[救急] 血管作動薬 / 昇圧薬④ 使い方-2
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[救急] https://note.com/putinorder/n/ncebe96dbf677
[血管作動薬①] https://note.com/putinorder/n/nd83141a09cb8
[血管作動薬③] https://note.com/putinorder/n/ne7975954c14a
前回、フェニレフリン、ノルアドレナリン、ドブタミン、エフェドリンの使い方についてまとめた。今回は残りのイレギュラーなカテコラミンであるドパミンとアドレナリンの使い方をまとめる。カテコラミン以外の昇圧薬としてバソプレシンについても扱う。
[1] ドパミン:濃度によってα作用・β作用・D作用など
生体内ではノルアドレナリンの前駆体となる。
α受容体とβ1受容体に対する直接刺激作用とドパミンD1・D2受容体への作用も持つ。カテコラミンの中では心拍数増加作用が強く、不整脈が出現しやすい患者には注意して使用する。命の番人、という意味でイノバンという商品名がついている。
[使い方]
A) 希釈
① イノバン [100mg/5mL] 体重×0.15mLをNSで50mLにのばす
② イノバン 200mgバッグ、600mgバッグを使う
B) 持続投与
①を1mL/hrで1γとなる
②は点滴の袋にγ換算が書いてあるので参照して使う
1γから開始して20γまで増量可能だが注意が必要
C) 作用機序を考えた投与速度
1〜3γ:利尿作用
3〜10γ:β1作用(HR↑、心拍出量↑)
10〜20γ:α作用(血管収縮)
[2] アドレナリン:強いα・β1・β2作用
カテコラミン類のうち最強のα・β1・β2作用を持つ。
心停止における蘇生の第一選択薬であり、アナフィラキシーショックの第一選択薬でもある。昇圧薬としては基本的に用いない。他の昇圧薬でも血圧が保てない場合に併用を考慮する。
[使い方]
A) 適応
① 心停止の蘇生
② アナフィラキシーショック
③ 昇圧薬として
B) 希釈
① ②は原液で用いる
③ ボスミン [1mg/mL] 体重×0.15mLをNSで50mLにのばす
C) 単回投与で
① 1mg=1mL静注して20mLのNSで後押しする
② 0.3mg=0.3mLをためらわずに筋肉内注射する
D) 持続投与で
③を1mL/hrで0.05γとなる
0.01γ (0.2mL/hr)から開始して様子を見ながら0.3γまで増量可能
[3] バソプレシン:V1刺激作用
血管平滑筋に存在するバソプレシンV1受容体を直接刺激して末梢血管を収縮させる。敗血症に伴う循環不全に対して使用することがある。
副作用としては低ナトリウム血症や無尿など。尿を出さないようにする内因性のホルモンなので当然っちゃ当然だが。
[使い方]
A) 希釈
ピトレシン [20U/mL] 1mL + NS 19mL → 1U/mL
B) 持続投与で
0.01U/min = 0.6U/hr = 0.6mL/hrから開始
様子を見ながら0.03U/min = 1.8U/hr = 1.8 mL/hrまで増量可能
次回は救急外来で使うかもしれない他の薬について。
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