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10秒で学ぶ!イギリス英単語フレーズvol.24「私服デー」

イギリスの学校は幼稚園から(除く保育園)少なくとも中学までは、公立私立問わず、制服を着用するのが基本です。公立のものは大体のパターンが決まっており、スーパーで手軽に揃えることができるのですが、私立ですと指定の業者で靴下からリボン、備品までなんでもかんでも注文しなければならず、手間も出費もかかります。

コロナ禍では物流が滞り、在庫切れのアイテムが続出したので、何ヵ月も入荷待ちした人もいるようです。この新学期、私も何度もやり取りして苦労しました・・。

通常、これらの制服を毎日着用して通学するのですが、年に数回別のものを着て行く日があります。その多くは、さまざまなイベントでする仮装(関連記事)ですが、ほかにチャリティ目的のものもあります。

どういう仕組みかと言いますと、ある特定の日に私服を着てきたい子は£1(なんと、今年から£2に値上がり!物価高がこんなところにも😱)先生に払う必要があります。その集まったお金を、学校はあらかじめ決めてあったチャリティ団体先に寄付します。この、私服を着てくる日のことを

カリグラフィー:ローマン書体

と呼びます。小文字でも使えますが、あくまでも固有名詞なので単語の前にaはつけません。

言葉の由来

聞き慣れない単語だな、と思ったら、このmuftiという言葉はアラビア語で法学者を指すのだとか。ことの始まりは19世紀、当時中近東に従軍していたイギリス兵士たちは、勤務外の日に体を締めつけないゆったりした服を着ることによって、開放感を得ていました。

その格好が、どうやらイスラム圏現地の服装を想起させたのか、少なくとも1816年頃から「制服を着なくてよい、カジュアルな日」の例えとしてmufti dayという呼び名が定着しました(参照:Crellin, Zac. “We Had A Look At The Origin Of The Term ‘Mufti Day’ And Turns Out, It’s Kind Of Problematic” Pedestrian 2020.)。

これがその後、制服のある教育機関でも広く浸透し、イギリス本国だけでなくオーストラリアやニュージーランド、インド、カナダといった英連邦の国々でもすっかりなじんでしまいました。

「意義アリ!」疑問を抱くネーミング

ところが近年、特にオセアニアのオーストラリア、ニュージーランドなどで、この外来語に違和感を持つ生徒が出てきたそうです。というのも、当地では法学者という権威ある存在を指す言葉であるのに、英語では意味によっては「カジュアル・フライデー」「ドレス・ダウン」の日などと勝手に解釈されてしまっている。

そもそも植民地で英国軍によって生まれた言葉であり、なにかと複雑な背景があるのに本来とは異なる意味で使われて、気分がいいわけがない。ニュージーランドにはこんなことを考えるすばらしい生徒たちがいて、Heretaungaカレッジでは2021年の3月よりマフティ・デー改め

be yourself day

Daily Mail Online 2021

に改名されたそうです。この日はマフティ・デーという言葉が時代遅れか調べるプロジェクトもしたようで、興味深い情報が生徒から寄せられたそうです(参照:Day, Olivia. “School renames 'mufti day' with 'be yourself day' fearing long-standing name is culturally insensitive” Daily Mail Online 2021.)。

それでも続く、イギリスのマフティ・デー

ひるがえって元祖ネーミング生みの親であるイギリス現地では、上記のような記事を新聞で紹介しながらも、相変わらずマフティ・デーはマフティ・デーのままで(少なくともわが子が通う学校では)、わが子が通う学校でも今日2022年9月16日(やはり金曜日)に実施されました。

毎年支援する団体は変わるようで、昨年学校が選んだ慈善事業団体はダウン症をサポートしている協会。学校では事前に全校集会にて、ダウン症週間(Downs Syndrome Awareness Week)を取り上げ、子供たちとも一緒に理解を深めました。

今年は小児ガンをサポートする団体で、今回は匿名で生徒のなかにもこういったチャリティ支援のおかげで適切な治療を受け、いまではすっかりほかの子たちと変わらぬ学校生活を送ることができている、という話がされました。

マフティ・デーでは、毎回服装のテーマが決められ、今年は「金色かキラキラしたものを着てくる」でした。そんなもん、普段買ってないよ、特に男子は・・と、ないもんはないので、息子は普通の格好で行きました。

このように、その日のために絶対揃えなきゃダメ!というほど厳しいものでなく、小さい学年の子などは特に(上級生にもいる)私服では行きたくない、と嫌がる子もときどきいます。そういう場合はテーマに沿わなくても、あるいはまったく着ていかなくても大丈夫です。

が、あまりにも毎回着ていかないと、まるで寄付するのが嫌、チャリティに非協力的、などと密かに思われそうなので、特に!寄付金は忘れないようにしたいものです。せっかく持って行かせても、子供が先生にきちっと渡さなければ意味ないので、その点もよくよく言い含めて😅

そして、なぜかサッカーのレプリカユニフォームだけは厳禁!というお触れがありました。フィーバーし過ぎる=カジュアルすぎる?という理由のようです。ちなみに下の子は、頂き物の全身スパンコールのワンピースで行きましたが、貰った当初はそのあまりのギンギラギンさにいったいいつ着せよう・・と思いました。ですが海外では、こういうものが普通に私服として?!売っているだけあり、これまで誕生日会に演劇の衣装にと、すでに大活躍しています。

いつをマフティ・デーにするかというのは各学校まちまちで、わが子の学校では去年など、やはりチャリティ活動が盛んになる時期、イースター期間(関連記事)中に支援したい団体が多すぎたため、急遽臨時でマフティ・デーを設定し、寄付金を募ったという経緯があったそうです。

ただ寄付させるだけでなく、学校できちんと寄付先のこと、なにを支援するためか、それによって誰が助かるか、といったことまできちんと教えてくれるのはありがたいですね。

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