「ラストレター」 あらかじめ失われた物語たち (ネタバレ)
重要人物があらかじめ失われている、これが岩井俊二の「レター二部作」に共通した設定だ。
「ラブレター」では山で遭難した恋人、そして「ラストレター」では自死した高校時代のマドンナ。二つの作品はいずれもこの人物の葬儀に関連したシーンから始まる。
このことが映画に彼らを「思い出す」というベクトルを与える。
残された人々は、失われた人を思い出す。ある人は恋焦がれて、ある人は恨んで、ある人は嫉妬して、ある人は諦めて、ある人は同情して、ある人はそこに希望を見出して、様々な思いを抱いて