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本音を煮詰めたフィクションを

普段、noteでは悶着のことばかり書いている。
みなさんの言葉を借りると「ドタバタエッセイ」らしい。

ただの日々の羅列ですよ、と思っているけれど、起きたことをどういう角度で書くかは書き手の裁量だ。
私は私の好きな角度で書いている。書きたいことだけを掬って、書きたい角度で、書きたい書き方で書いている。つまびらかにするといろんなことが、楽しくなくなるのでもちろん詳しくは内緒なんだけど。

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同人誌「東京嫌い」に参加している。
お声がけいただいたときのDMに、うっすらと「いつの日にか林さんのバー BarBossa に行けるかもしれないこともないこともない」的な文言があって飛びついた。
子育て中の主婦(主に私)は遠出するにはそれなりの理由が、自分に向けて、必要なのだ。お呼ばれしているんだから行かなくっちゃ、と自分に向けた大義名分がほしい。あこがれの BarBossa に行く立派で素敵な理由ができるではないか。つまりそれは東京に遊びに行く理由にもなるではないか。ふたつ返事でお受けした。

私にご依頼をくださったという時点で、エッセイを書くべきなんだろうと思っていた。私はエッセイ以外の文章をnoteでは発表したことがないし。
そういうご期待にお答えしてこそ、だよね、と思っていた。

夕飯の支度をしながら、さてなにを書きましょうかねとあれこれ考えた。
東京にまつわる記憶をずるずると引きずり出すと、出るよ出るよ、いろんなあれこれ。きれいなものから汚いものまで、ずるずると。
人参の千切りをしながら、頭の中で出てきたものを煮詰めていたら、おや、ふいにやってきた。ほほう、と思って、げげっと思った。
こういうのは不意打ちだからどうしようもない。
やってきたものを退けるのってものすごい体力がいるのだ。追い払う体力より書き出すエネルギーのほうがよほどマシだったりする。
やってきたそれが、出口を塞いで邪魔をするので、書くより仕方なく、書き出した。あっという間(あくまで体感)に書きあがった。
いよいよ、出口がこれで開通しましたよ、ということで、腰を据えていつもみたいなエッセイを書き始めようと思ったんだけど、煮詰めたものが全部出て行ってしまったらしく、すっきりさっぱりした脳内からはなにも出てこないんだった。

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ああ困ったな、こういうことになるような気はしたんだけど、ああ面倒。
数日そんなふうに頭を抱えて、胃を痛めて、もうBarBossaには行けないのかもしれない(あくまでも、行けるかもしれないこともないこともないかもしれないというお話です)……とひとりで大騒ぎをして、姉妹にLINEをして、夫に泣き言を言って、サトウカエちゃんにぴゃーぴゃー言って、下瀬るんみちに泣きついて、ひとしきり暴れてようやく落ち着いた。5歳かも。
結局、新しいエッセイを書くことはせず、「期待したものと違うかもしれませんが、もしそうなら突き返してもらって構いません」というようなメッセージを添えて担当の Yukiさんにお見せした。

頂いた感想は、ひとり占めしたいのでここでは書かない。
とても好意的なコメントを頂いて、胸をなでおろした、ということだけ。

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つまり、同人誌ではいつもnoteで書いているようなものと、趣向が違うものを書いている。
私の場合、エッセイは自分の好きなように味付けができるものだけれど、フィクションはそうはいかない。見たものをそのまま、正直に書き連ねるもの、という感じ。だからどうにも丸裸にされているみたいでとても心許ない。
余計なおしゃべりをしないで正直に書いた(つもりの)物語です。

お見せしたことがない部分を開くのって、とっても不安で、私にとってはもうほとんど、おへその穴をズームにしてTwitterにのせるくらい勇気がいることなのだけど、どうか、寛容であたたかくて、深くて広くてしなやかな心で読んでもらえたらと思うばかり。
フィクションは初出です(重要)。

今日からいよいよ公開が始まります。
素敵な書き手の方ばかりなので、買い切り300円はとってもお買い得(というか破格が過ぎる)だと思います。
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大丈夫。簡単だしこわくないよ。こっちへおいで。

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宣伝に宣伝を重ねるスタイル。

今月は秋が来たとか、カードが不正利用されたとか、東京嫌いが始まるとか、秋が来たとかで、始終動揺していてお知らせのタイミングを逸してしまって。

月に2回更新されている、子育てメディアのコノビーさんで書いた記事です。
ついつい差し出しそうになる手をぎゅっと後ろで結ぶことの難しさについて。
寄り添うってなんて便利な言葉だろうね。使い方を間違言えちゃいけないな、と思う日々をあれこれと。


三重県松阪市とのタイアップ記事です。
松阪市の飯高町にあるハイキングコースを歩いてきました。
一緒にお山を歩いている気持になるといいな、と思って書いたので、読むとリフレッシュできるかもしれない。
記事からマイナスイオンを出すつもりで書きました。写真もとってもきれいなの。


また読みにきてくれたらそれでもう。