「目標」は、明確じゃないといけないのか?
リハビリの仕事をしていると、「目標は?」と聞かれるのは日常茶飯事です。
学生の頃、学校でその重要性を口酸っぱく言われ、実習先でSVから改めて叩き込まれ、就職して働き始めると日々、「目標を意識しているか」を求められるようになります。
リハビリは、「目標」が大好きです。
今日はその「目標」について、思っていることを文字にしていってみます。
できるだけシンプルにするので、よろしければお付き合いください。
リハビリにおける「目標」
これは今さら言うまでもありません。
「短期目標」「長期目標」ですね。
場合によっては「中間目標」や「最終目標」を設定する場合もあります。
これを考える時に求められるのは、「何を、いつまでに、どれくらい」ですね。
要は、「明確に」設定する事を求められます。
じゃないと、達成できたかわからないので、これは当然と言えると思います。
他業種でも、基本は同じ
自分の前職では「SMART目標」というのがありました。
Specific = 具体的で
Measurable = 計測可能で
Achievable= 達成可能で
Realistic = 現実的で
Timed = 期限が明確
な、目標ということです。
いずれにしろ、「明確さ」が求められています。
その理由はやはり、達成度を測る為なのだと思います。
明確である、ということ
達成度を測ることが目的なので、当たり前ですが。
達成するまではずーーーーーっと未達成であることもはっきりわかります。
これが患者さんによっては、けっこうな負担になるように思えています。
未達成であることは、失敗であると受け取られる気が、しませんか?
自分が失敗経験をさせないことを大事に思っていることは、以前のnoteでも書きました。
失敗経験は、悪循環を生みだしやすいと考えています。
目標の高さを調整すれば、、、とも思いますが、なんだか小手先の調整に思えて、根本的なところには手が届いていないような気がします。
目標を「追い続ける」こと
さらに言うと、明確な目標であればあるほど、患者さんはそれを追い続けることを求められるようになる気がします。
明確な目標とは具体的な物であり、ごまかしは利きません。
変な言い方ですが、目標を追い続けることを患者さんの「存在意義」としてしまう一面がある気がします。
でも。
追い続けるって、大変じゃないですか?
特にうちの病院は高齢の方が多いです。
なので、時々エネルギッシュでチャレンジ精神旺盛な方もいますが、基本的にはのんびり老後の生活をされていた方が多いです。
その人たちに、病気や怪我をして入院した途端に、目標を追い続ける毎日を求める・・・・・・どうなんでしょう?
目標の共有
一般的には、目標は患者さんやご家族と共有しましょう、というのが本筋ですよね。
それ自体は正しいことなんだと思います。
ただそこに、明確な目標を示すかどうかは、一息ついて考えてみてもいいのかもしれません。
その患者さんは、その明確な目標を追い続けることができる人なのか。
プレッシャーやストレスに感じ、日々のリハビリを失敗の連続と捉えてしまうことはないか。
色んな人が、きっといるはずです。
ちょっとした、提案
では、明確な目標がマイナスに働きそうなとき、どういう手段があるか。
自分は、あえて「あいまい目標」を共有する形をとることがあります。
「歩けるようになること」
「起きれるようになること」
「車いすに乗れるようになること」 等々。
目標の意味するものに幅を大きめに持たせて、あいまいにしています。
目標というより、方針と言った方が近いかもしれません。
患者さんの意向に沿った方向性を示す!・・・に、留める。
そして、具体的な目標はセラピスト側で建て、管理し、進めていきます。
おわりに
自分は今でこそ好きな仕事に巡り合って、ある程度の目標を持って日々を過ごせるようになりましたが、元々は部活はサボってゲームセンターに行くし、受験勉強に行くふりをしてパチンコに行くし、雪が降ったらめんどくさくなってバイト休むし・・・・という学生時代を送っていた人間です。
目標を追う難しさは、肌で知っているつもりです。
キラキラした顔で「これを目標にしましょう!」と正論で言われても、しんどい時、あると思うんです。
「あの坂をのぼれば、海が見える」
「あそこの電柱まで・・・、あそこの電柱まで」
そう考えられる人ばかりでは、ないと思うんです。
そういう時に、そういう人を追い詰めないことも、セラピストとしては考えなきゃいけないのではないかと思っています。
お付き合い、ありがとうございました!
では、また!
少しでも臨床のヒントになる投稿をしていきたいと思っています。 サポートして頂けると非常に励みになります!