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43 モラハラに気づいた日

 保育園からもらってきたパンフレットの「それはDVでは?相談ホットライン」という見出しが目に飛び込んできました。

そして中に「モラルハラスメントチェックリスト」が入っていました。保育園からは心の悩み相談室、とか育児相談室、とかいじめについて、とか様々なお便りが配られるのですが、気に留めたのは初めてでした。「モラルハラスメント…?」
なんじゃそら、と思いつつ、なんとなく中身を見てみました。可愛いイラストでモラルハラスメントについて解説してありました。


『加害者は夫である場合も妻である場合もあります』

そして続く項目の数々に「もしかしたら…」と嫌な予感がしました。


「自分の過ちを認めない」
「パートナーの体調不良を責める」

「都合が悪くなると無視する」

「自分で決めないで相手に決めさせる」

心臓が早くなるのがわかりました。あまりにも当てはまるのです。「もしかしたら、夫がしていることはモラルハラスメントなのかもしれない…。」夫が帰ってくる前に、最初からそのチェックリストをやってみました。車の件、お誕生会での発言、食事のこと、自由に飲み会に行けないこと…様々な場面が浮かんできます。
「…やっぱりそうだ」
ただショックでした。すべての項目にきれいに当てはまったのです。モラルハラスメントの加害者になりやすい人と被害者になりやすい人の性格の特徴も、すべて。

 そういえば、これまでも「虐待ホットライン」「自殺SOS」などの電話番号を検索し、通話ボタンを押せないことが何度もありました。私の心の問題だと思って、朝まで泣きながら耐えたこともあります。夫がモラハラだとしたら、私の心が弱くて異常なのではなくて、傷つくのは普通の反応なのかも、と希望が持てました。


(でも、モラハラかも、ということがわかって、そのあとはどうしたらいいの?)
・・・パンフレットにそこまでは書いていませんでした。電話相談して、そのあとは?離婚?シェルター?そしたら家族はバラバラになってしまいます。


チェックリストが地雷すぎて実施できない

「あなたはモラルハラスメントをしているよ」と面と向かって言うなんて、考えただけでも恐ろしく思いました。同時に、そんな人を結婚相手に選んでしまった自分自身も否定する気がして、とても受け入れられませんでした。それこそが洗脳なのですが、伝えたところで、責められ、否定され、無視されるかもしれません。そんなの耐えられるだろうか。

 でもせめて、テーブルの上に置いておいたらどうだろう。自覚を少しでも持っていれば、夫が自分で中身を見るかもしれません。私から見せれば、私のせいで不機嫌になってしまいます。事態の収め方がわからないのです。だから、テーブルに、見えるところにパンフレットを置いておく・・・この時の私の精一杯の行動でした。
 
モラ夫「じゃあ行ってきます」という夫の声にハッと我に返りました。
「待って!」
ベランダプールで濡れた足を急いで拭いて玄関に走ります。いつものようにお見送りをしなくては。
「行ってらっしゃい、気を付けてね」
モラ夫「うん、行ってきます」
出かけるときだけは夫は優しく受け答えをしてくれました。それはそうです。元夫は自分の趣味で出かけるのですから、機嫌が悪いはずはありません。行先も何時に帰ってくるのかも、いつもわかりません。聞いても「わからん」としか答えません。

 リビングに戻り、テーブルの上のパンフレットを見ました。夫が開いた形跡はありませんでした。「・・・見てない」なぜか半分ほっとしたような気持ちになりました。やっぱり今度にしよう。もっと、気持ちが強くなった時に。

モラハラが分かった後の対処がわからない

「モラハラということが分かったって、どうしようもできない。指摘したらまた無視されるだけだ」

 そして私はそのパンフレットをごみ箱に捨てました。これ以上、余計なもめ事を私から起こす必要はないのです。夫が優しい時は平和なのだから。今以上に笑顔を増やせるように、ポジティブに考えたらいいのだ。そう自分に言い聞かせました。

大きな間違いでしたが、モラハラを知ることができたのは良いきっかけでした。ここから約3年後に離婚が成立します。

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