楽しい音楽のためのいっぽ④ -シャッフルのハナシ-
noteは久しぶりです。MIXする犬です。
去年はMIXを通じて多くの方とつながることができて、嬉しい限りです。
今年はもっと成長していきたい!
さて今回も、主にリズムの話。
とっても奥の深いシャッフルの概念についてです。
今までMIXしてきて、シャッフルを攻略できてる方は意外と少ないなという印象です。
しかし、シャッフルの曲というのは結構多い。
コレきちんと攻略できてないと、カッコよくならないし曲に馴染まない。
というわけで、まずはシャッフルとはなんぞや?何が起きるのか?という、ごく基本的なことを押さえておきましょう。
原理が分かれば意外と攻略は簡単です。
○シャッフルとは?
シャッフルとは、ざっくり言えばハネたリズムのこと。
もしもしかめよ~、っていうあの童謡とかがシャッフルのリズムです。
ボカロで言えばAyaseさんの「よくばり」、てにをはさんの「ヴィラン」あたりもシャッフル。
タッタタッタ、という感じ。
おそらくリズム自体に聞き覚え、なじみのある方は多いはず。
ちなみに対義語として、ハネてないリズムを「イーブン」と言ったりします。
覚えておくと、ちょっとだけ会話がスムーズになるかも。
○シャッフルの原理
どうなるとシャッフルのリズムになるのか、という理論を覚えておきましょう。
簡単な楽譜を使います。(音符の基礎知識があると良いです)
八分音符が8個並んでいるだけです。
このまま演奏すればイーブン(ハネてない)です。
この音符をそのままシャッフルにすると、こうなります。
3連符の真ん中が抜けた形です。3連中抜き、とよく呼ばれます。
タタタ、の真ん中が抜けてタッタ、になります。
シャッフルと呼ばれるリズムはおおよそこれのことです。
ちなみに楽譜にする際は、だいたい頭にこういう注釈みたいなマークがちっちゃく付いてます。
言っていることはさっき八分音符をシャッフルにした時と一緒。
この曲はシャッフルのリズムだから、この楽譜で八分音符が並んだらこう読み替えてねということ(のはず)。
○動くところと、動かないところ
説明としては先ほどのもので完結してしまうのですが、さすがに味気ないので、ガッツリ補足します。
むしろここからが本題です。
イーブン(ハネてない)のリズムからシャッフル(ハネた)のリズムに変化する際、どこがどう変化するのかをしっかり覚えておきましょう。
最初に並べたイーブンの八分音符に色々足しました。
黒丸の部分はクリックが鳴る場所。
赤丸で囲った音符は、シャッフルになると開始位置(鳴らし始める位置)が動きます。
この音符を、黒丸赤丸はそのままにしてシャッフルに書き換えます。
こうなります。
どう変化したのかというと、
☆黒丸の真下にある音符がイーブンの時より長くなった。
☆赤丸の音符が、それにより開始位置がズレて、なおかつ短くなった。
主にこの二つです。
逆に言えば変化していない部分もあって、
黒丸の真下の音符は開始位置がズレません。
シャッフルになっても、黒丸の真下にあるままです。
つまりクリックが鳴る瞬間の音符は位置が変わらないので、
この記事後半で書いた「クリックが鳴る瞬間の音をクリックと合わせる」という考え方がそのまま使えます。
それができるのであれば、赤丸で囲った音符を3連符3つ目の位置に動かす、これだけでシャッフルは完成します。
○16分シャッフル
ちなみに先ほどまで八分音符をシャッフルにしてましたが、16分音符でもシャッフルになります。
というかこちらの16分シャッフルの方がよく使われている気がします。
16分音符を並べてみました。
先ほど同様、黒丸(●)の位置はクリックが鳴る場所(=表拍)です。
二重丸(◎)の位置は裏拍です。
ちなみにお手持ちのメトロノーム、クリックを楽曲の2倍(BPM100なら200)に設定すれば、黒丸・二重丸両方の位置でクリックが鳴るようになります。
これやっとくとシャッフルも分かりやすいかと。
この譜面に、赤丸を追加します。
