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バリスタ保健師の働き方。コーヒーを通して「働く人」の健康を支えたい。

こんにちは。Shinoです。

わたしは普段、会社版保健室の先生(=産業保健師)として、働く人の心と体の健康を支えるお仕事をしています。働く人の健康を支えるために、「バリスタ保健師」という新しい働き方を形にしていくことが今のわたしの目標です。


形にしていくためには、周りに理解してもらうことが必要です。そのために、自分の想いを言語化して、頭の中を整理していこうと思います。

バリスタ保健師は、「コーヒーをつくって、みんなのお話を気軽に聞く人」です。2019年9月に決めた目標で、自分なりに模索しながら活動しています。

バリスタ保健師の話をする前に、
そもそも保健師って何をしてるの?とよく聞かれることが多いので
保健師の仕事について簡単にまとめます。

▼「保険屋さん」じゃなくて、健康を守る「保健師」です。

保健師は、看護師や助産師と同じ「看護職」です。保健師になるためには、保健師・看護師両方の国家試験に合格する必要があります。

看護師と保健師の違いですが、ざっくり言うと看護師は「治療」に関わり、保健師は「予防」に関わります。保健指導や健康教育を通して人の病気を予防できるよう、健康維持・増進活動に務めます。

▼働く人の健康を支えたい。

看護学生時代の実習で、病気になってから後悔する患者さん・悲しむ家族友人をみて、健康で元気でいることの何気ないことの大切さについて考えさせられました。あたりまえが、あたりまえじゃなくなる。こんなに辛いことはないなと思いました。

怪我や病気をしないようにもっと早い段階から日常的に予防することができたら、みんなが笑顔で楽しく過ごせるんじゃないかなと思い、保健師として働くことを決めました。

そしてその中でも、家族や社会のために働く「働く人」の健康を支えたいと思い、企業で働く「産業保健師」という働き方を選びました。(その他に、行政・地域で働く「行政保健師」、学校で働く「学校保健師=養護教諭」、病院で働く「病院保健師」と様々な場所での働き方があります。)

▼目に見えないサインを、キャッチすることの大切さ。

保健師としての仕事のひとつに、健康支援面談があります。1年に1回健康診断の結果を振り返り、一緒に健康目標を考えます。

私の勤務地には従業員が9000人いて、全員を対象に面談を行なっています。他の業務と並行しながら、この人数を10人の医療職で面談を行っていますが正直大変です。それでも、私たちが全員面談を大切に続けている理由は、健康診断の結果から見えるものが健康のすべてではないから


また、1年に1回だけでも医療職とのつながりをつくることで、何かあった時に相談してもらえる関係づくりを行うためでもあります。

体の変化や不調のサインは健診結果から予測できても、心の健康など対面で会わないとキャッチすることが難しい問題も多いです。
健診結果は特に大きな問題がない従業員さんが「辛いし大変なこともあるけど、この面談で1年に1回会って話聞いてもらえるのが結構救われるんだよね」と話してくれた時、安心して話せる時間・空間に需要があることに気づきました。

▼ノータッチ世代の健康をどうにかしたい。

20〜30代の健康上問題が現れにくい世代を、私は勝手に「ノータッチ世代」と呼んでいます。40〜50代は徐々に体の変化が体型だけでなく、健診結果のデータにも現れてきます。

日本人の死因上位には心疾患・脳血管疾患があり、原因となる高血圧、糖尿病、脂質異常など健康状態が悪い人を優先的に関わることが多いため、体の変化が現れにくい20〜30代の若い世代はノータッチになってしまうことが多いのです。

でも年齢関係なく健康は大事だし、長く健康でいてほしいので、早い段階から健康に関わりたいと思います。

▼30代は、環境や役割、体の変化が起きやすい世代

異動、転職、先輩・後輩などの人間関係、昇進による役割の変化結婚・出産・育児による環境の変化が多い30代はライフサイクルによる環境や役割、身体の変化が起きやすい世代と言われています。

「30超えてから体が変わった。20代のころはちょっと運動すれば痩せたのに減量が難しい」という意見は35歳前後の従業員からよく聞く話です。

また、30代の死因第1位は、男女ともに「自殺」です。ショックなデータですが、心の健康予防が大切であることも、改めて考えさせられます。


▼新しい出会いから見つけた、自分のやりたいこと。


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2019年5月から半年間通った連続講座「言葉の企画」。
この講座には、70人が受講しており、コピーライターや学校の先生、ナレーター、マーケティング、営業、写真、飲食業などなど…いろんな職業の仲間との出会いがありました。医療職とは違う業界の働き方を知ることは私にとって、とても新鮮なものでした。


