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2024年夏期禅学会(大雄山最乗寺)

坐禅の豆知識

こちらは、2024年8月19日、20日、21日の3日間、小田原の大雄山最乗寺(曹洞宗)で開催された夏期禅学会(坐禅合宿)のレポートです。

どんなことをやるのか、参考になれば幸いです。

因みに、私の知りあいは「坐禅は坊さんに邪念を察知されると殴られる」と言っていましたが、坐禅の名誉?のためにも書いておきます。

ドリフの見過ぎです(笑)。

あれですが、寝ているとか余程ひどいことをしていない限り(一般参加者の坐禅会です)、勝手に打たれるということはありません。

全員を応援するために打つ場合もありますが、「打って欲しいです」と、合掌低頭してお願いして打ってもらうのです。


・臨済宗では坐禅は悟りに至る修行の一環。曹洞宗は「ただすわる(只管打坐)
・臨済宗では、壁に背を向けて座る。曹洞宗は達磨大師にちなんで面壁(壁を向く)
・打たれる場合の法具、臨済宗、黄檗宗では「警策」を「けいさく」という。曹洞宗は「きょうさく」という。
・曹洞宗では坐蒲(ざぶ)と言って、丸い固めのクッションを使う。私が臨済の坐禅研修センターに行った際は、座布団を二枚に折っていた。調べたところ、臨済では座布団が大きめで、足が床や畳に触れる事はないらしい。

最乗寺について


最乗寺は、曹洞宗のお寺です。
神仏習合の色合いが深く残っており、寺院と神社と修行道場が存在するという(残っていて大変ありがたい)お寺です。また、天狗伝説でも有名です。
私の中では、豊川稲荷(曹洞宗のお寺です)同様、ご祈祷系曹洞宗の素敵なお寺なのでした。

こちらは、2024年8月19日、20日、21日の3日間、小田原の大雄山最乗寺(曹洞宗)で開催された夏期禅学会(坐禅合宿)のレポートです。

どんなことをやるのか、参考になれば幸いです。

曹洞宗は一派ですが、道元禅師の永平寺系と、曹洞宗中興の祖と言われる瑩山禅師の総持寺系があります。

最乗寺のご開祖、慧明禅師は総持寺で修行されたお坊さんです。
最乗寺を建立する際に、天狗(道了尊)が関わってきますので、それは是非最乗寺の伝承をご覧下さい。

そして、今年のお正月、一緒に禅学会に参加した香徳さん(曹洞宗で在家得度したお仲間)から「お正月の『絶メシロード足柄上郡編』に最乗寺さんが出てきた」という情報を得たので、チェックしました。

最乗寺の奥の院へ向かう超長い階段を主人公が「富士山!」と言いながら登るシーンがありますが、あんなすごい階段があったのか(私は逆方向から上がったのであちらは知りませんでした)!
巨大な鉄下駄が写ってましたね。

夏期禅学会レポート

2024年8月19日から、21日にかけて、小田原大雄山最乗寺での「夏期禅学会」に、36期の有志の皆さん(17名)と、曹洞宗専門課程卒塾生8名が参加した。
※東京国際仏教塾のプログラムの一環として、2024年に開催。
36期塾生と、曹洞宗専門コース卒塾生に声をかけた。

「夏期禅学会」は、毎年最乗寺で開催されている。今回は一般参加者に混じり、仏教塾塾生は編入という形での参加となった。

8月19日(月) 
13時に最乗寺に到着。オリエンテーションを受け、宿泊部屋に一旦荷物を置いて着替えてから本堂に向かう。

14時 開会式(本堂)
14時30分〜16時 本堂にて坐禅
一炷目は坐禅に関するオリエンテーションとなる。
まず、本堂で山主老師様のお話を伺う。その後、14時半から早速坐禅となる。ちなみに、坐禅は「一炷(いっちゅう)」と数える。線香が一本燃えつきる時間だが、最近はおおよそ45分と言われている。気温と湿度が高く、坐っていると汗が流れてくるが、たまに涼しい風が流れてくる。

16時30分〜17時30分 入浴
素晴らしい木のお風呂。

17時30分〜18時30分 薬石(大食堂で夕食)
応量器を持って食堂に向かう。薬石は、ご飯と汁物、小鉢2つにたくわん二枚。

夜坐 止観(はじめ)19時〜20時45分
薬石終了後、部屋に戻り、再び廊下で二列になり、本堂へ向かう。昼の坐禅は連策(参禅者を応援するため、全員に警策)であったが、ここから警策を希望する人は、直堂が近づいてきたら合掌低頭し、警策を受けたい意思を表すように、という指示があった。
坐っている途中に、空が光るのが見えた。遠くで雷の音が聞こえる。雨が降り始めたようだ。
一炷終えた後は、経行(きんひん)し、抽解(終了)となる。
二炷目が始まり20分程度経ち、一同で「普勧坐禅儀」を読む。 ゆっくりと20分くらい時間をかける。その後抽解(終了)となり、9時に開枕(就寝)となる。

