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体験を超えるブランドづくりの策はない。

Voicy「コテツのブランディングと商売の話」 コラム
 読めばブランディングができて、商売が上手くなる。

このコラムは、コテツがVoicyの「ブランディングと商売の話」で
語った内容を文章化したものです。
Voicyアプリをダウンロードして『コテツ』で検索、無料で聴けます。
Voicyもお聞きください。

【お知らせ】
2022年4月より、小哲津のブランディングと商売の勉強会のコテツゼミの
六期生がスタートします。コテツが直接講師となり、半年間でご自身やビジネスのリブランディングを学ぶ講座です。
10人限定となる予定です。
3月から募集開始。
こちらのnoteかVoicyで告知します。

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Voicy No.0017 2021年8月18日収録
体験を超えるブランドづくりの策はない


なんでいま、旗艦店を出店するのか?

今日のメインテーマは「体験を超えるブランドづくりの策はない」です。

今コロナ禍で、この2年、店舗ビジネスは閉店続出ですよね。効果があるともないとも言われている緊急事態宣言で営業時間は短くなり、リアルなお店に行くのが機械的にはすごく減っている。本当に飲食店とかが狙い撃ちされて、かわいそうな気はします。コロナがうつるのは飲食店じゃないというデータもかなりあるのに、飲食店はいっぱい閉店しているのです。

これは本題からズレるので、ちらっとだけしゃべってすぐ戻ります。

飲食業はロビー活動が少ないです。ロビー活動とはアメリカの言葉で、さまざまな業界団体、思想団体、活動団体が政治家に働きかける運動のこと。政治家をうまく取り込んで、社会的に認められるためにやることをロビー活動といいます。

これは政治家の方だけに限りません。関連団体が商売でお客さまに物を買っていただき認めていただく以外に、政治に働きかけて、例えば制度をバックアップしてもらうとか、業界団体として支援してもらうことです。

自分には、飲食店はそれがあまりうまい印象がない。コロナのようなときにロビー活動で政治家との連携を取るスタイルでやってきていないのもあって、結構集中的にやられています。

こういう話をするのはめちゃ引っかかるのだけど、いいとか悪いとかではないですよ。誤解を生まないように先に言っておきます。ロビー活動に昔から熱心で、非常にしっかりやっているのはパチンコ団体です。遊技関連という言い方になるんですが、パチンコ・パチスロ業界は、めちゃくちゃロビー活動をやっている。それが今の流れから言うと、IR(カジノ)につながっていたりします。

となると、政治からそういう規制があるときに、「保護されている」とまでは言わないですが、すごくコミュニケーションを取って、コロナ禍になっても政府とかから一発で狙われないようなやり方をしているのはあるとは思います。これはいいとか悪いとかではなくて。

飲食関連はずっとお客さまのほうだけ向いてやってきました。政治関連で自民党や官公庁と何かをやる関係は薄かったと思うので、今は閉めるんだったら飲食店を閉めさせちゃおうみたいな感じになって、ちょっとかわいそうです。

ごめんなさい。本当にずれちゃったので本題に戻ります。

ネットとかスマホで効率良くということで、ウーバーイーツとか出前館はめちゃくちゃ伸びているし、ECの販売も伸びている。これが、コロナ禍で2年という今のビジネス環境の1つの傾向です。これを踏まえた上でこれからの話を聞いてください。ブランドは体験がどれほど大事か、よりわかってもらえると思います。

今は日本で体感型のフラッグシップ店とか、フラッグシップパーク的なものをつくるところがめちゃ増えています。スノーピークが新潟本社の敷地を拡張して、温泉を含めた複合型リゾート施設をオープンさせると発表しました。

スノーピークはアウトドア用品の会社ですが、アウトドア商品を売るのではなくて、アウトドアも含めた宿泊体験・リゾート体験をしてもらおうという試みを始めました。リアルな場が要らないんじゃないかと言われている今と逆行していますが、スノーピークのブランドを押し上げてブランドのファン度が高まる、めちゃくちゃいい施策だと自分は見ています。

ほかにもこういう取り組みをしているところが、今すごく増えています。

これもびっくりなニュースだけど、うどんやさんの「つるとんたん」が、長野県の軽井沢にリゾート型店舗「つるとんたん UDON NOODLE Brasserie KARUIZAWA JAPAN」を8月2日にオープンさせたのです。まだ行ってないので行ってみたいですけど、すごくないですか。うどんのリゾート型店舗みたいで。これもいい施策です。「つるとんたん」は知名度が上がってきていましたが、まだブランドになっていないので、これが1つのポイントになると思っています。

さらに、とても有名な事例があります。ようかんの「とらや」が富士山のふもとに「とらや工房」を出店して、そこで手作りしたお菓子を喫茶として出しているんです。また2021年1月には、「とらや工房」のすぐ近くに、Maison KEI(メゾンケイ)というレストランもオープンしています。文化として、環境も含めて「とらや」というお菓子を提供できる場所ということで選んだのでしょう。

区切りが中途半端になるので、次のチャプターで「体験こそ」の意味を、もう少し掘り下げてお話しします。

最も投票につながる方法とは?

