見出し画像

「アニメ・漫画クリエイターの才能を世界に」 カカオピッコマがMintoと資本業務提携をした理由


株式会社Mintoは2022年5月、株式会社カカオピッコマ、既存株主の三井住友海上キャピタル株式会社、みずほキャピタル株式会社、株式会社株式会社オー・エル・エム・ベンチャーズより、総額約6.6億円の資金調達を実施しました。

さらに、カカオピッコマとは資本業務提携を締結しました。今回の資本業務提携により、Mintoが保有するクリエイターネットワークや、これまでのコンテンツ制作・運用において蓄積したデータに加え、カカオピッコマが保有するコンテンツ運用に関するノウハウを活用しながら、SMARTOON(縦スクロール漫画/Webtoon、以下Webtoon)を中心としたコンテンツ開発体制を強化していく予定です。

資本業務提携に至った背景や今後期待する事業展開について、カカオピッコマ経営企画室の神谷健さんと代表取締役の水野和寛さんに詳しく話を聞きました。

神谷健(かみや けん)
2007年より株式会社NHN Japan(現LINE株式会社)にて経営企画業務に従事。2013年の会社分社化時にNHN comico株式会社に転籍し、国内初の本格Webtoon Platform ”comico” の事業戦略担当として、事業拡大を図る。
2016年よりLINE株式会社に転籍し、PMOとして、LINE GameならびにLINEマンガの事業支援を行う。2021年7月からは、カカオピッコマ社経営企画室に在籍し、兼任で、2022年1月 SMARTOON Studioのピッコミックス(取締役)、2022年4月 暗号資産交換業サクラエクスチェンジビットコイン(取締役)に就任している。

代表取締役 水野和寛(みずの かずひろ)
株式会社寺島情報企画にてモバイルコンテンツ事業を立ち上げ様々なサイトをプロデュース。中でもデコメサイトは月額有料会員で約100万人の日本一にサイトになり、絵文字、デコメブームを牽引。その後、スマホアプリ事業を立ち上げ、株式会社テクノードを設立。同社の代表取締役兼プロデューサーとして、ヒットアプリを多数生み出す。手掛けたアプリのダウンロード数は1000万DL以上。 2011年に株式会社クオンを設立。インターネット発のキャラクター事業を展開し、世界中のチャットアプリと提携し、スタンプのダウンロード数はおよそ50億件で世界一。中国、タイ、ベトナムに支社を展開中。2018年からブロックチェーン/NFT領域で事業を開始し、CryptoCrystalのNFTは世界的なトレンドに。2022年1月に国内No.1のSNS漫画事業を手がけるwwwaapと経営統合し、株式会社Minto 代表取締役に。


経営陣の誠実な人柄に触れ、より事業に興味を持った

写真左:神谷健さん、写真右:水野和寛さん

ーーどのようなきっかけで神谷さんと水野さんは出会ったのでしょうか。

水野和寛さん(以下、水野さん):私からカカオピッコマに連絡したんですよね。そのとき窓口になっていただいたのが神谷さんでした。

ーー水野さんがカカオピッコマにコンタクトをとった背景を教えてください。

水野さん:資本業務提携というかたちを取り、資本を入れていただきながら、密接に事業にコミットしてもらえるようなパートナー企業を探していたからです。

Mintoはアニメ・漫画などのエンタメビジネスをアップデートするスタートアップです。キャラクターや漫画、アニメに関わるBtoC、BtoB両方のサービスを新規に立ち上げ、ここ半年でいずれのサービスも大きく成長しました。より事業を発展させるため、事業内容に親和性の高いカカオピッコマにお声がけさせていただきました。

神谷健さん(以下、神谷さん):実は、代表の金から以前Mintoの話を聞いたことがあったので、水野さんの連絡が来る前からずっと気にはなっていたんです。

弊社は2021年5月に600億円の資金調達を実施し、私たち経営企画室がIPプロデュースやWebtoon、既存プラットフォームといった事業の拡大を目的としたコンテンツ事業への投資を担っています。

私たちもシナジーの期待できる提携先を探している中で水野さんから連絡をいただき、さらに代表の金からの紹介もあいまって、当初から前向きな気持ちで打ち合わせに臨みました。

ーー実際にMintoの経営陣と打ち合わせをして、どのような印象を受けましたか。

神谷さん:率直に、「誠実な経営陣が集まっている会社」だと思いました。例えばですが、Mintoとは基本的にZoomで打ち合わせをしているのですが、みなさん毎回アジェンダを用意しており、また、打ち合わせの後は私たちが退席するまでずっと残っているんですよね。

打ち合わせに出席している他のメンバー2名も同様の感想を持っており、「出資額を当初予定していた金額より増額したい」という意見も一致するくらいでした。

Mintoの強みであるSNSコンテンツマーケティングを効果的に活用していきたい

ーー神谷さんから「経営陣の人柄」を評価していただいていますが、事業については水野さん自身、どのような点に強みを感じていますか。

水野さん:こんなに褒めていただけるとは(笑)。ありがとうございます。
事業における私たちの強みのひとつは、やはり「SNSのコンテンツマーケティング」です。キャラクターや漫画、アニメのSNSマーケティングに関して、日本ではおそらく私たちがもっとも多くのクリエイターさんたちと取り組んでいます。実際に、Twitterで1万人以上のフォロワーがいる漫画家などのクリエイターさん250人以上と契約しており、今まで2000件以上、SNS上での広告コンテンツをクライアントに提供しています。
「広告×コンテンツ」は広告として機能するだけでなく「おもしろさ」も重要で、編集ノウハウやバズらせるための工夫も求められるため、なかなかうまくいかないケースも多いと聞きます。この領域で多くの実績がある私たちは、SNSコンテンツマーケティングにおいて優位に事業を展開できていると考えています。

