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道草小噺⑧花を食べる<野花編>ナズナ・すみれ・ホトケノザ・オオイヌノフグリ・たんぽぽ・菜花・椿

久々の更新となりました道草小噺。


今回は、野草の中でも”食べる”というよりは”愛でる(しかも食べられる)”野花の話です。


ここ数年、日本でもずいぶんエディブルフラワーが浸透してきたけれど、私が初めて”花を食べる”という体験をしたのは2008〜2009年のオーストラリアWWOOF旅。

WWOOF先でナスタチウムやマリーゴールドの花びらをサラダやピザに散らして食べていたのだけれど、別に美味しいとか真似しようとか意気込んでいた記憶はない。
むしろ、ナスタチウムに関してはなんだか生臭くて苦手だなと思っていた。
(後に、ナスタチウムが苦手だったのは、畑に使っていた魚と海藻由来の肥料の匂いが残っていたことが原因と気づいたのだけれど、”ナスタチウム=生臭い”という体験がトラウマのように脳に刻まれていて、今でもどうしても好きになりきれない…最初の出会いは大事だね。)


それなのに、今では当たり前のように、食の中に花を取り入れている。

一体どこからそうなったのか、と記憶を辿ってみると、どうやら最初に花を食べることの楽しみを知ったのは、京都のなやカフェさんで食べたお昼ご飯だったことを思い出した。

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あまりにも堂々と菜花が咲き誇っていて、この時に初めて 花を食べるって最高だな! となったのだった。

それもあって、おそらく私が使い始めた最初の花は菜花。

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そしておそらく、タンポポの花びらをサラダに、菫をサラダやデザートに(菫の茎・葉はもやしやアルファルファのようなフレッシュな味わいでサラダにぴったり)使うようになり、今に至る。

(エディブルフラワーも、周りで育てる人が増えてきたけれど、その隠しきれない派手さがどうしても自分の料理と合わず、結局野花に落ち着いたのだった。)

木下実験室でメインで使っているのが、菜花・薺・ホトケノザ・オオイヌノフグリ。

ふりかけみたいに自由に使う。

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菜花・ホトケノザ・薺。

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地味になりがちな照り焼きテンペの丼も野花たちの力でちょっと華やかに。

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地味すぎるスープも、野花たちで華やかに。(カラスノエンドウ入り)

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2019年の野草ディナー「春・道草晩餐会」の琵琶湖フィッシュアンドチップスのプレートでは、椿の花のピクルスが初登場。菜花はセミドライにしてある。

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2018年の野草ディナー「星屑と道草」のデザートでの野花たちの活躍。とにかく、野花は摘むのが楽しい。


野花は、土がある限り、散歩していたらどこにでも見つけることができるけれど、私はだいたいいつもお世話になっている小林ファームさんの畑で摘ませてもらっている。

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いつも畑を散歩しながら野花を摘む。この時間が、なぜだかどうしようもなく好きで、いつもついつい摘みすぎてしまうのだ。

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野菜の傍に生えるたんぽぽ、カラスノエンドウ、オオイヌノフグリ、ハコベ。

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ブロッコリの傍にはホトケノザ、薺、オオイヌノフグリ(まだ咲いていない)。

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野花たちは、わざわざ種を蒔いているわけでもなく、世話をしているわけでもない。それなのに、毎年生えてきて、花を咲かせる。

当たり前といえば当たり前のことなのに、野花たちの存在を確認するとどうしても嬉しくて、人見知りな私にとったらおそらくそれは、久々に心のおけない友人に再会して近況を語り合うような感覚で、これからもきっと、懲りずに野花を摘みすぎてしまうのだろうな。


追記1:菜花は厳密に言うと野草ではないけれど、今回は勝手に野草ということにしました。

追記2:他にも、カキドオシの花、カタバミやオキザリスの花などなど食べられる野花はたくさんあります。(ついでに言うと、桜も食べるね。)

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