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経営陣が語る、スタートアップの経営統合から資金調達までの道のり

当社、コンテンツプロデュース事業を展開する株式会社Mintoは、アニメ・漫画×SNSの株式会社wwwaapと、グローバルキャラクタープロデュースの株式会社クオンが経営統合し22年1月に誕生しました。また、経営統合からわずか約4ヶ月で株式会社カカオピッコマ、既存株主の三井住友海上キャピタル株式会社、みずほキャピタル株式会社、株式会社株式会社オー・エル・エム・ベンチャーズより、総額約6.6億円の出資をいただきました。

経営統合および資金調達という大きなイベントをどのように歩んできたのでしょうか。今回は、その道のりについて経営メンバーにインタビューをしてみました。

Q)まずは、「株式会社Minto」設立の経緯を教えてください。

水野(Minto代表取締役、以下水野):国内外でSNS向けのキャラクタープロデュースを行うクオンと、SNSと漫画を活用したマーケティング支援を行うwwwaap(ワープ)の2社が経営統合してできた会社です。技術革新や価値観の変容から生まれる新たな機会を通じ、クリエイターとともに、世の中に面白さとインスピレーションをもたらすことを目指しています。
株式会社Minto

Q)いつ、どのような経緯で経営統合することになったのでしょうか。

中川(元wwwaap代表取締役、現Minto取締役、以下中川):2021年5月末、代表水野と会食の機会がありました。そこで水野から声をかけてもらったことがきっかけです。翌日、高橋(元wwwaap共同代表COO/現・Minto取締役COO)に相談し、高橋もその翌日には即決でした。 水野とはもともと3〜4年前から付き合いがあり、お互いの情報を惜しみなく共有し合っていました。中国出張も2度ほど一緒に行かせてもらいましたが、その時に中国含めアジアの急成長ぶりを肌で感じ、日本の“お家芸”である漫画・アニメ・キャラクターも、このままでは簡単に追い抜かれる未来に危機感を抱いていました。

例えば上記は中国でSNSで1760万フォロワーを超える萌芽熊童子(ドーロベア)というキャラクターです。この動画はTV向け等ではなくSNS配信用の動画ですが、それをこのクオリティで作り続けています。2018年の上海ライセンシングエキスポではこのレベルのSNSキャラが多数あり、衝撃を受けたことを覚えています。(*現在ドーロベアはMintoで日本国内展開を独占契約し、Tik Tokが70万フォロワー超)

Q)なぜ、水野さんはwwwaapと経営統合したいと考えたのでしょうか。

水野:理由は2つあります。1つは海外やWeb3関連で手応えや成長がみえてきてたものの、大きな波を作れるようなコンテンツプロデュースを続けるためには、土台となるBtoBのビジネスが必要だということです。私が知る限り、この業界で独自の方法でクリエイティブ×SNS×BtoBビジネスで最も成功させていたスタートアップがwwwaapでした。実は、クオンとしても同じ事業をやろうとしたこともあったのですが、なかなかうまく行かなかった(笑)。だったら「一緒にやりたい」と思いました。

もう1つは、クリエイターの“ネットワーク力”です。クオンはスタジオ形式でクリエイターを社員として雇用していたのですが、これからはより多様な関わり方で、クリエイターとビジネスを行う必要があると思っていた中で、wwwaapはSNSで活躍する漫画家やアニメーターをおそらく世界で1番と言っていいほどネットワークしており、そのネットワークやノウハウが魅力的でした。

wwwaapの取引実績例

Q)その他にも、魅力に感じた点があったのでしょうか。

水野:はい、それはwwwaapのビジネス構築力です。コンテンツ業界でBtoBのビジネスを構築することはすごく難しい。その中で、高橋を中心にSNS広告のアライアンスを強化し事業化を推進しています。新たな市場を作ってきた力は本当にすごいと思います。

