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子供だけの世界

今や世界的なコンテンツとなり、老若男女に支持される存在になったポケモンですが、初代のソフトである『ポケットモンスター赤/緑』が発売されてからしばらくは、なんとなく男の子の遊ぶゲームという雰囲気がありました。

もちろん女子だってソフトを持っている子はいたし、「プラコロ」というポケモンを四角くデフォルメした玩具はすごく人気があって、本当はサイコロとカードを用いたバトルゲームなんですが、お人形の感覚で集めている子が近所にいたりもしました。

でもクラスで図工の時間に好きなものを描きなさいというお題が出たとき、男子の大半が自分の好きなポケモンを描いたのに対して、女子でポケモンを描く子はごく少数でした。

そして、親や先生などの周りの大人は、知っているのはせいぜいピカチュウくらいで、変な生き物を集めて闘わせるゲームにどうしてそんなに夢中になっているのかよくわからないという感じで、図工の時間のコメントも「上手く描けましたね」とか素っ気ないものばかり。

当時はまだ、ゲームは子供にとって有害なものという考えが強く残っていて、家庭によっては禁止されていたりもしました。

マリオカートや桃太郎電鉄など、広い年齢層に向けられたパーティーゲームもすでにあったものの、基本的には大人がゲームをすることは考えられませんでした。少なくとも、自分の家ないし近所の知り合いはみんなそんな感じでしたね。

それから何年も経って、親子で外でポケモンGOをプレイしている風景を目の当たりにするとは夢にも思いませんでしたし、大人がドラクエの新作を予約したりプレステ5の抽選に躍起になったりしているのが、実に不思議な感じです。


いきなり話がものすごく飛ぶのですが、全200巻まで続いた『こち亀』は、100巻あたりからつまらなくなった、みたいな感想をたまに聞きます。

これについて個人的な持論があるのですが、『こち亀』の内容が面白くなくなったというより、おじさんの年齢になってもプラモデル作りやラジコンに興じる両さんみたいな大人が、たいして珍しい存在でもなくなった、というのがひとつの理由なんじゃないかと思うのです。

『こち亀』第100巻が刊行されたのは1996年で、ポケモンブームが起きる直前。このあたりが過渡期だったかと。

作中で左近寺さんが『どきメモ』に大ハマりしていたのもこの時期。自分は過去に150巻くらいまでレンタルで全巻読破したのですが、両さん以外の大人がテレビゲームに夢中になったことは、それ以前にはほとんどなかったんじゃないかなあ。


そんな時代だったので、ポケモンというのは、子供たちのみで完結していて、大人が介入してこない、今の感覚で考えたら、わりと閉じられた世界でした。でも、その閉じられた雰囲気が楽しかったんですよね。

ポケモンのイラストを模した飛行機が運航されることになったというニュースを視たとき、なんとなく寂しいというか、ああ自分たちだけのものではなくなったんだなあという気分になったのを覚えています。

好きなインディーズバンドがメジャーデビューする時とか、こっそり応援していた研究生がAKBの正式メンバーになる時とかと似ているのだろうか。有名になるのは嬉しいことだけど、時代や環境は変わっていくのだなと。いや、もちろん当時そこまで深く考えていたわけではないのですが。


ゲームばかりでなく、今やミニ四駆や遊戯王カードだって、大人がフツーに嗜んでいます。これも自分の後の世代以降の現象。

昔はミニ四駆のレースって確か中学生以上は参加できなかったのですが、今や電器店とかイオンとかに設置されたコースに群がっているのは、むしろ大人のお友達のほうが多いですからね。

街のおもちゃ屋がどんどん減少する中、カードゲーム専門店はしぶとく生き残っているところが多いですが、これも財力の強い大人のお友達の力によるところが大きいのでしょう。


逆にいえば、子供たちだけが居る世界というのは狭まってきているのかもしれません。最近の小学生はカードゲームを自作するらしいですが、なんかそれわかるような気がする。

学校へのカードの持ち込みは禁止されているから自作せざるを得ない、という事情ももちろんあるでしょうが、他所からは理解されないルールやコミュニティを作るのが楽しいのかも。


今後もポケモンの種類は新作が発売されるごとに増え続け、やがて我々はポケモンが社会現象となる前の時代を知る翁嫗となっていくのでしょうが、151匹しかポケモンがいない、携帯ゲーム機は白黒画面なのが当たり前のあの世界線で、マサラタウンにさよならバイバイしたあの日の感動を忘れずにいたい。

そして、今もなお続編が出ていない『うたうポケモン図鑑』の思い出も。その思い出についてはここで詳しく書いています。




なぜか一昨日あたりから急激にアクセス数が増えているのですが、どなたかどこかで紹介してくださったのでしょうか?ありがとうございます。ここまで来たら100スキ超えを目指したいので、是非とも読んでスキを付けてください(露骨)。

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