ニューロンはバグるのか(傾向と対策)2. 世界が縦に回る

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翌日の朝。寝て起きても特に変化はなかったので、以前もかかったことのある大きめの病院に向かいました。たぶん耳鼻科の案件だとは思いつつ、しかし絶対そうとも言い切れなかったので、院内でたらい回しになってもいいように、敢えて大きい病院を選択したのです。

到着し受付し耳鼻科に向かい問診票を書き順番が来てお医者さんに事情を説明しましたが、いかにもベテランそうな先生曰く
「そんな症状聞いたことないねぇ」
素人の私もそう思いますが、プロに言われるとやはり説得力が違います。
お互い首を傾げつつ、ひとまず耳の中を覗いてみましたが、特に何もないようです。この時点で《耳垢が詰まっているだけ説》と《耳の中をケガしている説》が否定されました。
「うーん、ひとまず三半規管の循環を良くする薬を1週間ぶん出しとくから飲んでみて。で、様子を見てみて、もし良くならなかったらまた来て」
とのことで、残念ながら明確な診断は下されず、お薬を頂いて撤収となったのです。

その日の昼食後から指示通りに服薬してみました。が、飲んで寝て起きた翌日、その翌日、その翌日……と重ねていっても治る気配はありません。かといって、悪くなる気配もありません。一進一退ですらなく、澱んで固まっているという感覚に近く、朝になる度に変化がないことを確認してはうっすら不安になる数日間を過ごしていました。が。

ある日、朝になって目を覚まし起き上がろうとした時、第二波がきていることにはじめて気付きました。
起き上がれないのです。
とにかく猛烈に目が回ります。世界が縦に回っています。つま先から、顔の前を通って、頭をくぐって後ろに行き、足に向かって降りていき、またつま先から顔に向かって上がってくる。そんな矢印を空間に描いたような、そしてその通りに世界が動いているような、眩暈。それに伴う、吐き気。しかも、耳の一部は聞こえないまま。
朝なので起きなければいけませんが、起きられる状況ではありません。それでもどうにかベッドから這い出たところで、先日頂いた耳のお薬が残りわずかだという事実を思い出しました。ので、この状況の説明と回避方法の模索のため、そしてお薬の結果報告のため、再び病院に向かうことにしたのでした。

今にも座り込んでしまいそうな眩暈と吐き気に耐えながら病院に着いたものの、先生の見解はやはり
「その薬が効かないとなるとますますわからないねぇ」
「眩暈も耳から来てるかもしれないけど定かではないねぇ」
「とりあえず同じ耳の薬と、あと眩暈の薬ね、年末だから多めに出しとくから、また年明けに来て」
という煮え切らないものでした。

お薬を頂いたことだし、わからないけれどわからないなりにどうにか年は越せそうだ……という安堵が間違いだとわかったのは、再診に行った翌日でした。
頂いた眩暈のお薬を飲むと、副作用で喘息が出ることがわかったのです。
元々喘息持ちなので、病院の問診票にも薬局の書類にもその旨は明記しておいたのですが、考慮されていなかったのか、もしくは考慮するに足らないレアな事例なのか、どちらだったのかはわかりませんが、とにかく喘息が出てしまったのは事実なので、飲むのを止めざるを得ませんでした。

こうして、2015年の年末および2016年の年始は地獄の如き体調で過ごすこととなったのです。

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