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UCLA医学部教授が教える科学的に証明された究極の「なし遂げる力」



はじめに

最近、働き方について考える。
そこで参考文献と探している過程で、以前に読んだ著書を読み直したので、紹介しようと思う。

本書はUCLAの心理学者が著した人の行動を変える方法について書かれた本である。

新たな事柄を「なし遂げる力」を得るために必要な心に効く7つの力は、

1.目標を小さく刻む
2.コミュニティ
3.重要性を認識する
4.簡単にする
5.ニューロハックス
6.夢中になる
7.ルーチン化する

であると著者はいう。

以下にそれぞれの7つの力について興味深い箇所を記す。

1.目標を小さく刻む

・行動を変えるには、結果よりも日々のプロセスに焦点を当てる

・快感を誘発するドーパミン分泌量は、報酬の大小ではなく、期待値に対する大きさに応じて増える

・目標を細かく刻んでステップアップしていったという著者の当時のバンド仲間が、やがてあのリンキン・パークとなったというくだりには大変驚いた。

2.コミュニティ

一人ひとりは退屈し、やる気を失い、疲れたりもするが、チームの磁力が途中で止めることを許さない。これが、ソーシャル・マグネットの力

だという。これは続けることへ作用する良い面がある一方で、SNSが時間を奪ってしまうことに繋がってもしまうので、諸刃の剣となる点に注意が必要である。

3.重要性を認識する

「将来の自分」を想像することは、「なし遂げる力」を高めるのに役立つ。

4.簡単にする

「人はかんたんなことの方に流される」例えば親友とは近くに住む人であることが多い。これは「怠け者」なのでなく「簡単さ」が人間心理に働いた結果であるらしい。

出逢いを見つけるには、婚活サイトなどあるが、なぜ結婚年齢は上昇しているのか?という理由に、選択肢が多すぎることを挙げている。これは毎日同じ服を着るという習慣の逆である。

5.ニューロハックス

ニューロハックスは2つの心理的プロセスから行動を継続させる

1.人は、誰かに強いられることなく自ら選択して何かをしているとき、それを重要な行動だとみなす。
2.人は、過去の行動を振り返ることで自らのアイデンティティを形成する。

笑うから面白く感じる

経験があると思うが、無理して口角を上げて作り笑いをしていると、していないときと比べてポジティブに受け止められるようになる。

「心を変えると行動が変わる」ではなく、まず行動を変える。それによって心はリセットされるので、意識的に脳を騙して「なし遂げる力」を高める。

6.夢中になる

夢中になるために、物事を魅力的にするための方法を5つ挙げている。

1.「正しいこと」を楽しくする
2.ムチよりもアメを使う
素行の悪い受刑者に罰ではなく、良い行動による報酬を与えることが効果がある実例
3.「金が最高の報酬」とは限らない
金で幸せは買えない
4.知識だけでは不十分
人に行動を続けさせるには、知識を与えるだけでは不十分で、心理や感情に訴えることが必要
5.行動そのものを報酬にする

トリック・フィックス(間欠的報酬)
元世界銀行総裁のポール・ウォルフォウィッツはインドネシア語を習得するため、愛読書を母国語(英語)とインドネシア語版のいずれをも読んだ。さらに半年後にインドネシア語で演説することにした。その結果、現地人から尊敬される対象になってますます学習意欲が高まった。

夢中になる弊害といえば、
マイルを稼ぐために必要でない旅行をする人が調査によると4人に1人いるらしい。

スターバックス・リワードは、記録的な成長に大きく貢献したというが、個人的にもスターを貯めるのに一時期頑張って結局次のステージへ行けずリセットされた過去があり、当時と比べてスタバへ全く行かなくなった今、まんまとハマった自らを省みながらも、スタバの報酬を利用した戦術の成功を感じてもいる。

7.ルーチン化する

・脳は常に物事を簡単にする方法を探し、何度も繰り返される行動を習慣に変える。そしてホメオスタシスとして習慣が成り立つ。

意外で驚いたのは、テトリスはPTSDを抑える効果があるそうだ。

また瞑想のメリットは昨今の多くの書籍で目にするが、本書も御多分に洩れず瞑想が忍耐力、集中力などを高め、健康・幸福、人間関係、生産性に望ましい変化を起こすという。

「磁気的行動」という新たな習慣を既に習慣化しているものと組み合わせる方法では、競泳のフェルプス選手が試合前に行うストレッチ、ヒップホップを聴くなどのルーチンを紹介している。ここで大切なのは、疲れていたり気分がノらない時に、過去の成功体験によって泳ぐ意欲を高め、成功を引き寄せやすくなる点である。

おわりに

最終章では、以上7つの力を組み合わせて「なし遂げる力」を最大化する方法を記している。

ここでハッとするのは、スマホやゲーム機のようなツールは、以前なら時間潰しに行なっていた読書やスポーツ、人と会うなどからユーザーを独占し、新たなる「気晴らしのテクノロジー」たる玉座を手にしたことである。

その結果、強いストレスを感じたり、忍耐力低下、さらに注意を眼前の現実からそらす役割を担うまでになったことだ。

皮肉なのは、イノベーションを生み出した張本人ことスティーブン・ジョブズは、家庭では本や歴史など語り合い、iPadやMacによるテクノロジー中毒から家族を守っていたという。

さまざまな行動別に対処方法が記されているが、なるだけ7つの方法を多く組み合わせた方が良いようだ。

本書の方法は、脳科学的に自身の脳を都合よくある意味騙して、成功へ導くために強力なツールを我々に提供してくれた。その貢献はとても偉大だと思う。

書誌情報

UCLA医学部教授が教える科学的に証明された究極の「なし遂げる力」

ショーン ヤング (著), 児島 修 (翻訳)

東洋経済新報社

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