それから、もう1つは誠実さです。お会いしたすべてのwwwaapメンバーから誠実さが伝わってきました。特にクリエイターに対する敬意は素晴らしく、驚くほど作家から愛されている。現場だけではなく、中川、高橋両名の経営陣もクリエイターへのリスペクトを持っていて、クリエイターへの可能性を本気で信じている。その信念をもって会社を始める経営者は非常に多いのですが、ビジネスとしてそれを継続し、その気持ちを持ち続けるのは、実はとても難しいんです。このチームのメンバーは、長い目で見て、コンテンツやクリエイティブ業界を代表するメンバーに成長できるし、一緒に働きたいと思いました。

wwwaapがクリエイターから頂いた声の一部

Q)続いて視点を変えて、中川さんがクオンと経営統合しようと考えた理由について、お聞きしたいと思います。

中川:wwwaapの広告事業は順調でした。ただ自分たちの「つくりたい人の未来を創る。」というビジョンを考えたときに、よりドライブをかけねばならないという思いもあったんです。2021年入ってから資金調達など様々な手段を模索する中で、飛躍的な成長を遂げるために必要なキーワードは「グローバル」「テクノロジー」「プロデュース力」の3つ。クオンは、そのすべてを日本のエンタメベンチャーで兼ね備えていると思っていて、「いつかは一緒にやりたい」とずっと考えていました。

高橋:初めて話を聞いた時はビックリしましたが、数分後には直感で「成功できるかもな」と思いました。ここ数年のwwwaap社は成長のためのピースを探していましたし、様々なトライを行ってきました。しかし成功できるキッカケや絵が描けず必死にもがいている状態だったんです。この経営統合が現状をブレイクスルーするきっかけになると感じましたし、水野のことをもともと知っておりリスペクトと信頼がありました。結果、一晩考えた上で、話を聞いた次の日に承諾をしました。

Q)wwwaapから見たクオンの魅力とは何でしょうか。

中川:いくつもありますが、まずは何といってもグローバルでの実績です。クオンは、Facebook Messengerにスタンプ提供枠を持つ、アジアで唯一の会社です。今でも世界各国で月間で数千万ダウンロードされています。「ベタックマ」や「ビジネスフィッシュ」といったキャラクターたちは、驚くほど世界中の人に知られていて、クオンがプロデュースしたキャラクターのスタンプの総ダウンロード数は50億。世界一の記録を持っています。

スタンプのダウンロード数

また「mongmong」という韓国のクリエイターが生んだInstagram発のキャラクターを中国支社でプロデュースした結果、流通総額は年間10億円以上規模に成長していました。

SNSを駆使しIPをグローバルでプロデュースする知見を持つ会社は、国内にはまず他に思い当たりません。中国視察でクオン支社の活躍を見た時から、ここに追いつくのは何年かかるのだろうと考えていました。

タイのファミリーマートなどでコラボしたクオンのキャラクター「ぴよまる」

高橋:そしてもう一つが、新領域へのキャッチアップや実行力です。海外チャットアプリとの連携についても、水野がFacebookやWechatがスタンプの枠自体を作る前から現地に飛び込んで営業していたからこその成果です。

Web3関連の取り組みについても、2018年にクオンがブロックチェーンゲームを作り始める時から聞いていましたが、誰よりも先に挑戦し続けていたからこそ、「CryptoCrystal」のNFT流通額国内2位(※1)や、The Sandboxでのランドセールでの実績があると考えています(※2)。アイデアとしては思いついても実行しきれないプロジェクトが多産多死するこの領域において、最後まで実行しきってアウトプットする力は大いにリスペクトしていました。

(※1) 『CryptoCrystal(クリプトクリスタル)』は2018年にクオンが開始したブロックチェーンゲームに登場したNFTです。2021年に「ヴィンテージNFT」として高い評価を得て、2021年8月には流通総額1,000ETH(時価で4億円相当)を達成し、現在(22年3月時点)日本発のNFTとしては流通額2位を記録しました。
(※2) 『The Sandbox』内にて『Quan Land(現Mino Land)』開始に伴い、仮想空間上の土地及びNFTを販売し、開始4分で完売しました。販売累計808,536 SANDは当時の日本円に換算で約2.4億円超。

