THE ポッシボーの改名に際してメンバーに声援を送る

5人組の女性アイドルグループ THE ポッシボーが2015年7月8日に改名するという。グループの新しい名称は「チャオ ベッラ チンクエッティ」。造語も含むイタリア語のこの名称は「きれいなお嬢さん5人」を意味し、6月11日にグループのブログで発表された「THE ポッシボーより大切なお知らせ」によればメンバーが話し合って改名を決めたとされている。

ライトな一ファンとして不遜な物言いをあえてしておきたい。メンバー自身で決めたとはにわかには信じられない。むしろ考えれば考えるほど事務所がそう言わせているのだと勘ぐってしまう。

もちろんメンバーの主体性を低く見積もりたいわけではない。「女の子」だからそんな決断力があるわけないだろうと見くびっているわけでもない。その逆だ。前事務所(TNX)時代に、グループアイドルとしての活動が停滞していた状況下で、メンバーが腹を割って話し合い、クビになる覚悟で事務所にもう一度(グループで)歌をうたいたいと直訴した逸話からしても、むしろメンバー5人のド根性と行動力には敬服している。

それなのになぜメンバーの言うことを額面通りに受け取らず、事務所が言わせていると短絡するのか。それは現事務所のアップフロント(アップフロントクリエイト)が所属アイドルの主体性をほとんど認めず、事務所都合を再優先にして活動方針をゴリ押しする体質を持っていると思われるからだ。

相手はかつてハロマゲドン(ハロー!プロジェクト所属のアイドルグループやユニットの大改変)でヲタ(ファン)を驚天動地に叩き込んだあのアップフロントグループである。今またアップフロントはハロプロ所属アイドルグループ・ユニットの休止・改変・結成を伴う第二次ハロマゲドンを進行させている。翻弄されるのはいつもアイドルと研修生、そしてそのヲタだ。

第二次ハロマゲドンのうち、以下はメンバーが話し合って決めたこととされている。

・Berryz工房の無期限活動休止
・スマイレージのアンジュルムへの改名と増員
Juice=Juiceのライブハウスツアー220公演

列挙したケースが一様に「メンバーが話し合った」結果だとされる事態そのものが不穏である。判を押したように過程がみな同じという戦慄すべき状況にヲタはなすすべもない。スマイレージがアンジュルムへと改変された事情について自分たちで決めたと報告させられた一期メンバーは、改変が事務所主導によるものであったことをすでに明らかにしている。事象の一致に偶然を見ることはできない。つまりアイドル自身の発意の結果だとするアップフロントの公式報告は、表向きヲタを沈黙させるための雇用者のメソッドなのだ。そこからは、被雇用者としてのアイドルが自らの意志を自らの言葉で語ることを禁じる指揮命令関係が透けて見えてくる。

テンプレどおりの筋書きしか口にすることを許されないアイドル。それは非ハローのアップフロント所属のアイドルにも当てはまる。ポッシボーも例外ではない。

ポッシボーはハロプロエッグから選抜されたグループであるにもかかわらず、ハロー!プロジェクトから NICE GIRL プロジェクト!(以下NGP)に移籍させられたグループだった。それに伴い事務所もTNXに転籍していたものの、今年の4月1日付でまたアップフロント(非ハロー事務所としてのアップフロントクリエイト)に引き戻されている。そうしたプロジェクトやマネジメントの体制変更に際しても、ポッシボーはファンに向かって語るべきことを語る自由を持てずにいる。事務所・レーベル移籍の辞はグループのブログに掲載され、すぐにメンバーそれぞれの個人ブログでも報告されたが、修辞には多少の異同があったにせよ、やはり制限がかけられたような内容だった。

ヲタの間でしばしば語られる旧事務所TNXの解体もしくは縮小の可能性については、社長のつんく♂が癌を患った状況からすればやむをえないことかもしれない。ポッシボーのアップフロントへの移籍も、万が一に備えての「親心」もあってのことかもしれない。しかしNGPの企画者だったはずのつんく♂自身は、もはやポッシボーにかけるべき言葉を失っているようにも見える。なるほど、ポッシボーのトリプルA面のニューシングルのために、1曲分(「Never Never Give UP」)の歌詞を書いてはいる。そこで表現された内容はポッシボーをとりまく環境変化を思いやった激励そのままだ。しかしつんく♂は重要な節目であるにもかかわらず、研修生も含むNGPがどうなったのか、なぜポッシボーがTNXを離れて再びアップフロントに合流することになったのかを率直に語ることはなかった。芸能事務所としてのTNXも同様である。

事務所移籍のことはさておくとしても、グループのアイデンティティに直結するグループ名を変える重大事にあっても同様の事態が進行している。アップフロントはまずポッシボーのグループブログにおいて改名とその理由を示した。ブログでの報告とほとんど同時に、アップフロントクリエイトのウェブサイトでメンバーの意向を受けたという体で「THE ポッシボーに関するお知らせ」を公表してもいる。その数時間後にメンバー個人のブログでそれぞれの報告がなされた。

グループブログでの報告、またそのすぐ後に公表されたメンバー個人ブログでの報告、それらすべてをウソだというつもりはない。そこにメンバーの揺れる思いがまったく示されていないとも思わない。しかし同時にメンバーの心意を公式報告以前の個人ブログに見出さざるをえない。改名発表以前に書かれたメンバーの直近の言葉を読まずにはいられないのだ。環境の変化や制約について語ったものと目される切れ切れの言葉。とあるメンバーが好きだというに仮託された心情の吐露。そして、それでも綴られる奮起への決意。リリースイベントでも、カバーを歌うことでメンバーは言外に何かを伝えようとしている。

誰が好き好んで9年も続けてきた活動の証であるグループ名を捨てるものか。捨てるのではない。捨てさせられるのだ。

アイドルヲタ(ファン)とは悲しい存在である。アイドルの一喜一憂を目の前にしてただ喜び、悲しむ。悲しきヲタにできることは、アイドルの自由を奪う人々を呪い、不自由な中にあっても闘うアイドルへ声援を送り、応援し続けることだけである。

負けるな、THE ポッシボー。
負けるな、チャオ ベッラ チンクエッティ。

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前田彩里さんのステージを観るのが好きでした。楽しい時間をありがとう。
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