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苦手な人を味方にするには? 対立の奥を見る

会議の場などで時に発生してしまう「対立構造」。
この裏側にはどのような要因が潜んでいるのでしょうか?
また、そのような環境下ではファシリテーターの立場に立つ人は、どのような関与をしながら会議の場をゴールまで進めていくことができそうでしょうか?

先月ピュア・エッジが開催したオンライン単発セミナーでは、上記をテーマに実際に参加者の皆さまと共にディスカッション形式で、答えを探っていきました。今回も、ヒントになるような声が沢山聞かれました。ダイジェストとしておまとめした内容をぜひご覧いただきたいと思います。


遠慮、そして対立が起きてしまう奥に潜んでいるものとは?

前半では、会議の場での対立構造に踏み込む前に、まずは広く「課題として感じていること」を共有いただきました。

● 組織の中だと互いに色んな印象を持ち合い、レッテルを貼りあっている。それゆえ、そのレッテル越しに見ている相手との議論が感情的になってしまったり、逆に遠慮を生むことも。
● 強い感情を出す人がその場にいると、萎縮してしまい、遠慮して議論が進まなくなることがある。
● 立場や異なる考えを持つ人が集まる場では、保身に走ったり、遠慮してしまい、何のための会議なのか分からなくなることもある。

共通のキーワードとして上がってきたのが「遠慮」というものでした。

人は安心安全の欲求があります。そのため、安全なところでディスカッションをしていきたい気持ちは、当然あるものですよね。それが遠慮という形で出てしまうことが伺えます。

ファシリテーターは、「それぞれの立場で見えてなかったり、気づかないことは当たり前である」という前提を認識して、会議の場の皆さんと次のようなことを共有し合い、関わっていくことが大切と言えそうです。

● 人は、分からないこと=危険と感じるもの。
● 互いの考え、背景を分からないことは当然、というスタンスで理解をし、ファシリテーターはそのギャップを埋めるサポートをする。
● (見えないものを見える状態にすることで)お互いが同じレベルで話せるようにサポートをする。

次に上がった声の中から「対立、バトル」が発生する状況に触れていきました。

皆さまからは、

● 会議の場に出てきている人の後ろには、背負っている人や物事もあるはず。それが駆け引きやバトルを生じる要因になっていそう。
● 勝ち取って帰らないと、部下からダメな上司だと思われる。だから負けられない。
● それらの背負っている重圧が大きいほど保身に走るし、ある意味責任感だとも思う。

という声が聞かれました。

そのうな状況で駆け引きが起きたり、誰の意見が採択されるか、など勝ち負けの場になってしまうことがある、と。


敵対する関係性から、共感しやすい関係性を築くためにファシリテーターはどのように関わることが出来そうか?

ファシリテーターは、人がファイティングポーズを取る時には、

● 自分や、自分が属しているコミュニティの事情や、人のメンツ
● それらを守りたい思い
● 必ずしも戦いたくないけど、そうならざるを得ない事情があること

それらを理解し、その上で、

● なぜ嫌だと言っているのか
● どこに抵抗感を感じているのか

を丁寧に汲み取り、背景を聞き、場に出してもらうことで、その人自身のことや背景がよく見える状態を作り出すことが大切になります。
すると、その場にいる人たち同士も敵対的な関係性から、共感しやすい関係性へと変化をしていくことが可能になります。

そこから、さらにこんな声が出てきました。
「それでもやはり苦手な人との議論の場では、頭では理解ができてても、心がついていかないことも。」

さらに、皆さんから、実際に取り組まれたことや考えを共有いただきました。

● 敢えて、(相手を無視するという姿勢ではなく)戦略的に放置してみた。その際、「目の前の相手にどう対応しよう?」という問いから、「組織のためのミッション、メンバーのために何ができるか?」という、自分を守るためにどうするか?という問いから、より大事な物事をなすべきためには?という風に問いを変えてみた。そしてそこにエネルギーをフォーカスすることで、相手の反発が気にならなくなった。
● 「事実」と「解釈」を切り分ける。苦手と思うことも、ある意味解釈。そうではなく、どんな人か?背景は?と探っていくと自分自身、相手に対するアプローチも変えていくことができた。
● 自分でも無意識に相手にレッテルを貼ってしまっている、そこにまずは目を向けてみる。
● 互いの関係性や相手自身が熟す時もそれぞれ。こちらの望むタイミングではないかもしれないけど、相手を信頼し、それを待つ心の余裕を持つ。

ファシリテーター、参加者、どちらの立場であっても持ち合わせておきたい姿勢、考え方を沢山共有していただき、議論を終えました。

内省や気づきが起きるような会議の場を作り出すためには?

おしまいに、今回もファシリテーター/講師として関わった代表 木村に対して、こんな声があがりました。
「ディスカッションとして加わったけど、内省がとても深まり、コーチングを受けたような感覚になった。普段の会議の場とは違う感覚だった。」

内省が深まり、気づきが起きる場にするために、ファシリテーターが関与できることは一体どのようなことがありそうでしょうか?
そこから、最後にこのようなフィードバックを木村より行わせていただきました。

☆良い議論やアイディアを生みだせる場にするために、ファシリテーターができること☆
1)焦点を動かす
色々な背景の人が参加する中で、ファシリテーターが生み出す焦点が、参加者にとっても有意義だと思えることが大事。
なので、まずはその焦点をいかに生み出すかに集中する。
2)空白を作る
焦点を生み出せたら、そこに空白が生まれ、今度はそこを埋めたくなる、という状態を作ることができる。
するとおのずとそこに意識が向き、ディスカッションが深まってゆく。

1、2のステップを繰り返しながら、徐々に深い議論へと展開させていくことができます。また、焦点を動かす際のポイントとして

1)具体的な話を抽出し
2)抽象的なテーマ(本質的なテーマ)として抽出していく

すると、自分事として全員が場に参加できる仕組みも生み出すことが可能となります。

いかがでしたでしょうか。
毎回、この単発セミナーでは、参加者の皆さまからのリアリティある事象、積極的なご意見交換から、非常に学ぶことや気づかせていただくことが多く、主催側としてもありがたく感じています。

最後に、ご参加くださった方からのアンケートのお声をいくつか紹介させていただきます。

対立の奥を見る→言い換えれば「相手を知るまたとないチャンス」今回の会を視聴して、そのような気がしてきました。特に職場関係の人とは、何か起こらない限り相手を知ろう!とはあまり思わないような気がするので。(Y.O.様)
1:1のコーチングのほうがGroup Coachingよりも学びが多いのではないかとずっと思ってきましたが、ほかの方のDiscussionをオブザーブし、内省することを通して学ぶこともかなり大きいということに気付きました。(匿名希望様)
部署間等ではなく「個人的な前提」にまで気を配っていられない、と切り捨てて考えていましたが、ファシリテートする上では重要な要素となり得る事に気づかされました。正しい事を言う・行うが最善策ではないという事も学ばせて頂きました。(N.I様)

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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