逆にみんなからすると、「保健師って初めて会った!」と驚かれたことに驚き、「こんなに頑張って働いているみんなの健康は一体だれがサポートしているんだろう?」と疑問を持ちました。


「健康診断は会社で受けてるけど結果が返ってくるだけで医療職との面談はない。産業医の存在は知ってるけど健康に問題がある人が会うイメージ。」「基準値超えてるのはちょっと気になるけど、見方もよくわからない。A判定だから大丈夫だと思ってる。」というみんなの話を聞いて、なんてこったと思った。

フリーや個人で仕事をしている人は、健診何年も受けてないという話を聞き、お願いだから受けてくれ〜〜〜!と泣きたくなった。自分の会社であたりまえに行なっていた全員面談の保健指導は一般的にはあたりまえじゃないことを知りました。

おせっかいかもしれないけど、健診結果見るよと言ったら喜んでもらえたことが嬉しかったです。健診結果の見方を伝えると、自分の普段の生活習慣と答え合わせをしているみたいで、「このデータを良くするためには何をしたらいいの?」と興味をもってくれた人もいて、健康に関心がないわけじゃなくて、健康診断の結果が自分の行動とどう結びついてるのか知るきっかけがないだけなんだなと気づきました。


だから私は、興味を持つ「きっかけ」づくりをしたいなと思いました。

▼ないなら、つくっちゃえ。

労働安全衛生法という法律で、人数によって産業医を置かなくてはいけない決まりがあり、保健師は産業医の活動をサポートするために配置されるので、従業員数が多い会社には保健室があって常駐していることが多いです。

個人で働く人や、少人数の企業では、働く人の健康を支えるサポートはあっても、どのくらい活用できているんだろう?と疑問に思います。

現に、保健師は知ってても会ったことないという人が多いので私が関わりたい「ノータッチ世代」は、健康サポートを受ける機会は少ないんじゃないかなと思います。

どう関わる機会をつくっていくか考えた時に、
ちょっとした相談が気軽に話せるみんなの保健室」みたいな場所をつくりたいと思いました。

体や心の健康の相談って、仲がいい家族、友達だからこそできないこともあると思うんです。私自身、保健室の先生だから安心して話せることがありました。
だけど、大人になってからは、そういう話を聞いてもらえる場所って意外と少ないなぁと思います。



▼「コーヒーを飲みに行く」それだけでいい。

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わたしが大切にしたいことは、「気軽さ」です。
「健康」を入口にすることでハードルを上げたくない思いがあります。
そこで考えたのが、「コーヒー」を入口にすること。

コーヒー片手におしゃべりする。
このくらいの気軽さが、わたしはとても心地いいです。

本当は話を聞いて欲しいというときも、
コーヒーを飲みに行く」という表向きな理由があれば、気軽に来て、話すことができると思います。

話したい時に話せばいいし、ただコーヒーを飲みにきて一人でゆっくり過ごしてもいいし、大切な友達と過ごす場所になっても嬉しいし、新しいコミュニティが生まれたらもっと嬉しい。

おいしい、たのしい、うれしいを感じること自体、心の健康につながるけど、
そのうれしい気持ちを人と一緒に共感して繋がりをもつことは健康にプラスになります。

だから、コーヒーをのみながら、一緒に笑ったり、誰かに聞いて欲しい話を自由にできる場所。コーヒーをいれるバリスタが保健師だったら、ついでに健康の相談も気軽にできちゃう。人の暮らしの身近にあるカフェ、人の動線の中に医療職から入り込んでいくことで、できることがあるんじゃないかと思います。

▼ホッとする癒しの時間と笑顔をつくりたい。

「ここに来たら、コーヒーがおいしいし、うれしかったことは一緒に喜んでくれて、辛いときはただ話を聞いてくれるバリスタがいて、ほっとするし笑顔になれる。明日もがんばろうと思える。」

誰かにとっての活力になる、居心地のいい、元気を充電することができる、そんなカフェをつくりたいな〜と妄想しています。

コーヒーは、人と繋がり、気軽にコミュニケーションが生まれる
最高の飲み物だと思います。

だいすきなコーヒーと、自分の得意な健康で働く人の健康を支えたい。

好きと得意が重なる部分を仕事にできたら、自分自身ももっと楽しく働くことができて、関わる人の健康も支えることができる、みんながハッピーな循環を生むことができるんじゃないかなと考えています。

バリスタ保健師という、自分にとっての新しい働き方。


コーヒーを通して、働く人の健康を支えることができるように、
2020年は種まき活動をがんばります。

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今後、活動を通して感じた気づきや自分の想いもnoteでまとめていこうと思うので、応援していただけると嬉しいです。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!^^


2021年5月19日にインタビューしていただいた記事。
もしよろしければご覧ください。




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