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女性の活躍機会(雇用・昇進)について思うこと

ダイバーシティ推進の重要性が謳われる昨今、その本来の目的の達成に向けて女性の雇用や昇進に対してどう考えるべきか、自分が思ったことをまとめます。

1. なぜ女性の活躍機会の創出が重要か?

 ざっくりした理由は、「家庭と仕事の両立が難しい」「雇用する側のバイアスがある」からです。

1) 家庭と仕事の両立が難しい
 結婚し出産した場合、体力・時間の面から仕事に割けるエネルギーが低下してしまいます。出産・育児には相当な時間と労力を伴います。少なくとも妊娠から小学校入学までの7年間は、子育てと家事で一日があっという間に終わる生活になります。加えて、子供の行動の全てに親が責任を負うことになり、精神的な負担も掛かります。この状況では、自身の昇進に向けて仕事に十分なエネルギーを使うことが困難になると想像できます。また、その後に職場復帰した際は出産前からのポジションでスタートすることになりますので、待遇面では相乗的に不利に働く訳です。このように、体力・時間の面から現実的に男性との間に不平等が生じてしまう、ということです。

2) 雇用する側のバイアス
 雇用者は、長期的に高いパフォーマンスを発揮できる労働者を求めています。その前提からすると、
① 結婚して家庭に入る可能性がある。
② 結婚後に離職しない場合でも、数年に渡り出産・育児休暇を取られる。
③ 一般論として体力的に男性より劣る。
という点で、どうしても女性の方が就職する際に不利に働く場合があります。もちろん業界によっても異なりますが、昭和時代ではこういった考え方の民間企業が多かったことと思います。

上記のように、現状では女性と男性が全く同じ条件で就業・昇進の機会があるとは言えないため、対策を講じる必要がある訳です。


2. 女性の労働条件の改善に向けてどんな取り組みが有るか?

 日本には大前提として男女雇用機会均等法がある上に、政府が「2030年までに女性管理職を全体の30%にする(2020)」という目標を掲げたように、女性の雇用環境の改善に努めています。民間企業や大学が行った対策は、“ケア”と“フェア”に2分類出来ます。
・ケア:女性に掛かる負担を理解し、仕事量や責任を減らす等の配慮を行うこと。
・フェア:性別に限らず、責任のある仕事やポジションの割り振りを平等に行うこと。
 ジェンダー論の専門家は、この“ケア”“フェア”を両立させるように訴えている訳です。民間企業や大学は、このケアとフェアを両立させるために、「女性の管理職の割合を増やす」「同等の能力が認められた場合は女性を優先的に雇用する」等、数値的な目標を据えた取り組みを行っています。


3. ジェンダー論について思うこと

 ここからは、世の中に吹聴されているジェンダー論をどう捉えるか、雇う側はどう対応すべきかを書きます。まずはジェンダー論について書きます。この考え方に、私は疑問を持たずにはいられません。理由は、3つの観点から論理破綻している部分があるためです。
 1つ目は、ジェンダー論の目標の実現可能性の低さです。先程書いたように、専門家はケアとフェアの両立を推進しています。しかし、それぞれの意味を見てください……ケアとフェア、真逆のことを言ってますよね。この両立は、言い換えると「仕事量と責任を減らしてポジションを確保しろ」と言ってる訳です。これは無理があると思います。ポジションが上位になると責任が伴います。時間を掛けて部下と向き合い教育すべき立場ですし、チームで何か問題があった時は知識と経験に基づいて適切な判断を下す必要があります。そうなると、必然的に仕事量も増えます。よって、単に“女性だから”という理由だけで管理職に就ける仕組みを作ってしまうと、組織としての成長が停滞し、収益の低下に繋がる可能性があります。要は、”ケア”と”フェア”は両立すべき要素ではなく、虻蜂取らずにならないよう注意すべきトレードオフの関係にあると言えます。
 2つ目は、評価方法が曖昧な点です。ジェンダー論の専門家はよく「世界から見た日本の女性進出指数は100位以下で問題だ」と言います。ただ、果たしてこれは本当に問題なのでしょうか。確かに、GDPなどの経済指標は定量的で比較対象がはっきりしているので、国毎に客観的な評価が行われていると思います。一方で、女性の社会進出の評価基準はとても定性的であり、せいぜい定量的なのは“女性管理職の割合”“女性労働者の占める割合”などでしょう。しかも、女性の生き方に関する文化や歴史、働く意義は国毎に異なりますので、そもそも女性管理職の割合については国間で比較すべき指標ではないと思います。逆に、このように定量的に比較が難しい概念を無理に数値化することで、形骸的な”女性管理職を○〇%以上にする”といったルールが作られてしまう訳です。よって、順位に基づく女性進出の国際的な立ち位置については参考にする程度に収め、この数値によって方針を大きく左右する必要は無いと私は考えます。
 3つ目は、対象とする女性の志向を分別していない点です。恐らくこれが一番大きな観点です。専門家の問題点として「女性は誰もが出世したい」という前提で論理展開を行っている点が挙げられます。もちろん、責任感を持って大きい仕事をしたい、自分の力で高収入を得たい、といった女性もいます。その一方、地元でのんびり働きたい、家庭に入った後は軽い仕事をしたい、専業主婦になりたい、といった考えを持つ女性が居るのも事実です。このように、色んな志向があるにも関わらず「とにかく女性管理職を増やして進出を促進しろ」というのは極論過ぎる気がします。 以上の理由から、私はジェンダー論に好意的な考えを持っていません。これらの専門家は、自身の“女性の味方”としての立場を明確化し、かつ研究実績を積まないと生き残れないので、声を大にして上記の論調を広げる必要があるのだと思います。これは構造上の問題なので致し方ないですが、私達はその前提を以て、ジェンダー論の専門家の話を聞くことが大切だと思います。