8月20日(月)
朝4時に起床。4時半になると、鈴の音とともに、廊下を走り抜けていく音が聞こえた(振鈴)。
4時40分に廊下に集合し、本堂に向かう。

暁天坐禅(ぎょうてんざぜん)4時50分〜5時30分
本堂に入り、朝の坐禅が始まる。雨はまだ多少降っているが、外は明るい。夜坐とはまた違う雰囲気である。川のせせらぎの音が聞こえ、空気は湿っていて、山の香りがする。
早朝の空気を感じながら坐禅を終えた。

略朝課 本堂での朝のお勤め 5時30分〜6時
「略朝課」として、舎利礼文、般若心経をよみあげた。

祈祷(ご真殿での祈祷) 6時〜6時45分
ご真殿は、百数段の階段を上った上にある。本来ならば外から階段を上るのだが、雨のため室内の階段をあがることになった。
大般若経の転読、般若心経、消災妙吉祥陀羅尼、仏頂尊勝陀羅尼などが唱えられる。ご真殿は、最乗寺の守護、道了尊薩埵の本地仏である十一面観世音菩薩が祀られている。ご祈祷の最後に、一同で十一面観世音菩薩ご真言をお唱えし、終了。

小食(大食堂にて朝食)6時45分〜7時30分
小食はお粥である。お粥、汁物、たくわん、6塩で頂く。

作務 7時30分〜8時20分
班ごとに分かれて作務を行う。私の班は書院(来客用客室)を掃除した。

本堂にて坐禅(二炷) 9時15分〜11時30分
前半の途中で、山主老師からのお話があった。
この頃になると、すでに五炷坐っているので、坐禅にも慣れてきている。瞑想や坐禅がきもちいいというのはある程度分かっていたが、実際にこれだけの時間集中して行うと、確かに何か変わったという実感がある
その後休憩をはさんでもう一炷坐る。
中食 12時〜13時 ご飯に汁物、小鉢2つにたくわん二切れである。

記念撮影 13時〜14時 本堂前
本堂前に山主老師はじめ、最乗寺の皆様と参加者が並び、まず全員で撮影後、仏教塾参加メンバーでの撮影を行った。
公開講座 13時15分〜16時 大広間(大食堂)
公開講座は今年初めて差定に入れたとのこと。講師は小田原市潮音寺住職、安藤嘉則先生である。駒沢女子大でも教鞭をとっていらっしゃる。
テーマは 「空」の実践としての禅〜今ここにいる私をあきらめる
特に「生死観」(いのちの見方)」について、また、マインドフルネスについてと禅との関係性については、非常に勉強になった。
入浴 16時30分〜17時30分
薬石 17時30分〜18時30分 大食堂にて

夜坐 止観 19時〜20時45分
昨夜同様一炷目後に経行を行う。抽解後、二炷目開始20分後、昨夜同様「普勧坐禅儀」を一同でゆっくりと読む。
開枕 21時
昨夜同様就寝。
8月21日(水)振鈴 4時30分 晴れ
暁天坐禅 4時50分 今回で十炷目となる。
小食 6時45分〜7時30分  大食堂で食事
作務 7時30分〜8時20分 今日は宿泊した部屋の掃除を行った。
山主老師提唱 9時15分〜10時30分
参加者に向けて、増田友厚山主老師からの法話があった。
・仏々祖々皆本は凡夫なり(「正法眼蔵随問記」巻第六)
この言葉は、山主老師が一番励まされる言葉であるとのことだった。
坐禅 10時50分〜11時30分 本堂 一炷の坐禅。
11時40分〜12時 閉会式(大食堂)
上膳 12時〜13時最後の食事
天ぷら、煮物、豆腐、炊き込みご飯、漬け物、汁物が供された。「典座さんが、揚げたての天ぷらを盛り付けてくれました、ぜひ、天ぷらからお召し上がりください」また「山主さまとお話出来る貴重な機会ですので、ぜひ お話ください」とのお話があり、多くの方が山主老師と言葉を交わし、一緒に写真を撮っていた。

14時 終了

何炷も坐ると、確実に心と体が変わると実感した。特に夜座と暁天坐禅(早朝)は、貴重な体験だった。これは日参の坐禅会では体験できないことだ。まずは十炷位坐ってみることをお勧めしたい。なお、帰宅してから「また坐りたい」という気持ちがわき上がってきたことを書いて終わりとする。


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