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植田寿乃連載『令和を活きる、未来を拓く』第47回 「賞賛」ではなく「感動」を求めて  ~お腹から出る声、口先だけの声~

「立て板に水のような話し方で、すごいと拍手されてもそれだけだよ」
「アナウンサーがニュース原稿を読むようなしゃべり方では聞きざわりは良くても印象に残らないよ」
「正確にただスキルやノウハウを伝えるだけなら、AIで十分だよ」
植田道場で20年以上飛び交ってきた私からのメッセージですが、新規事業で10分以内の心を応援する動画作成に取り組むメンバーが増えたため、「気づきと変化を導くために感動を与える」この原点立ちに改めて立ち戻っています。そしてこれは、皆さんが、周りの人に気づきや変化を望みながら想いを伝える時と共通することでもあります。

★拍手を求めるパフォーマンスは所詮ひとりよがり

 「さすがですね」「すごいですね」プレゼンテーションの後、講演の後に拍手をもらい、名刺交換の列ができたことを満足げになっていた40代の私がいました。自分が知識や身に着けてきた経験や知識を自分流にまとめて、価値があることを思う存分語り、賞賛を得ること、それだけを追求していた頃、私は聴いている人達への想いが決定的に欠如していました。スポットライトを浴びて、舞台にたち、最高のパフォーマンスをすることだけに集中し、その結果で一喜一憂していたあの頃は、自分の成長を周りに承認され、賞賛されることが最大の喜びでした。自分中心に、ただ自分が言いたいことを、一生懸命話していたにすぎません。聴いている人の表情も見ず、最後の拍手と、アンケート結果が5段階で、5が付くことばかりを気にして。私の話した内容は、聴いている人の心に届いていたのでしょうか?たぶんあまり届いていなかったはずです。皆さんが、プレゼンテーションや、ミーティングなどで何かを発表したり伝えたりする時に思い当たることはありませんか?

★スポットライトを捨て、意識を相手に集中する

50歳を過ぎて東日本大震災を経験してから、私はセミナーや講演を登壇するときに、「全身全霊」という言葉を使うようになりました。自分自身がスポットライトを浴びることを手放し、全身と心を込めて目の前の人のために伝えることの素晴らしさ、重要さを日々体感しました。できるだけ、一人一人の顔を見て、その表情、変化を見ながら伝えていく。最初無表情だった顔が、自然体の笑顔になっていたり、身を乗り出して目がキラキラしていたりしたら、その人の心にメッセージが届いて、何か変化が起きていることがわかります。
アンケートの評価ではなく、自由に感想を書いてもらう欄が、沢山埋まっている時、わたしの伝えたことが、その人の心に響く意味のある時間になったのだなと感じます。心に響いた、気づき変化に導けたと実感することこそ、この上ない喜びであることに気づきました。

★感動を与えられた喜び

「10年前に、植田先生の講演を聞いて、人生観が変わりました」
「30代の時に、植田先生のセミナーを受けて、その時に自分自身のことが本当にわかって・・・」
かつてのセミナーや講演の受講生から、こういう言葉を、たまに聞くようになり、「その時、私は、深い感動を与えることができたんだ。いい仕事したんだ」と自分を褒めたくなりました。表面的ではなく、深くその人の心に響いたからこそ、人生の素敵な変化を応援できた、気づきに導くことができました。この喜びを味わい続けられるように、これからも生きていきたいと思います。この喜びは、皆さんが大切な人の人生を応援する場面と共通することではないでしょうか?

★お腹から出る声、口先だけの声

「自分の考えや知識ではなく、想いを伝えないと!」
「頭からではなく、心からの声を出さないと!」
「声が軽くて早口で何も残らない。腹から声を出して!」

心に届く伝え方とはどんな伝え方なのか、実は私たちは体感しているはずです。自分の声が、お腹の底から出ている時、つまり、お腹から胸を通ってこみ上げるように言葉となっている時、私たちはゆったりと味わうように間を取るような話し方になります。そして、自然に体が動きます。身振り手振りでお腹の底から湧き上がった言葉を表現します。相手の心に届くような話し方です。
頭で考えたこと、蓄積された知識などを話している時、私たちは口元だけが動きます。ワントーン高めで、抑揚がなくなり、どちらかというと早口になります。そして体はほとんど動きません。テクニックとして身振り手振りをしても、ロボットのような不自然さが残ります。

★聞いている人の表情から気持ちを想像する

 聞いている人の表情を見ていたか?見る余裕がなかったのなら、心に伝わるわけがありません。ただ見てるだけでも足りません。その表情からどんな気持ちでこの場にいるのか想像することが大切です。心が閉じているのか、開いているのか、モチベーションが高いのか低いのか、積極的に話を聴きたいと思っているのか、そうでもないのか、非言語のメッセージの情報量は沢山あります。それを受け止めた上で、心の扉をノックしていくように伝えていくことができれば、必ず心にメッセージが届けることができます。

 私はセミナーや講演の登壇でなくても、ちょっとしたミーティング、1対1での相談ごとを聴く時などに、この伝え方を意識しています。相手に心に届く、伝え方が日常的にできるようになれば、周りの人との関係は、素敵に変わっていくと思いませんか? お腹から声をだして体を使うこと、相手の表情から気持ちを察することを意識しながら伝えてみませんか?

 
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