4. 現状の取り組みについて思うこと

 次に、世の中の現状の取り組みについてです。先程の述べた通り、現状では“女性従業員の割合を増やす”“女性管理職の頭数を確保する”といった数値目標の達成をゴールに設定するケースが存在します。大学教員の公募情報を例に挙げます。

・A大学「○○教養学部において、女性限定で分野を問わず助教を公募します。」
→ この情報を見て、皆さんは何を思いますか?私は問題のある公募内容だと思います。“女性の頭数が揃えば良い”という意図が明らかに伝わってきますし、能力ではなく“女性だから雇う”というのは女性に対しても失礼だと思います。

続いて、以下の例はどうでしょう。
・B大学「○○学の△△分野の研究・教育ができる助教を公募します。同等の資質が有る場合、女性を優遇します。」
→ このケース、私は有りだと思います。これは、研究ポストが空いて新しい研究者を探しており、能力を判断した上で女性の就労の難しさを考慮した”ケア”を行っている構図になります。

 もちろん、本当の意味でダイバーシティに配慮し、公正な形で人事を行っている企業等もたくさん有ります。特に、グローバル系企業や外資系などは上手に戦略を練ってるなと思います。ただ、女性の雇用や昇進に関しては大学Aのように“数値目標を達成するために致し方なく行っている場合がある”ことも事実です。

5. 女性の雇用・昇進をどうすべきか

 上記の現状から、私はもっと柔軟に、個人の事情に応じて“ケア”と“フェア”を女性側から選んで貰う論調になれば理想だと考えています。先程書いた通り、世の中には色んな志向を持った女性がいますので、各々の目指す形に応じて“ケア”と“フェア”を使い分けることで、女性の満足する雇用環境を維持しつつ、経済発展が期待できると考えます。具体例として、添付のフローチャートを参考に分別することをお薦めします。

無題

1) 結婚して家庭を持ちたい+仕事の責任は軽くしたい
→ 家庭での時間を確保できるよう、ケア面を重視した雇用を行う。
2) 結婚して家庭を持ちたい+育休後は元の職場に復帰できれば良い
→ 家庭の時間をある程度確保できるようケア面を重視しつつ、能力があればフェアな視点で適切に評価する。
3) 結婚して家庭を持ちたい+元の職場で夫と同程度にキャリア展開したい
→ 能力があればフェア面を重視してポジションを準備しつつ、緊急時は限定的なサポートをケアとして行う。
4) 結婚しない+キャリア展開したい
→ フェア重視でポジションを準備する。
5) 結婚しない+地域職など責任感(ストレス)の小さい仕事をしたい
→ ケア重視でペースに合わせて仕事配分をしつつ、フェアな視点で能力に見合ったポジションを準備する。

 上記のフローチャートのように、対象とする女性の志向に応じて適切にケアとフェアを分別することで、ワークライフバランスを重視した、性別に依存しない労働環境の確保を実現出来るのではないかと考えます。


6. まとめ

 ”女性の雇用と昇進”のテーマにどのように向き合うべきか、現状やジェンダー論の考え方など色々な視点から書きました。繰り返しになりますが、数値目標を達成するだけの女性優遇は何の意味も無いと考えます。キャリア展開を目指す場合は能力に応じて適切(フェア)なポジションを用意する、家庭を重視したい場合は体調面を考慮した優しさ(ケア)を以て対応する等、女性の各事情に応じて“ケア”と“フェア”を使い分けることが重要だと思います。コロナウィルスの感染拡大で、効果的な在宅勤務の方法や活用法が模索されています。この流れに乗って、家庭と仕事を両立させる女性の働き方について再検討出来れば良いなと思う限りです。今後、皆様の理想的な働き方が確立されれば幸いに思います。

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企業の研究員です。修士課程と異なる分野の博士課程に進学し、海外留学を経て博士号を取得しました。D進を検討中・博士課程在学中の方々に、自身の記事が少しでも参考になれば幸いに思います。