クライバーンコンクール:セミファイナル3日目の見どころ
クライバーンコンクールセミファイナルは、日本時間の6/11(土)朝から、折り返しの3日目です。リサイタルには、最年少18歳のYunchan Limが登場してリストの「超絶技巧練習曲」を演奏するほか、初日にソロで登場していた亀井聖矢さんやYutong Sunが、今度はモーツァルトのコンチェルトで登場です。
亀井聖矢さんの出演は、6/11(土)朝10時頃。亀井さんだけが選択している第19番ヘ長調のコンチェルトを演奏します。
6/11(土) リサイタル【3】
6/11(土) コンチェルト【2】
6/11(土) リサイタル【3】
4:30am Yunchan Lim(韓国、18歳)
リスト:12の超絶技巧練習曲集(全曲)
1次・2次では、最終演奏者として見事な演奏を披露してきた、今大会最年少18歳のYunchan Lim(韓国)。彼が、このクライバーンの膨大なソロ演奏の最後に持ってきたのが、リストの「超絶技巧練習曲」全12曲演奏という途方もないプログラムです。
クライバーンコンクールの「超絶全曲」といえば、思い出されるのが、2013年の優勝者ヴァディム・ホロデンコのセミファイナル。新曲委嘱作品の後、やはり12曲を一気に弾いてみせ、聴衆の度肝を抜きました。
残念ながら、YouTubeのコンクール公式アカウントや正規の動画には残っていないので、Naxosの音源リンクを貼っておきます(Naxos加入の方はご試聴いただけます)。
「超絶全曲」に最近挑んだのは、2014年特級グランプリで、現在アメリカ留学中の山崎亮汰さん。収録に立ち会っているだけでも魂を吸い取られるような凄まじい経験でしたが、演奏者はまさに「命を削って」の表現。山崎さんによれば、難曲・難所のオンパレードであることはもちろんながら、冒頭の第1番・第2番から油断のならない難しさで、最初から緊張感をもって立ち向かわないと崩れてしまう作品集だそうです。それだけに、大きな作品として全12曲を描き切れたときの充実感と感動もまたひとしおとのことでした。
Yunchan Lim、歴史に残る18歳の挑戦を、見守りましょう。
5:50am Ilya Shmukler(ロシア、27歳)
ブラームス:ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ Op.24
プロコフィエフ:ピアノソナタ第8番 変ロ長調 Op.84 「戦争ソナタ」
Ilya Shmukler(ロシア、27歳)もまた、大作を2つ並べた意欲的なプログラムで挑みます。彼は現在、アメリカのパーク大学で、2001年のクライバーンコンクール優勝者スタニスラフ・ユデニッチ教授に師事しています。ユデニッチ先生の生徒といえば、既に世界的に活躍しているベフゾド・アブドゥライモフや、前回のクライバーン銀メダリスト・ケニー・ブローバーグ、さらには日本で仙台国際などに入賞している平間今日志郎さんなどがいます。ピティナでも、2015年に海外審査員として招聘し、素晴らしいマスタークラスを開講していただきました。
ユデニッチ教授の凄まじい演奏動画から。オリジナルの低い椅子で(彼は若い頃の体の故障のため、常にこのような椅子で演奏します)、独創性豊かな唯一無二の世界を描く演奏です。
オバーリン音楽院のオンラインプログラムで、ユデニッチ教授が、ショパンコンクール優勝前のブルース・リウを指導している動画があります。リモートレッスンですが、指導の様子は充分に楽しむことができます。
さて、Shmuklerが演奏するブラームスのヘンデル・ヴァリエーション、プロコフィエフは、すでに各ラウンドで他のコンテスタントも素晴らしい演奏を披露してきた作品です。このような作品に新たな印象を与えるのは非常に難しいものですが、Shmuklerさんはどのような解釈を披露してくれるでしょうか。
Jinhyung Park(ブラームス:ヘンデル変奏曲)
Kate Liu(プロコフィエフ:ソナタ第8番)
Yutong Sun(プロコフィエフ:ソナタ第8番)
2020年の特級セミファイナルでは、尾城杏奈さんもプロコフィエフの8番を選択していました。
そして、朝9時30分からのコンチェルトには、2人目の演奏者としていよいよ亀井聖矢さんが登場します。どのようなアンサンブルを聞かせてくれるか、こちらも楽しみに応援したいと思います。
6/11(土) コンチェルト【2】
9:30am Yutong Sun(中国、26歳)
協奏曲第20番 ニ短調 K.466
10:00am Masaya Kamei 亀井聖矢(日本、20歳)
協奏曲第19番 ヘ長調 K.459
11:00am Jinhyung Park(韓国、26歳)
協奏曲第20番 ニ短調 K.466
11:30am Anna Geniushene(ロシア、31歳)
協奏曲第25番 ハ長調 K.503