神谷さん:弊社がMintoに期待しているのは、まさにこの部分です。

カカオピッコマでは、「ピッコマ」を運営する上で、相当な額をマーケティングプロモーションに費やしています。しかしながら、それが効果的な運用ができているかというとまだまだ改善の余地があります。
一方でMintoは大手広告代理店に引け目を取らないSNSコンテンツマーケティングの実績があります。今後は、そのメソッドを持つMintoに私たちのマーケティングプロモーションの一部を委託し、うまく運用できる方法を一緒に模索したいと考えています。

Web3やwebtoonの事業は不確定要素が多く、課題も山積み。「連携して市場で地位を確立していきたい」

ーー神谷さんから見て、現在のMintoのフェーズにおいて課題に感じている部分はありますか

神谷さん:Mintoが開発・運営しているwebtoon制作スタジオ「MintoStudio」やWeb3の新規事業にも関心はありますが、このジャンルが日本で浸透し始めたのは最近ですよね。まだ市場が成熟していないので、不確定要素が多いのも事実です。

ですので、この領域に関しては、他社が追随できないようなオリジナリティのあるポジションを確立してもらいたいですし、そのために連携をしっかりとっていきたいと考えています。

水野さん:その通りです。Mintoとしては、Web3は2018年から、webtoonは2020年から事業に取り組みはじめていますが、国内企業の実績は多くありません。これから注力し、カカオピッコマと試行錯誤を重ねながら確固たる地位を築いていきたいです。

そこで、webtoonについて僕から神谷さんに質問したいことがあります。Mintoでは「MintoStudio」で複数本の作品を制作しているのですが、なかなか「この制作工程がベスト」というものに至っていません。どのような企業やスキルを持つ人がwebtoonに参入するとよりよい作品づくりにつながると思いますか。

神谷さん:前提として「漫画」というキーワードは強いですよね。このワードに引っ張られて、webtoonは「従来型の漫画を縦に変えるもの」という考え方が主流になっています。でも実はそうでもないんです。
代表の金が「webtoonは気軽・手軽に楽しめるスナックカルチャーコンテンツ」と言っているとおり、従来の漫画よりライトに楽しめるエンタテイメントと位置付けています。単に「従来型の漫画を縦に変えるコンテンツ」なのではなく、「普段漫画を読まない人でも、楽しめるコンテンツ」という認識です。
ですので、webtoonは漫画フリークだけでなく、それ以外の層も「流し見しながら楽しめる仕立て方」を制作側ができるかがキーになってくると考えています。また、縦の漫画と横の漫画はまったく違うものなので、漫画家さんもそれを意識して描くことが求められます。
つまり、今はスタジオで分業化することが主流になっていますが、「webtoonとは何なのか」ということを改めて考えてからつくることが重要になってきます。

水野さん:ありがとうございます。私たちも、まさに何回もやり直して試行錯誤しながら進めている真っ最中なので、とても参考になります。スナックカルチャーコンテンツを求めるユーザーはたくさんいるので、なんとかwebtoonでヒットを出していきたいですね。

Mintoはクリエイターファーストな人が集まる会社


ーー今回の資本業務提携を経て、今後どのようなことに期待しますか。
神谷さん:Mintoの新しい領域にチャレンジする精神には非常に共感しており、出資させていただいたことにとても感謝しています。資本業務提携を結んでいるので、制作における支援は弊社なりにさせていただきますが、忌憚ない意見をお互いぶつけ合いながら、より高みを目指していけたらと思います。

水野さん:グローバルでエンターテインメントコンテンツ事業を成功させている点において、学ばせていただくことが多くあります。カカオピッコマの経営陣は、意思決定から実行に移すまでの早さがベンチャー企業以上なので、私たちがグローバルで戦うために見習わなければならない部分だと日々実感しています。お互いにシナジーの期待できる事業を展開しているので、しっかり連携し、共に新しいエンタテイメントをつくっていきたいです。

ーーありがとうございます。この記事を見て、MintoやMintoの事業内容に興味を持っている人もいるかと思います。最後に、どのような人がMintoに向いていると思いますか。

水野さん:Mintoは「クリエイターファースト」で、クリエイターと真摯に向き合ってコンテンツを作っていきたいと思っている人が集まっているので、同じマインドを持つ人が来てくれるとうれしいですね。また、「おもしろいコンテンツ」や「世の中に広がるようなコンテンツ」をつくったり、関わったりしたいという気持ちも重要です。
SNSコンテンツマーケティングのセールスやマーケティング、Web3の担当者など多くのポジションで人が足りていないので、ぜひご連絡お待ちしています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?