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0004 聖アンドレイ・タルコフスキー監督『ストーカー』聖地巡礼

2023‎年5‎月‎5‎日(金)にエストニアのタリンとヤガラ・ヨアで聖アンドレイ・タルコフスキー監督『ストーカー』(Сталкер)の聖地巡礼をしてきました。

聖アンドレイ・タルコフスキーは『僕の村は戦場だった』の1962年第23回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞で列聖。

原作は、ストルガツキー兄弟(アルカジイ・ストルガツキー&ボリス・ストルガツキー)の小説『路傍のピクニック』(Пикник на обочине)。

映画本篇は、案内人である「ストーカー」と訪問者の「作家」と「教授」が車で“ゾーン”侵入制限区域外で(“ゾーン”出現のため)住民が立ち退かざるを得なかった居住エリアとして撮影されたタリン旧市街の西側新市街ロッテルマン地区からスタートします。
Rotermanni kvartal – Vikipeedia (wikipedia.org)
訪問した時点で再開発はほぼほぼ完了してオシャレ地区に変貌してましたが、聖タルコフスキーが撮影したなかば廃墟化した居住区の面影は残っています。
本篇画像・聖地巡礼画像の通りは作品に因んでストーカー通り Stalkeri käik という名称です。

旧市街北(←ふとっちょマルガレータ近辺)のタリン港徒歩圏にあるクルトゥリカテル Kultuurikatel は、タリンの中央発電所でしたが、1979年に閉鎖され今はイベントスペースになっています。
Kultuurikatel – the best creative and event centre in Tallinn.
本篇撮影当時の線路は完全に撤去されていますが、当時のままの大煙突には大きく白文字で「UN」と書かれています。この場所が国連監視下で“ゾーン”の完全封鎖エリアと侵入制限地区外を隔てるセキュリティ・ボーダーの場所です。境界地帯に待機していた国連警備兵の銃弾を掻い潜り、3人はトロッコに乗り換えて“ゾーン”に誘われます。

「UN」煙突には映画撮影30周年を記念する銘板が取り付けられています

“ゾーン”はタリン市内から(トロッコではなくて)車で30分弱ぐらいのイエラトメ自治体 Jõelähtme ハルジュマ村 Harjumaa ヤガラ・ジョア Jägala-Joa に存在してました。
Jägala-Joa – Vikipeedia (wikipedia.org)
ヤガラ・ジョア水力発電所 - ヤガラ・ジョア (wikimapia.org)
※スウェーデン・フィンランド・エストニア3ヵ国を周遊した聖地巡礼のファイナル・デスティネーションはこの発電所だったので、この建物を前にした瞬間はただただ感動でした。

ゾーン内を流れる川はヤガラ川 the Jägala river です。落差のあまりないヤガラ滝上から上流を見渡すアングルで映画本篇は滝上の河川の中央部分から撮影してます。私は左岸側から撮ってもらいました。この場所に立つことは日本出発前には想定していなかった(←似たような雰囲気の場所を訪問出来ればいいかな?と考えていた…)ので、映画本篇と殆ど変わらない中州を目の当たりにして、感極まって涙が零れました。
映画本篇は泡で混濁したとても神秘的な流れですが、実は川のさらに上流にあった有毒な化学プラントの汚染水が流れていただけで、このヤガラ川で有毒化学物質に長時間さらされた聖タルコフスキーは54歳で、作家役のアナトリー・ソロニーツィン(聖地巡礼で私が着用している「ストーカー」Tシャツのデザインのヒト)は47歳で共に肺癌で早逝してしまいました。※今の水は清流です。

水力発電所で堰き止められてヤガラ川の川幅が広がった部分も近くを通りかかることが出来たので寄ってみました。

映画本篇は「ストーカー」「作家」「教授」の3人ともゾーンの外に戻っちゃうのですが、ラストシーンに登場する発電所は、エストニアではなくて、モスクワのモスクワ川南岸に位置する第20番火力発電所(ТЭЦ-20)でした。
ТЭЦ-20 — Википедия (wikipedia.org)
ТЭЦ-20 (gazprom.ru)
執筆時点でロシアによるウクライナ侵略(←日本政府の見解)=特別軍事作戦(пециальная военная операция : special military operation←ロシア政府の見解)継続中ですが、落ち着いたらモスクワでТЭЦ-20も聖地巡礼して補足をするつもりです。乞うご期待。

©2023 プッチー・ミンミン
©1979 MOSFILM

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