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Go North! 北への道(1)観光で行こう

Pet Shop Boysの「Go west」を聴くと北朝鮮・朝鮮民主義人民共和国への旅への意欲が沸いてくるのはぼくだけだろうか。会社に休暇を申しこんでスーツケースに着替えを詰めて、リュックサックに一眼レフを入れて飛び立ちたくなる。方角的には西で間違いない?か。

「北朝鮮と観光」(磯崎敦仁 慶応大学准教授著)という名著が出た。実に緻密に北朝鮮と観光についての研究がまとめられている。詳細はこの本を読んでいただくとして、ここでは簡単に触れておきたい。訪朝のルートは観光と訪朝団の2つに別れる。

 ぼくは過去5回のうち2003年と2010年に観光で、13年、15年、16年は訪朝団の一員として訪朝している。

 観光と訪朝団の違いは何か。まず北朝鮮側の受入機関が違う。観光を受け入れるのは朝鮮国際旅行社。訪朝団の場合は対文協(朝鮮対外文化連絡協会)が受け入れる。

 観光で行くなら日本国内でなら「中外旅行社か「JS TOURSに相談して見ることをお勧めしたい。中国に行き中国の旅行社を通じて申し込む方法もあるがぼくは試したことがない。個人的には”朝鮮政府公認の唯一の窓口”とHPで謳う中外旅行社は硬めの対応。JS TOURSは柔らかめの対応と企画を多く提供する印象がある。

 ガイドブックとしては朝鮮新報社の「朝鮮 魅力の旅」をお勧めしたい。朝鮮総連の機関紙「朝鮮新報」を出している朝鮮新報社が発行したコンパクトなガイドブック。下調べにも、現地でも役に立つ。

 ところで北朝鮮の旅だが結構な値段がする。1週間ほどの滞在で運賃から現地の滞在費、お小遣いまであわせてざっと30万くらい。その理由は色々とある。

・ 北京~日本の往復航空券が結構いい値段する
 中国までのチケットは格安航空券にして、現地の旅行社経由で向かうメリットはこれ。春節や国慶節シーズンはなお高くなる。中国の影響が大。
・北京~平壌間の高麗航空の航空券に格安航空券がない
 ついでに言うならマイルもない。
・万景峰92号が入港禁止になったから
 これはよく在日コリアンの方が話す理由。昔は往復3万円で新潟から元山(ウォンサン)を往復出来たとか。
・直行便が無くなったから
 かつては松茸シーズンなどを中心に、チャーター便が不定期にあった。
・そもそも需要がないから
 年間の訪朝者数は数百人。そりゃ確かに需要がなければ安くならない。

 在日コリアンの友人は新婚旅行でイタリアに行った。「君たちは万寿台の結婚したら銅像の前に行って結婚の報告するんじゃないんかい!」とツッコンだら「ヨーロッパ旅行と同じ値段するんですよ!」と言い返された。

  訪朝出来ない職業の人もいる。03年に訪朝した際に以下の人は訪朝出来ないと聞いた。
・自衛官、警察関係者
・右翼関係者
・マスコミ関係者

 でも右翼の鈴木邦男氏も訪朝しているし、ぼくは他の右翼関係者といっしょに訪朝したこともある。観光ではマスコミはダメでも、訪朝団としてなら行けたりもする。右翼関係者でよど号メンバーとの縁があって訪朝したという人もいたからこのあたりは本当に謎だ。ある観光社で言われたのは特にマスコミ関係者の部分。「観光で行くなら書くな」と強く言われた。
 
 そこを乗り越えれば思った以上に敷居は低い。日本人の若い趣味者やYouTuberの訪朝も近年増えているしぼくも一時幹事を務めていた日朝旅行友の会という会もある。北朝鮮に旅行した人たちの愛好会もあるようだ。

 ぼくは観光とは縁が薄くなっているので余り多くを述べることは出来ないが、ごく基本的なことを書いておきたい。

1)複数の方法を比較検討すること
 他の国なら複数の旅行社に見積もりを出したり、比較サイトを使って検討するはず。北朝鮮も同様のことをするべき。複数の旅行社、方法への相談とアプローチを怠らないこと
2)出来るなら担当者と一度は直接会うこと
 30万円という金額は大きい。メールや書類、電話のやり取りだけで出発の日を迎えるのは避けたい。直接会って話すことで、企画を詰めることが出来る。
3)徹底的に行きたいところの希望をだすこと
 何となく「〇〇出来たらいいなぁ」というほんわかとした感じではなく、例えば遊覧飛行をしたい。玉流館(平壌冷麺の名店)で冷麺を食べたいなど徹底的に具体化したプランを出すこと。
4)担当者の大丈夫です、ということばを簡単に信じないこと
 現地でプランをひっくり返すのは至難の業。担当者を疑えとは言わないがなあなあにはしない。「本当に大丈夫ですか?」念押しは必要。
5)とはいえ様々な事情で現地で予定が変わることがあるのを覚悟すること
 かつて玉流館に行きたいと希望を出し、現地の案内員ももちろんOKです、ぜひ本場の冷麺を食べてくださいね!といってくれてたものの、当日金正日総書記が玉流館を現地指導していて行けなかったことがある。
6)現地での逆転ホームランを信じること
 案内員たちは、北朝鮮に”わざわざ”やって来た日本人を訝しみながらも、何度も来るリピーターになって欲しい。どんなプランが日本人に響くのか知りたい。そんな想いを持っている。案内員と信頼関係を作ることが出来たら思わぬプランが現地で生まれることもある。

 特に初めて北朝鮮に行く人には観光をお勧めしたいと思う。案内員もこちらの思う以上に融通を効かせてくれる印象がある。あちらで万が一、知らずに失礼なことをしても口にしても「まぁ初めてだし観光で来たんだからしょうがないわな」と許してもらえる印象がある。だが、観光で訪朝した某大学生が現地で大量飲酒し、ホテルで狼藉を働いたという話も聞いたがそれはいただけない。節度ある行動に努め言動も最大限緊張して欲しい。油断は禁物である。

■ 北のHow to その9
 ○○したい!と徹底的に”日本で”主張することが大事。1回30万円。悔いないようにしたい。主張するためには調べることが必要となるし、調べることが現地での楽しみにつながる。よくわからない国だからこそ調べて主張することが大切なのだ。その熱意は北朝鮮の案内員にも必ず響く。彼らも日本人像とそのニーズを知りたいし、リピーターが欲しいのだ。つまり、北朝鮮への観光旅行はただの観光ではない。日朝友好につながる未来への希望の種なのだ。

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サポートいただけたら、また現地に行って面白い小ネタを拾ってこようと思います。よろしくお願いいたします。