赤丸で囲ったのは、先ほど同様シャッフルになった際に開始位置がずれる音符です。
このままこの譜面をシャッフルに置き換えると、
こうなります。(半拍3連ってのがあるんですね。便宜上そちらを採用しました)
記号だらけで分かりづらいですが、八分音符の時と全く同じで、
☆黒丸の真下にある音符がイーブンの時より長くなった。
☆赤丸の音符が、それにより開始位置がズレて、なおかつ短くなった。
こういう変化です。
今度は、黒丸だけでなく二重丸(◎)の真下にある音符も開始位置がズレません。
場所が動くのはあくまで赤丸の音符のみです。
前述のようにクリックを楽曲の2倍の数値(=八分音符クリック)に設定しておけば、黒丸(●)二重丸(◎)両方の位置で鳴るので、動かない音符が分かりやすいはずです。
○スウィング?-長さの比率-
シャッフルと似た言葉にスウィングがあります。
どちらも日本語では”ハネている”と表現されます。
これはなかなか混同されている言葉で、僕自身正直どっちでもいいし、ジャンルや雰囲気によって使い分けられていることが多い気がします。
Wikipediaを読んで解釈したところ、
シャッフル=3連符で成り立つ
スウィング=必ずしも3連符ではなく、演奏者の好み
という区別のようです。
「必ずしも3連符ではなく、演奏者の好み」という部分をここで掘り下げます。(言葉の区別は正直、僕は気にしてないので)
シャッフルの場合、先ほどまでの説明の通り
八分音符2つ=3連中抜き
のリズムです。
言い換えれば、この八分音符2つの"長さ"は
1つ目 : 2つ目 = 2 : 1
こういう比率になります。(3連符なので、合計(?)3にしてます)
イーブンであればどちらも同じ割合。
シャッフルだと2 : 1 。
最初の音符が長くなり、2個目の音符がその分短くなります。
「必ずしも3連符ではなく、演奏者の好み」というスウィングの定義は、
「長さの割合を好みに応じて操作できる」ということ。
シャッフルだと
1つ目 : 2つ目 = 2 : 1
という割合ですが、
これより弱いハネ具合にしたい場合
1つ目 : 2つ目 = 1.7 : 1.3
もっと強いハネ具合にしたい場合
1つ目 : 2つ目 = 2.5 : 0.5
こんな具合で比率を調整して好みのハネ具合にできます。
(分かりづらくてごめんなさい)
実際に演奏されるときはこんな比率の数字は出てきませんが、あえて言葉にするならそんな感じになります。
ちなみに人によって気持ちいいハネ具合が違ったりします。
ということは、長さの比率の数字が人によって違うということ。
実際にハネたリズムで歌うときに比率を意識すると、表現の手助けになるはずです。またそういう観点で曲を聴くと楽しいかもしれません。
確かYMOがこの比率の具合をもっと深く研究していたはずです。
この比率のハネ具合だとこういうジャンルになる、みたいな。
興味がある方は調べてみてください。
○使いこなせると楽しいよ!
説明は以上です!
「なんとなく」で捉えがちなシャッフルですが、きちんと理解できればきちんと表現ができます。
1曲通してきちんとシャッフルを表現できるとクオリティが上がります。
ここはできてる、ここはできてない、だと統一感がありません。
リズムの基本は「統一感、連続性」です。
リズムは統一されたものが連続することで心地よくなる、という性質があるので覚えておくと良いかもしれません。
余談ですがイーブン(ハネてない)の曲だけどここだけシャッフルさせると気持ち良い、みたいなケースも存在すると思います。
MIXの時、歌い手さんにそういう提案したりもします。
毎回のことですが分かりづらい解説ですみません。
TwitterのDMなどでわからない箇所、聞きたいことがあれば教えてくれれば絶対回答します。
より楽しい音楽の手助けになれば幸いです!
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