五輪の熱狂の中で

ここまでで怒濤の金メダルラッシュ。終わってから書こうと思ってたけどここまで日本勢が調子よいと、終わった頃になんか書いてもなんか今更感があるかもしれないのでさきに書いておきます。

あのね。この先、何十個メダルを取ろうがそれと今回の五輪開催が成功だったかというのは別だからね。

スポーツはやるのも見るのも好きだし、それこそ苦労してメダルをとった人のエピソードなんかもらい泣きしちゃうし、ゲームになれば日本を応援しちゃうし、競技自体は、がんばった選手のためにもやれてよかったなと正直思います。

ただ、この東京五輪の誘致をそもそも誰が望んでいて（僕は東京都民の１人ですが一度も誘致されればいいなと思ったこともないです）、誰のために開催するのかということへの疑問はとけません。復興五輪だと誰かが言った。すみません。今回の五輪のどこに開会式のどこに復興五輪がありましたか。夜遅くに被災地の子供たちを集めて聖火をもたせたところですか？それとも会場を被災地に一部しているところですか？復興した東北を世界に見せたいとか誰か言ってたけど、まず言うほど復興してないし、自宅に帰れない人はいっぱいいるし、百歩譲って東北を世界にアピールしたいのであれば東京じゃなくて宮城や福島や岩手などに絞って開催すればよかったのではないか。しないと思うけど。

菅さんはメダルをとった選手にお祝いの電話を喜々としてかけてはアピールに努める。小池さんは「コロナに打ち勝った金メダルをめざしましょう」と危機感ゼロの発言をする。東京都で３０００人を超える感染者が出ても同じ事を言えたら大したものだが、彼女なら言いそうだけど。

何を言いたいかというと、緊急事態宣言を出しておきながら東京五輪を強行開催し、ステイホームと言いながら実際はどの会場の前も沿道もサーフィン会場の海などいたるところに人がうじゃうじゃ出没している矛盾をどう解消するのかしないのかということや、ワクチン一本足打法にすがる菅さんには悪いが学生でもなく大企業の会社員でもなく６５歳以上でもない僕なんかはいまだ１回目のワクチンすら予約できないなかで、菅さんがなぜそこまでワクチン普及に自信をみせているのかということや、なによりも問題なのは、新国立競技場の設計者のキャンセルや、エンブレムの盗作騒動からはじまり、開会式の演出からMIKIKOさんをおろし、会長は女性蔑視で辞めるわ、MIKIKOさんを切り捨てて自分のやりたいことをやろうとした佐々木氏が直美ブタ発言で辞め、そこまで彼が集めた渋谷サブカル系もことごとく差別や虐待や歴史認識の問題などで辞任していくなか、ここまで呪われたかのような五輪の責任を一体誰がとるのかということ。東京都も空前の超過出費が想定されているが、都民のひとりとしてこれどうやって払うつもりなんだろうと不思議でしょうがない。組織委なんて終わったら解散しちゃうので誰も責任なんかとりゃせんですよ。ましてや橋本聖子は押しつけられた感があるので同情票こそあれ、彼女に責任をおおいかぶせることはさすがにできないし、結局だれも責任をとらず、そしてこのまま金メダルラッシュで終わった場合は「なんだかんだでやってよかったじゃん！」という超結果オーライな結論で終わらせる可能性もあるわけで、本当に今からぞっとしてしまう。

竹中平蔵さんは「五輪の応援をしないのは心ない国民」と言い、安倍さんは「五輪反対は反日のしわざ」と言い、川淵さんは「いろいろあるけど五輪だけは特別でしょうがないと思ってもらえる」と言う。なんだよそれ？

人生をかけてメダルを勝ち取った選手の皆さん、惜しくもメダルには届かなかったけど精一杯がんばった皆さん、皆さんのパフォーマンスには本当に感動しました。お疲れ様でした。しかし。このコロナ禍で「国民の命」を賭けの原資にして「強行開催」というギャンブルに出た菅さんの一連の言動だけは一生忘れないと思う。

秋の選挙、ぎゃふんと言わせてやりたいものだ。皆さまぜひ投票へ。