ばれたいという欲はかなり矛盾しているのではないか?」と続けられた。この言葉は、「アイドルにガチ恋という気持ちがわからない」人から発せられているのだが、「アイドルにガチ恋したことがある」私の考えとしても、『アイドルと結婚したい!』という言葉は必ずしも言葉通り、本当に結婚したいというわけではないように思う。

 思えばガチ恋時代、多くのそうでない知人から「付き合えるわけでもないのに」「報われないのに」と言われていた。当時、"成人しているにも関わらずアイドルに夢見がちな少女趣味の痛い女"という目で見られていることもわかっていたし、ガチ恋なんていうものは夢でしかないことは、正直ガチ恋側の自分が一番よくわかっていた。(夢女子なんて自称もあるくらいだし)。

 ではなぜ、夢だとわかっていながらも、「結婚したい/付き合いたい」と現実的な欲求を口にしていたのか。いわゆるオタクでない友人からは、異性アイドルに年間100日近くも会いに行ったり、CDや写真を何枚も買ったりする行為は「恋」と捉えられる。もっともなことだ。「付き合いたいという意味で好きで、追いかけている。○○くんと結婚したい」。これは一般的にテキスト通りに解釈した「アイドルと結婚したいオタク」だろう。だが、私の思う「結婚したい」は「アイドルとオタクという関係性が永遠でありたい」という祈りに近かった。オタクの言葉はいつも飛躍しがち。

 思うに、ガチ恋オタクの実情は恋だの愛だのそういったものではなくて、宗教みたいなものだ。ガチ恋/リアコしてた頃、ガチ恋オタク同士で集まるとよく「アイドルは救いだ」という話になった。これは私の周囲だけかも知れないが、アイドル界隈でのオタクの友人はみな自己肯定感が低くコンプレックスを持っている人間が多い。私も例外ではない。見た目に自信がなかったり、学業に挫折したり、親や友人にチヤホヤされて育ってきたとしても何か自己肯定感をへし折られるような経験をしたり――。何かにつけて精神的に脆い人間が多かったように思う。

 だが、アイドルはお金さえ払えば笑顔を振りまいてくれる存在だ。彼らは一切、私のことを否定しない。もちろん直接的な肯定をしてくれるわけでもないが、否定されないことが保障されている。どれほど気楽で気持ちのいいものか。自分では認めてあげられない自分を、お金さえ払えば認めてくれる。「救い」だ。かっこよくてみんなに人気者の、たくさんファンがいる○○くんが愛されている○○くんが私を認めてくれる。アイドルに生活や収入を丸投げすることは、自己肯定感を高めるための投資みたいなものだった。

 そして、アイドルとオタクという関係性は非常に楽なのだ。なぜなら私は他人の評価が怖くて他人とまともに向き合えない。否定されるのが怖いし、夢を見たい。私のことを認めてほしいけど、本当の私は何もなくて空虚な人間で、見た目も頭も性格も悪い。良いところがない。ただ、アイドルだけは私を否定しない。お金を払ってアイドルと向き合っているこの時だけは、私は私として認められたような気持になる。この否定されない逃避的関係性が永遠に続いてほしいという幼稚な願い。だから「結婚してほしい」になる。結婚はまあ一般的に生涯の伴侶とかいうくらいだし。半永久的に、それこそ法律でも認められていて関係性を永続させる魔法の言葉のようなもので。

 本当に文字通りの結婚したいわけじゃなくて、都合よく、受け取りたいように受け取らせてくれて、幻想のままでいて、否定しない関係性でいてくれって思うわけだ。本当に籍を入れたいとかじゃない。付き合うとか考えるだけでおこがましいけど、普通の人とだって真剣に向き合うのは怖いし、私の内実なんて誰にも見せたくないし、知ってほしくない。好意だとしても悪意だとしても、自信がないから他人から感情を向けられたくない。自分以外の感情なんていつどうなるか予測もできない。怖い。アイドルなら否定されない代わりに、振り向かれる可能性もほぼ0だ。私に感情を向けられることがないから安心できる。だから「アイドルと結婚したい」。アイドルもオタクからの求婚に「応えられない」と言うだろうが、それでいいのだ。応えられなくていい、応えてもらえなくていい。拠り所として、アイドルで居続けてくれればそれでいいし、それがいい。

 「永遠に向き合いたくないから、このままでいたい、アイドルとファンの関係性のまま結婚して!」なんて正直なところ、めちゃくちゃ低俗だし稚拙だしバカな欲求だと思う。「現実なんて見たくない!」の言い換えみたいなもんだし。と、まあこんなこと言ってても、オタクなんていつか飽きて推し変したりサクッとオタク辞めたりするもんだから、他人を対象化できれば誰でも良かったりする。

 あと書いてて思ったけど私は「ガチ恋オタク」って名乗ってただけで本当はただの「限界オタク」だっただけでは……本当に文字通り「結婚したい」と思ってるオタクがいたら(というか絶対にいるはず)ごめんなさい。

――――――――――――― 

追記 2020/6/23 

最近またアイドルを好きになってしまったので全文公開にします(助けてくれ)。本文は執筆時点ママ、編集は入れていないです。有料期間にご購入くださった皆様、ありがとうございました。詳細の理由は以下から。。



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コメント (3)
程度の違いはあるかもしれないけど、結構な割合の人たちが言う「(俳優とかアイドル)と付き合いてえ~」って発言にも同じような意味合いがあるんじゃないかと思いました。音楽が魔法じゃない話と同じで、アイドルもそこに存在しているだけだからいい。勝手にこちらが救われたように思うだけ。それでいいのだと思います。そしてそれが私たちの楽しみ方であって他の人の楽しみ方を否定はしない、ということですね。
文章にも魔法的な作用があるなあと、この記事を読んで思います。面白かったです!
そうそう!そうだといいなと思います!メンタル的な意味での思いの違いはあれど、やっぱ偶像に何かを重ねて、何かを感じて、勝手に救われてる。し、それでいい。そういう楽しみ方もあるから、必ずしも結婚したいはテキスト通りに受け取れるわけじゃないと思ってます。音楽も文章も写真も、感性に何かを訴えるものは全て魔法ですね!!最高!ありがとうございます!
オタク、リアコの心理の一側面としてとても興味深く、文章そのものも面白かったです。自身の分析では考えつかなかった目からウロコの知見を得られました。こちらのnoteにも反応ありがとうございました。
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