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無駄なものは要りません

私の義母ヴィヴィアン・ウエストウッドは昔の人さながらで非常に物を大事にする人であったし、自分に必要ないものは欲しがらない、建前だけでもらうなんてこともしない人だった。
前の記事結婚前なら誰でもドキドキするでも書いたが、義母はイギリス人らしからぬ何でもガツガツ、もとい、正直に言ってしまう人だったので、出会ってしばらく私は大して話せなくなっていたのだが、初めて夫家族と過ごすクリスマスで、大人だらけなのにプレゼント交換があるわけだが、手ぶらで行くわけにも行かず、私が長年やってきた生花小原流の英語版の本を義母にプレゼントした。そして返却された。(苦笑)
「トモカ、これ要らないわ。必要な人にあげてちょうだい。」

夫には口を酸っぱくするほど言われていた。
「ママは何も要らないから何もあげなくていい。僕が子どもの頃母の日にブローチを買ってあげたら今すぐ店に返してこいと叱られたくらいなんだから」と。
でも私が建前上、形式上のためにあげてしまったわけだ。

それ以来、彼女が好きなもの、それは食べ物。と言うことで、スイカの皮のお漬物や切り干し大根なんかを作って渡すととても喜んでくれるようになった。無駄を作らない和食の美学に感銘を受けてくれたようだった。

去年の帰省時に、博多銘菓千鳥屋の缶に入ったチロリアンのお菓子を買った。義母の旦那さんがチロル出身なことと、私からすれば懐かしの味なわけで。懲りない私は、それを義母に渡してみた。
「あなた、これ私がもらうと思う?まだ読み間違ってるの?」

そうだよね、要らなかったよね〜と言いながら引き上げたわけだが、食べ物なのに何が問題だったかというと、まず缶に入っているので食べ終えた後の缶の使い道が彼女にはない。次にここが一番の問題だったと思われるのだが、缶を開けるとお菓子がひとつひとつプラスチックに梱包されているので、それがひとつひとつ無駄なゴミになり地球を汚染していくということだろう。

日本に行くと衛生上だと思うのだが、あらゆる物がプラスチック梱包されていてびっくりすると夫によく言われる。イギリスはそんなに清潔にはしていないし、イギリス人はお風呂に入るのもそんなに好きじゃないし。寒いからね。とは言うものの、自分の衛生のために地球を汚すのはやっぱり間違っていると私は思っている。

さて、千鳥屋の缶は今私の手元にあり、缶の中にはケーブルを入れたりして非常に重宝しております。

ここで話をスイカの皮に飛ばすが、スイカの皮のお漬物の味をしめた義母が、毎夏我が家にご自分が食した後のスイカの皮をごっそり持ってきては、私がスイカの皮剥き&スライス工場化していたのはまた別のところで詳しく書くとしよう。





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