「体験を超えるブランドづくりの策はない」で、相対比較を超えて「あなたじゃなきゃダメ」というファンとのつながりができている状態がブランドだと話しました。これはコテツのブランド論の根幹ですが、地球上最強のブランドはどこかというと、キリスト教なんですよね。相対比較を超えて「あなたじゃなきゃダメ」という状態をつくり上げています。

キリスト教に限らず、仏教、ヒンズー教、さまざまな宗教も、強い信者の方、ファンの方がいるというのは大体そうです。聖地がありまして、キリスト教でいうと教会があり、独自のポーズがあるんです。皆さん信仰の約束で十字を切るとか、仏教では手を合わせるとかありますよね。歌があって、お経があって、スタイルがそれぞれあります。

ブランドは相対比較を超越しています。ほかの宗教と比べて収入が上がりますとか、会費が安いですとかで変える人はいません。スタイルとか思想に付いていくというのは、キリスト教もそうですし、その他の世界で、かなり信者の方が多い宗教の特徴かなと思っています。

これはビジネスの話だから、ビジネスだけ見ていれば参考になる事例がいっぱいあるかというと違っています。参考になるのはキリスト教とか選挙です。

アメリカの大統領選挙はブランディングの戦いです。選挙に関しては日本の選挙も見て、どうやってファンをつくっているのか、どんな仕組みがあるのかを見ています。後援会をつくり、地域の皆さんで集まってみたいなことがあります。ヨーロッパのブランドのつくり方がわかる自分は、ヨーロッパのブランドづくりの根幹と似ているところをピックアップして、違いを見たりしています。

前置きが長くなってごめんなさい。結局何が言いたいかということです。選挙で票を入れてもらう、好きになって応援してもらうときに、今はネットもあるし、古い時代からチラシもあるし、主義主張を訴えるには今は紙もネットもあります。

選挙活動に使えないこともあるけど細かなところは割愛して、票を入れてほしいときに、「僕は老人の住みやすい町をつくります」なのか、「子どもの教育を改革します」なのかは、伝える方法によっていくらでもある。

でも、選挙で投票してもらいたいときに、握手を超える効果的な手法は発明されていません。握手と並ぶものはありますが、握手だけじゃダメだと思う。

人は直接回ってきてくれて、東京だとあまりないかもしれないけど、田舎だと選挙戦では訪問するんです。商店街もきちっと回るし、「何々でございます。今回もよろしくお願いします」で近づいて、コロナだからべったり握手しているかどうかは別ですが、概念として、近くまで行って肩をちょっと抱いて「何々さん、いつもほんとにありがとうございます」というので票が入るという事実。

そのときに、「あなたの主義主張を整理して、30秒でちゃんと伝えてくれ」という人はかなり少ない。わざわざ足を運んでくれたとか、握手してくれたとか、あの人が優しく声を掛けてくれたというのが票につながるというのは、いまだに、この21世紀令和の時代でもそうなんです。

結局は体験です。

会ったとか、直接握手して「よろしくお願いします」と言われたという体験が、どれほどブランドに対して心動かされるかということです。

ヨーロッパのハイブランドが日本に来たときに、重要な熱狂的支援者、ファンに対して、少人数のイベントを結構やっています。コロナなので今の時期はやっていないと思いますが、2年前まで、自分が関わっていたところも、ホテルでのパーティーみたいなものがもちろんありました。お金を使ってくださる重要顧客を集めて数百人単位のパーティーをやることも、旗艦店で数十人数百人単位のイベントをやることもありました。

それとは別に、ブランドオーナーが6名とか8名とか、その国でものすごく大事にしたいコアなファンの人を集めて対面で食事会をするんです。効率はめちゃくちゃ悪いじゃないですか。さっきの握手も効率めちゃくちゃ悪い。票を入れてもらいたいとき、自分の主義主張を伝えたりして好きになってもらうときに、なぜ握手して回るんだ? 効率を考えればTwitterが一番早いです。

ヨーロッパのハイブランドも、なぜわざわざファンの方と会って食事会を数人のためにやっているのかというと「体験を超えるブランドづくりの策はないから」です。

さっき話したような事例では、コロナで店を閉めていくところが多く、わざわざ店舗に足を運ぶ人が少ない中で、スノーピークとか「つるとんたん」とか「とらや」とか、青山フラワーマーケットというところは工夫しています。

青山フラワーマーケットは花屋さんとして近年伸びた会社です。109店舗あって、海外にもお店があるらしいですが、そこが茨城県と組んで「いばらきフラワーパーク」とをやっている。花を体験するパークです。

お金もかかるし、わざわざなぜこんなことをやるのでしょう。儲けだけを狙ったら絶対にやらないです。スノーピークぐらいの規模があったら、リゾート開発にかかるお金を使わないで、店舗とかに物をいっぱい仕入れて売ったほうが絶対いい。これは売上とか利益とか効率を考えているのとは真逆なのです。

さらに、こういうリアルな聖地は遠くても全然いい。損得を超えて「そのブランドじゃなきゃダメ」という人をつくっていく活動なので、便利だから行ってみよう、不便だから行かないでおこうという時点で、そのブランドのファンではありません。

体験をリアルな場所でやる理由としては、自分たちの世界観とか時代性とかを強く打ち出させる。これを五感で感じてもらうのがものすごく大きいです。

コテツさん、わかったよ。ただ、うちはそんなリゾートをつくるほどのビジネスじゃないんだよと思っている方は多いと思う。

じゃあどうするか。個人事業主とか中小企業は、コロナの状況を見てですが、少人数で自分たちのブランドを応援してくれるファンの方と、小さくでも会う会を増やしましょう。体験・体感をする会を、効率を考えず少人数でやったほうがいいのです。それがファンを熱くしていく重要な活動だからです。

ということで、今日はこのぐらいにしておきます。
以上、久々野智小哲津でした。

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