【新作公開記念】「ヒックとドラゴン」解説

ぷらすです。

来る12月20日、ドリームワークス・アニメーション製作「ヒックとドラゴン聖地への冒険」がついに公開されますね。
しかも、スターウォーズ待望の最新作「ep9:スカイウォーカーの夜明け」と同日公開ですよ!…って、ヒットさせる気あんのかー!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ

こうなると世間の話題は当然、SWの方に集ってしまうに違いない。というわけで、世界的大ヒットを飛ばしながら何故か日本ではイマイチ人気(というか知名度)がない「ヒックとドラゴン」最新作、「~聖地への冒険」公開に向けて本シリーズの魅力を解説していこうと思いますよー!(届け、この想い!)

「ヒックとドラゴン」とは

「ヒックとドラゴン」はイギリスの児童文学作家クレシッダ・コーウェルの同名児童文学を原作に、「シュレック」や「マダガスカル」シリーズ、近年だと「ボス・ベイビー」などのドリームワークス・アニメーションが制作した劇場用3Dアニメーション作品です。

北の海に浮かぶバーク島で暮らすバイキングたちは、家屋に火を放ち家畜などを奪うドラゴンと長年争い続けています。
そんなバイキングの長ストイックの息子で、ひ弱な少年ヒックは父親に認められたい一心でドラゴンを退治しようとしては失敗を繰り返し、邪魔者扱いさせる日々。

そんなある日、いつものように村がドラゴンに襲われ、ヒックは父の言いつけも聞かず外に出ると、手製の“秘密兵器”で一匹のドラゴンを撃墜。
しかし、それを誰にも信じてもらえないヒックが翌日、撃墜したドラゴンを探しに森へ行くと、そこには死神と恐れられるドラゴン“ナイト・フューリー”の姿が。

ヒックの武器で尾翼を失い、空が飛べなくなったナイト・フューリーを仕留めようとナイフを構えるも、どうしても殺すことが出来ないヒックは、村のみんなに内緒で森に通っては、トゥースと名づけ餌を与えたり、その行動や習性を観察するうちトゥースと心を通わせるようになり、同時にドラゴン=人に害なすモンスターという考えが偏見であったことを知ります。

やがて彼は、持ち前の器用さと発想でトゥースに革製の尾羽を作ってやり、一緒に空を飛ぶまでに。

そして、トゥースとの経験を元にほかのドラゴンたちも手懐けたヒックは、ドラゴンと人間の共生を考えるのだが――という物語。

ヒックは他のバイキングとは違う発想や観察眼を持つ少年だけど、脳筋だらけのバイキング社会では誰も彼の長所に気がつかないし、トゥースはナイト・フューリー最後の一匹と言われる幻のドラゴン。
いわば本作は、(それぞれの種族で)異端である一人と一匹が、心を通わせ協力することでバイキングとドラゴンの意識を変えていく物語なんですね。

つまり、本作のバイキングとドラゴンは、民族紛争や戦争を繰り返す人間のメタファーとして描かれているわけです。また、ドラゴンを擬人化したり単なるモンスターとして扱うのではなく、野生動物として扱っているのも、当時のファンタジー映画としては画期的だったのではないでしょうか。

親子の物語

本作は同時に、親子の物語でもあります。
村長である父ストイックは、強いリーダーシップを持ち、仲間を守るため先頭に立って戦う典型的なバイキングで、中々ヒックの話をちゃんと聞いてくれません。
だからといって決して強権的な父親ではなく、彼なりに我が子を愛しているし、彼の行く末を心配もしているんですね。
ただ、バイキングの長として伝統を重んじる彼は、ヒックの新しいアイデアや価値観が上手く理解出来ずに、自分の価値観を押し付けてしまう。

一方のヒックは仲間の役に立ち、一人前のバイキングとして父親に認めて欲しいと思っているけれど、父の望むような息子ではないというコンプレックスから、父親と向かい合うことが出来ずにいる。二人は、どこにでもいる父子なのです。

続編「ヒックとドラゴン2」ではヒック&トゥースの活躍により、バーク島はドラゴンとバイキングが共生するようになっています。
ストイックは、功労者であるヒックに村長を譲ろうと考えますが、ヒックは偉大な父の後を継ぐ自信がない。
そんなある日ヒックは、ドラゴンを使役し世界を我が物にしようと企むドラゴから、ドラゴンたちを救うドラゴンマスターと出会います。
実は彼女は、20年前に死んだと思われていたヒックの母親だった――という内容。

この作品では、前作で自身のアイデンティティに悩んでいたヒックが母と出会ったことで満たされ、同時に、強大なで自分とは相容れない考えを持つ敵ドラゴと戦うことで、運命を受け入れて大人になるという物語。
前作の世界観を更に広げ、通過儀礼によって大人へと成長するヒックの成長を描く続編になっています。

まぁ、いくつかの要素を一本の作品に入れ込んだことで、全体的に早足になってしまった感は否めないし、いくつか飲み込み辛いシーンもあったりしますが、技術進歩で映像や動きはさらに美しくなり、見ごたえのある作品になっているんですね。

主人公が空を飛ぶ映画は大体名作

1作目の白眉は何と言っても、ヒックが自分が傷つけてしまったトゥースの尾羽を作り、一緒に空を飛ぶことで初めて自由を得るシーン。
映画において主人公(特に少年少女)が空を飛ぶシーンは、それまで主人公にかかっていた圧力が一気に開放される、「自由」を象徴しています。

同じく少年が主人公の「ベイ・マックス」や、ヒーロー映画だと「スーパーマン」や「アイアンマン」「スパイダーマン」など、主人公が空を飛ぶシーンの描き方が上手い映画は、大体名作だったりしますね。

本作の場合、何度もトライ&エラーを繰り返した末に空を飛ぶことで、物作りのワクワク感もプラスされるし、ヒックとトゥース、それぞれ足りない部分を補い合いながら一緒に空を飛ぶことが、そのまま作品のテーマにも直結する名シーンになっているのです。

個性豊かなドラゴンたち

作品に登場する個性豊かなドラゴンたちも、本シリーズ大きな見所の一つ。
それぞれのドラゴンが火・水・風・岩石など、ドラゴンがそれぞれ属性を持っているという設定自体は、これまで描かれた多くのファンタジー作品を踏襲していますが、本シリーズでは、ドラゴンが吐く炎の燃料は何かなど、動物としての習性をロジカルに詰めて描くことで、ドラゴンにリアリティーを与えています。

例えばトゥースは、ネコ科の動物をベースに作られているので、怖さと可愛らしさの双方を持った、今までにないデザインのドラゴンになってますし、巨大なドラゴンの王“ワイルダービースト”などは、まさに怪獣そのもの。

本作では、主人公ヒックの目を通して、そうした多様なドラゴンの生態を知る楽しみもあるんですね。

ついに「ヒックとドラゴン」が劇場で

個人的な話ですが、第1作「ヒックとドラゴン」は恥ずかしながら公開時ノーチェックで、その後DVDで観てあまりの面白さに「続編は絶対劇場で観る!」と心に決めていたんです。

ところが、第1作が日本ではあまりヒットしなかったからか、続編は劇場未公開でネット配信になってしまったんですね。(その後DVD化)

しかし、その後DVDなどで観た人たちの間でじわじわと人気が上がり、ついに3作目は日本でも劇場で観られる事になったのです!

というわけで、まだ「ヒックとドラゴン」を観たことがないという人は、レンタルやネット配信などで前2作を復習して、12月20日公開「ヒックとドラゴン聖地への冒険」を、劇場の大画面でご覧ください!!

ではではー(´∀`)ノ


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