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ビールとナッツをバケツにいっぱい

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食べ物についての雑記やエッセイ。 子供の頃の事。 大人になってからの事。
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#子供の頃

しゅわしゅわの飲み物と・・・

しゅわしゅわの飲み物と・・・

シュワシュワシュワシュワシュワシュワシュワ・・・

この部屋はマンションの7階にあるのに、蝉の泣きわめく声が聞こえてくる。マンションの一階の駐輪場にはたくさんの木が植えてあって、そこに蝉がたくさんとまっているのだ。

茶色の古い年代物のクーラーはリビングにしかなく、自分のいる子供部屋にはクーラーはなかった。7階なので午前中は全部の窓を開け放しておいて、自然風と扇風機で耐える。強い西日がリビングに差

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幼稚園の頃のお弁当

幼稚園の頃のお弁当

自分が子供の頃、幼稚園に行く事があまり好きじゃなかった。出来る事なら行きたくなくて、熱を出して休めないか、とかそんな事ばかり考えていた。

私の娘は・・・というと、正反対で全くそんな事はなく、とっても楽しそうに幼稚園に行っていた。年中さんの時は熱や風邪で何日か休みはしたが、年長さんの時は、指定の登園日は休むことなく、皆勤賞でみんなの前でたった一人表彰された。すごすぎる・・・と母親の私は他人事の様に

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子供の一月一日

子供の一月一日

「お年玉いくら貰えるかな?」

「私の方がお姉ちゃんやねんから、私の方が多いに決まってる。」

大晦日の日。早めに寝るように促され、年が2つ下の妹と一緒に布団に入った。足が冷たくてそわそわする。妹の足に自分の足をつけたら、妹の足も冷たかった。

妹は私の台詞に不服そうだったが、しょうがないと理解したのか

「おせち料理たのしみやな・・・」

と、言いながら寝息を立てていた。私は、新しい年が来るワク

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ビスケットとアルバイトのお姉さん

ビスケットとアルバイトのお姉さん

中学生の頃、よく友達とファーストフード店に行っていた。よく色んなファーストフード店に行ったし、よくそんなにも喋ったものだ、と思う。

超が付くほどのオタクだったので、週刊誌の少年漫画のキャラがどーのこーのという話や、あーんな事やこーんな事の妄想話に花を咲かせていた。約20年前は、「アニメオタク」的な趣味をもった人は、とんでもなく寒い目で見られていた。オタクはスクールカースト制度の中でも最下位に位置

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母の料理本

母の料理本

かずの子、いくら、ブリ、れんこん、三つ葉、いくら、かつおぶし、こんぶ・・・

母がメモをしている内容を見ては、隣で「おせち料理とおもてなし」の料理本を見て、作り方をなんとなく読んでいた、というよりは見ていた。

いくらのキラキラした輝き、ピンとした粒のきれいな数の子。つやつやとふっくらした黒豆。花れんこんの白。黄金色につやっと煌めく、くりきんとん。お雑煮のページは地域ごとのお雑煮が紹介されていて、

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ハンバーガーの自販機

ハンバーガーの自販機

子供の頃、自動販売機が好きだった。自転車で信号待ちをしている時や、何気ない時や、映画が始まるまでの待ち時間、母親の買い物の待ち時間の間に、自販機の色、大きさ、販売している物、取り出し口の劣化具合、缶ジュースの見本が並べられている列なんかを眺めては、自動販売機の見た目から発する情報を頭の中で分析して、自分なりの適当な「じどうはんばいきデータ」を頭の中で作っていた。残念ながらそのデータをノートにまとめ

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