【1日1文献】認知症高齢者と家族介護者の行う共作業に焦点をあてた訪問作業療法プログラムで効果が見られた2事例#認知症高齢者#介護者#家族支援

参考文献:認知症高齢者と家族介護者の行う共作業に焦点をあてた訪問作業療法プログラムで効果が見られた2事例
筆者:小野 健一, 藤原 大輔, 川上 孝行, 金山 祐里
発行日:2020年
掲載元:作業療法 39 巻 (2020) 2 号
検索方法:インターネット
キーワード:認知症高齢者, 介護者, 家族支援, 訪問作業療法, (共作業)

【抄録】
・認知症の人とその家族介護者への支援は,両者の在宅生活を維持するために重要である.
・今回,訪問作業療法場面で,認知症高齢者と家族介護者2組に対し,共作業支援尺度を用いた共作業支援プログラムを実施した.
・共作業支援尺度から提案された改善したい共作業への作業療法介入を行った結果,認知症高齢者のBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia(以下,BPSD)の重症度と,家族介護者のBPSDから生じる介護負担感,共作業継続意志得点の改善が,2組共に見られた.
・両者の行う共作業への介入により,家族介護者の共作業の遂行能力が改善し,結果として両者にとって,より満足のいく在宅生活につなげられる可能性が示唆された.

メモ
・認知症の治療においても, 日常生活機能の改善を目的とした非薬物療法が重要と されており,生活の手段の指導や社会資源に関する情報提供を行うことが,認知症者のその人らしい暮らし を支援することにつながるとされている3).
・しかし, 厚生労働省の報告4) では,高齢者の利用する訪問リハ ビリテーションにおいて,依然として身体機能に偏っ た訓練が実施されており,訓練そのものが目的化され ているという課題が挙げられている.
・このことは,活 動や参加に焦点をあてたサービスの提供を再考すべき 要因の 1 つと考えられる.

・我が国の要介護度の高い者がいる世帯では,核家族 世帯,三世代世帯の割合が高くなっている5).
・そのため, 要介護者を支える家族介護者への支援が重要とされる.
・その中でも,認知症は,介護が必要となる主な原因の 上位に挙がっており,認知症施策推進総合戦略におい ても,「認知症の人とその介護者への支援」を,認知 症の人の生活の質の改善につながる重要な柱と位置づ けている6).

・我々は,認知症高齢者と家族介護者の両者が行う共 作業に焦点をあてた作業療法プロセスを実践するため の評価法として,共作業支援尺度(Measure of Supporting Co-occupation;以下,MSC)を開発した7).
・共作業とは,作業に参加する 2 名以上の両者が主体と して相互作用を及ぼしながら行う作業とされており, 物理的,情緒的,意図的に作業の意味を分かち合うと いう特徴がある8).
・MSC は,家族介護者と作業療法 士の面接にて,以下の 3 つの質問項目を実施した後, 作業療法で介入すべき共作業と目標の設定を,認知症 高齢者,家族介護者,作業療法士の 3 者で行う

・認知症高齢者と彼らの介護者の支援における作業療 法の手段として,両者の希望や好みを考慮しながら「で きる作業」の獲得を促すことが重要と言われている16).

・認知症高齢者だけでなく家族介護者への良好な効果が見られた要因として,MSC を用いることで,家族介 護者の持つ認知症高齢者との共作業に対する潜在的な ニーズを調査できたこと,介入すべき共作業を両者が 主体的に行動選択を行い決定できたことが挙げられる.
・加えて,作業療法士が介入したことにより,現実可能 な合意目標が設定できた.

・認知症高齢者と介護者への介入効果の検証は,ケー ス単位での報告が依然として不足しており,さらなる 蓄積が必要とされている

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jotr/39/2/39_210/_pdf/-char/ja 

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