中川:最後に、水野を始めとしたクオンの皆さんのクリエイティブに対する姿勢です。クリエイティブ責任者の宮永が口を酸っぱくして言うのが「オーバークオリティ」という言葉ですが、粘り強くこだわって創り続ける集団だからこそ、世界中で愛されるキャラを生み出せていると感じています。

Q)両社が統合して4ヶ月経ちましたが、「Minto」の今について教えてください。

中川:ミッションを「技術革新や価値観の変容から生まれる新たな機会を通じ、クリエイターとともに、世の中に面白さとインスピレーションをもたらすこと。」と定義し、いまはSNS×広告、国内外のIPプロデュース、Web3関連の3つの事業をやっています。

例えば直近ではMintoは、旧クオンのNFTとスタンプの実績から「LINE NFT」の公式パートナーにもなりましたが、自社キャラのみではなく旧wwwaapのクリエイターもLINE NFTで作品販売をすることで、より多くの売上を上げることが出来ました。また2社どちらの力もあるからこそ、対外的に評価され機会を頂ける場面が度々あり、随所にシナジーを感じています。

高橋:元々メインで行ってきていたSNSを中心とした漫画事業を伸ばしながら、我々がクリエイターと共にアウトプットするコンテンツを企業のコミュニケーション課題の解決手法とし、さらなる事業の拡大を行っております。コンテンツをマーケティングに応用する上で必要なノウハウが社内で蓄積されており、より大きなご予算や中長期の企画をお任せいただく機会が増えてきています。また、ここ1年でアライアンスするプラットフォームやコンテンツも増えてきており、直近では声優や著名作品とのコラボ企画が事業を牽引し始めているところです。

中川:また、我々のコンテンツプロデュース力とクリエイターネットワークを活かして、縦スクロール型コミック「Webtoon」を制作するスタジオ事業を開始しました。日本最大の漫画/Webtoonアプリ「ピッコマ」を運営するカカオピッコマから出資を受け、業務連携も強化しています。また、先述の「mongmong」のような中国のキャラクタープロデュースも市場成長とともにチャンスが広がっていて、日本や韓国の新規キャラクターの中国展開も進めています。

水野:さらに、LINE NFTの公式ローンチ時パートナーになったり、The sandboxでのメタバースでのキャラクター展開を進めているなど、複数のプロジェクトが既に進んでいます。既にこれらのプロジェクトにより収益を上げており、日本でWeb3領域の事業の先駆者的存在と評価されています。

おかげさまで統合後、全事業が想定以上に成長しており、当初の計画を前倒す勢いでの成長を実現しています。

Q)最近は、カカオピッコマ社から資金調達という大きな動きもありましたね。

高橋:より各事業をブーストするために、外部のパートナーとの資本業務提携をしたいと考え、事業会社に絞って打診をしていました。その中で、アプリセールスランキング国内1位の「ピッコマ」を有するカカオピッコマ社は、我々の新規事業であるwebtoonスタジオはもちろん、広告事業、将来的にはWeb3事業まで、多くの側面で強いシナジーがあると感じ、資本業務提携をさせていただくことになりました。

早速効果は出始めており、本提携成功の手触りを感じています。今後、より加速していくために、これからもっとビジネスの連携を強化していく予定です。(詳細は下記記事)

Q)最後に、今後どのような展開をお考えかお聞かせください。

水野:冒頭でも言いましたが、日本の漫画・アニメ・キャラは世界に誇る産業です。でも、このままではそうも言っていられなくなるでしょう。一方で、テクノロジーの急激な進化に合わせて、これからクリエイターにとってのチャンスはどんどん増えていく。世界に轟くコンテンツを輩出し、その結果より多くの漫画やアニメクリエイターが活動し続けられる経済圏を創りたいと考えています。

具体的には、クリエイターを軸に複数の事業を成長させながら、2024年〜2025年のIPOを目指して準備しています。事業が成長する一方で、それらを担ってくれる人材がまだまだ不足しているのが課題です。絶賛採用活動をしていますので、我々の事業にご興味をお持ちくださった方はぜひご連絡をいただけると嬉しいです!

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