見出し画像

0610「彼岸のWikipedia」

昨日は、デジタルデトックスをしていたようなことを書いたが、書いた通り妻とLINEはしていたし、Kindleで本は読んでいた。いま私はとてもゲーム業界に憧れているというか、ゲーム業界のやり方を理解しないとまずいと思っているので、漫画「これだからゲーム作りはやめられない!」を読んでいた。これはもともとpixivの作品なので、pixivでも読める。


つまり、私にとって、妻とのLINEとKindleは「デジタル」ではない。あともう1つ自分にとってデジタルではないのが、WIkipediaだ。昼間から温浴施設の休憩室でハイボールを飲みながら、Wikipediaを読んでいた。何を読んでいたのかというと、ひどい話で、「自殺・自決・自害した日本の著名人物一覧」と、それに関連する人物の記事を読んでいた。

私は、ひどいことに自殺をした著名人のリストを肴にして昼間から酒を飲んでいたのだ。

このリストに触れたのは初めてのことだ。私が知らない間に、かなりいろんな人が自殺をしていて驚いた。

まず驚いたのがミホノブルボンとかタヤスツヨシでダービーを2回勝っている小島貞博騎手・調教師で、自殺したなんて知らなかった。厩舎の経営に行き詰まったということらしい。「騎手としてあれだけ華々しい実績をつくった人が・・・」などと思ってしまうが、そういう問題ではなく、お金の問題というのは呪いのように襲いかかってくる。

ミュージック・マガジンの中村とうようさんが自殺していたというのも驚いた。音楽評論家だ。「まだまだやらなければならないことがたくさんあるのに、時間がかかりすぎるのにうんざりした」というのが死の理由なのだそうだ。気難しくて攻撃的なイメージがある人だったから、なんか疲れてしまったのかもしれないな、と思った。

競輪選手の児玉広志さんが自殺していたのも知らなかった。児玉選手は、競輪選手としてはかなり一線級の成績を上げている人だ。児玉選手ほどの選手だと、金銭的な苦労は恐らく何も無かっただろう。Wikipediaには載っていないが、直前にストーカー規制法違反で捕まっていたらしい。元交際相手に嫌がられてしまった感じのようだ。ストーキングは良くないが、相当に辛くないと自殺はしないと思うし、辛かったんだろう。

私もなんでわざわざ「自分が、自殺したと知らなかった人のリスト」をここに書いているのかわからないが、自分が自分の人生を一生懸命生きていた間に、いろんな人がいろんな思いを抱えていなくなってしまった。全く良い趣味ではないが、WIkipediaという墓碑銘に刻まれた、そういった人たちの人生を振り返りながら酒を飲む、というのは、ある種の弔いだな、と思いながら、ふと、「あの人は生きているのだろうか」と思った父の友人のことを思い出して父にLINEして「あの人は生きてる?」と聞いたら、亡くなっていた。父は「思い出せば、あちらで喜んでくれるのでは」と言ってきた。その方はWikipediaには載っていない。

WIkipediaというのは、此岸の出来事が何らかの条件でフィルタされて刻まれる板なのだなと思う。そしてWIkipediaには、彼岸のことは何も書いていないのだなと思う。

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!