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乗換案内と地図アプリだけでは東京は歩けない

東京に一泊二日。
中学生の頃から好きなPerfumeのライブに行くためだ。
コロナウイルスの影響で直前まで行くか悩んだけれど、ライブは開催されることになったし、好きなアーティストのライブがせっかく当たったのだから行こうと決めた。

1日目は昼過ぎに東京に着き、少し散策したあと東京ドームのライブに向かい、2日目は東京のカフェを何軒かはしごする予定だった。
ダメもとで東京に住んでいる友達に会えないか聞いたら、1日目なら日中会えるとのことだったので一緒にお昼ごはんを食べた。
(その友達のことは別の記事で取り上げようと思う)

友達が東京ドームの最寄り駅まで送ってくれたので、東京ドームに向かうのはスムーズだった。
お陰さまでライブを楽しむことができ、とても良い思い出になった。
(このライブも別の記事で取り上げたい)

2日目、目覚ましをかけず、目が覚めてからすぐ起き上がらずにゴロゴロしてスマホを見て、起きようかなと思ったタイミングで起き上がることができる幸せを噛み締めた朝。
(実家だとゴロゴロしてスマホを見ている時点で怒られる)

のんびりホテルをチェックアウトし、目指したのは渋谷駅。
いずれ東京で働こうと思っている私は、この東京観光で数年後の職場探しをしようとしていた。
前の店長に聞いたおすすめの会社が運営しているカフェの中からいくつかピックアップしておき、そのお店に向かった。

乗換案内アプリを使い渋谷駅にたどり着いたものの、自分が地図上のどこにいるのか全くわからない。
出口がたくさんあって、向かうべき出口は何となくわかっているけれど、それがどこにあるのかいまいちつかめない。
そうこうしているうちに人に押し流される。立ち止まることすら許されない。
やっとのことで見つけた出口、人の流れに乗ってなんとかかんとか目的のカフェにたどり着いた。

ラテと軽食を注文して一息。
想像していたより小さなお店、カフェというよりコーヒースタンドといった佇まい。
ラテアートも綺麗だったし、軽食も美味しかった、けれどそこで働く自分はいまいち想像できなかった。

次に向かうカフェを決め、再び渋谷駅へ。
地図ではすぐそこなのに、またどこに向かって歩けばいいのかわからなくなった。
代官山、南青山、カフェを調べるとよく出てきた地名。
東京の地理なんて全く分からなくて、代官山も南青山も渋谷という東京のど真ん中とも言えるような場所から近いなんて知らなかった。

乗換案内と地図アプリさえあれば東京は歩けると思っていた。今までそうやって東京観光をしてきた。
けれど違うのかもしれない。それだけでは東京がどんな街かなんて分かりっこないのだ。

渋谷にいる人たちは堂々と一歩一歩確実に歩いていてかっこいい。
私はどうだろうか、ただ東京というものに憧れてさまよっていただけな気がした。なんだか恥ずかしかった。

渋谷駅から次のカフェへと歩いて向かった。
渋谷駅周辺は高層ビルがたくさんあって、いわゆる駅ビルは高級ブランドのショップの集合体でキラキラ輝いていた。
しかし少し歩いて大通りから一本細い道に入るだけでアパートやマンションの密集地帯があった。
あれれ東京って、高層ビルの塊だと思っていたけれど、都市部でも普通に家がある、なんだかイメージと違っていたな。
そんなことを思いながら歩いているとカフェに着いた。

カフェではそれぞれみんな思い思いの時間を過ごしていた。
何かについて討論し続ける人たち、パソコンで仕事をする人、読書をする人、なにやら考え事をしていそうな人。
それぞれが目的をもって過ごしている感じがして、ああ、東京だな、という感覚をもった。
仙台だともう少し時間をただ消費しているような雰囲気があるんじゃないかな、と感じた。

もうひとつのカフェはやや遠かったのだけれど、ラテを飲んでお腹がいっぱいになっていたので歩くことにした。
東京の人たちは平均的に歩くのが速くて、仙台では簡単に目の前の人を抜かせるのに東京ではなかなか前の人との距離が縮まらなかった。
生き急いでいる、という人もいるけれど、私は時間を無駄にしていなくていいじゃん、と思う。

歩いていたらだんだん方向感覚を取り戻して、地図を時々見直す程度で目的地に着いた。
やはりここでもラテを頼み、少し調べものなどをした。

ラテアート、3つのお店のなかで一番綺麗だと思ったし、店内の雰囲気も流れている音楽も一番いいなと思った。

でもやっぱり私が働くイメージは持てなかった。

私はどんなお店で働きたい?そう考えると自分は相当わがままなことに気づいた。
ある程度食事は出したいし(サンドイッチなどの軽食ではなくしっかりお腹が満たされるもの)、ランチタイムやティータイムの区切りはないところがいい。
コーヒーにこだわっているお店でも、コーヒーが好きじゃない人も楽しめる飲み物も置いてあるお店がいい。
そして、ラテアートがしたい。

この全部を叶えることは難しいということを思い知らされた。
でもどれも諦めたくなくて、こだわり続けたいのだ。
自分のやりたいことを、納得できる形でやりたいから。

東京はとてもかっこいい場所だと思う。
多様性があって、それらが共存している。
それと同時に、厳しい場所だとも思う。
ぶれない自分を持っていないと、埋もれてしまう気がするのだ。

今の私じゃきっと埋もれてしまう。人波に押されて流されてしまう。
でも負けないよ、きっとまた来るよ、力をつけて東京で生きたいよ。しっかりと二本足で立って、堂々と東京を歩きたい。

新しい東京を知って、東京で生きたいという想いが強くなった2日間だった。

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