法律翻訳について①

こんばんは。パグ蔵です。

前回の自己紹介の記事で法律翻訳を専門にしていますと書きましたので、今回は法律翻訳について少しご説明できればと思います。

ご存じかもしれませんが、一口に翻訳といっても、医療や特許、IT、金融などさまざまな専門分野があります。そのため、まず、

法律翻訳はどんなものを翻訳対象としているのか。

私の経験上、ビジネス関連の文書が圧倒的に多いです。法律翻訳という名前を聞くと法律を訳しているように思われるかもしれませんが、むしろ法律そのものを訳すことはあまり多くありません(○○法の第XX条を抜粋して訳すことなどはたまにあります。)。

それよりも、契約書や規約といった弁護士などの法律家が作成する文書の翻訳がほとんどです。

そこで本記事では、私が考える法律翻訳の特徴についてお話ししようと思います。

  1. 逐語訳

逐語訳が基本です。厳密な逐語訳です。つまり、原文に記載されているすべての単語や表現に対応する訳語が存在するということです。

もちろん、翻訳対象文書の性質や翻訳の目的などによってケースバイケースですが、法律事務所時代に、多少不自然であっても正確な訳(逐語訳)を優先するよう言われたことがあります。むろん意味の通じない訳文は論外ですが。。。

これはひとえに、契約書などの文書では書面に書かれていることがすべてなので、変に翻訳者の解釈などを介入させてはならないためのようです。不正確な訳のために、紛争が生じることもありえますから。。。

2.一文が長い

10行以上あるような1パラグラフが一文ということざらにあります。具体例を列挙しているだけの場合は、たいした問題ありませんが、そうではなく、修飾に修飾を繰り返して、主語や目的語が5行も6行にもわたると、理解が非常に難しくなります。とくに関係詞や分詞がどの単語を修飾しているのか、あるいはand/orがどの表現と並立関係にあるのかなど、難解な場合も結構あります。

ちなみに、法律の世界では、並立関係を表す日本語には明確なルールが定められており、これを誤ると最悪の場合誤訳になる可能性があります。

3.似た単語を並べる

例えば、change, amend, revise, modify, alter, rectify…など意味の類似した単語をこれでもかというくらい並べてきます。

上記のとおり、逐語訳が基本ですので、何とか言葉を変えて訳していかなければなりません。

4.Shall

私は、カナダに留学して、米国系の大学に通っていたので、英語にはそれなりに触れてきていたはずですが、shallという表現にお目にかかった記憶はほとんどありません。

しかしながら、法律文書ではshallがすごくよく出てきますし、私自身もよく使います。

これは、「~するものとする」というな義務を表す表現で、非常に重要な意味を持っています。
契約書は当事者の権利義務関係を定めるものですので、この一語の有無でその文章の意味が変わってきます。

長々と書きましたが、今回は以上です。ほかにもたくさん独特の表現や言い回しなどありますので、追々ご紹介できればと思います。

お読みいただきありがとうございました。


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