ニューロンはバグるのか(傾向と対策)4. 大学病院へ

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発症から1ヶ月ほど。その間MRIを撮ったりお薬を足したり引いたり変えたりと試行錯誤してはみたものの、結局のところ状況は好転せずむしろ悪化の一途を辿っていました。具体的には、1週間のうち5日間は眩暈と頭痛と吐き気で使い物にならず、残り2日間も比較的軽いとはいえあまり気分は良くなく、そして不思議な難聴も治らずそのまま、という状態でした。
MRI撮影から5日後、耐えかねて再び病院に行くと、既に画像診断の結果は出ており、当番の女医さんが説明してくれました。
「これがあなたの頭部の画像、反転しているのでこっちが右、こっちが左、これはこういう向きで撮ったもので……」
「……」
「……今のところ腫瘍や出血の疑いはないと考えます」
たしかに、それらしきものは見当たらなかったのです。はじめてのMRIでわかったことといえば、己の頭蓋骨がかなりいびつだという事実だけでした。
「でも正直すごくしんどいんですけど、どうすればいいんでしょうか……」
「この病院の設備ですと、これ以上のことはわかりません。ご希望でしたら大学病院を紹介しますが」
「お願いします」
大学病院に行けばこの症状が軽くなるかもしれないというのならば是非とも、というのが半分。ここまできたら徹底的に調べたい、というのが半分。そんな気持ちを込めた即答でした。
そして、その日のうちに紹介状を書いて頂き、その日のうちに指定の大学病院に電話をして初診の予約をしたのです。

10日ほど後、最短で予約が取れた日。とある大学病院に向かいました。以後は「X大病院」と呼ぶことにします。
大学病院での初診。それは田舎在住かつ体調不良真っ最中の私にはかなりハードなものでした。
まず、院内での手続きなどがあるため、朝8時半までに受付を済ませなければなりません。地元の病院ならば良いのですが、自宅は西多摩、X大病院は東東京。電車だけでも軽く1時間半ほどかかります。さらに、X大病院は最寄り駅から少々遠く、徒歩では30分ほど、バスでも10分ほど追加されます。つまり、朝6時台の電車に乗らなければ間に合いません。そのためには普段よりも3時間早く起きる必要があります。
眩暈と頭痛と吐き気で頭がぐるぐるしている状態の人間が、いつもよりもだいぶ早く起きて電車とバスに2時間弱揺られる。このハードルの高さ、ご想像頂けますでしょうか。
それでもどうにか時間までに受付に辿り着きました。しかし、そこからが長かったのです。

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