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ストレッチポールを使った感覚入力と運動療法と学習(スペシャルライター)

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初めまして。東京医科大学茨城医療センター所属、理学療法士のマロンです。

突然ですが、みなさんは筋力・可動域は十分なのに上手く動作を行う事ができない症例を経験したことはありませんか?

歩行で例えると、股関節屈曲・伸展角度と体幹屈曲のMMTは十分にあるはずなのに、何故か立脚終期を骨盤の前傾で代償する方。

その方の骨盤の前傾後傾の動作誘導を行うと、ある方は「動かし方がわからない」、ある方は代償動作の修正がなかなか上手くいかない。

「筋力と可動域は十分なのになんで出来ないんだろう・・・」

と悩んだ経験は臨床家であれば誰もが一度はあると思います。

新人セラピストは可動域と筋力で動作を考えてしまう傾向がありますが、運動学習も動作を考える上で重要な要素の一つです。

ただし、実際に運動学習を行うにしても中々上手くいかないことは多々あります。よく見られるのが鏡を使用した動作の修正ですが、どうしてもリハ後には元の動作に戻っている事が多い印象です。

じゃあどうしたらいいのか?

その答えを今回お話しさせていただきます。


運動学習の段階

図1

運動学習によるスキルを獲得する上で3つの段階があるとされています。①認知、②連合、③自動です。それぞれは異なった神経過程と関連しています。

骨盤の後傾を例にして、順を追って説明します。

① 認知

この段階ではどの様なスキルの獲得を目標とするのか、目標を達成するためにはどうすれば良いのかを理解します。獲得したいスキルをまずは理解しないと運動学習が進みません。出口のない洞窟を永遠とさまよいます。

セラピストが「骨盤を後傾させて下さい」と聴覚的に、あるいはデモストレーションで視覚的に伝えるのがこの段階です。また、言語中枢が主に活動し、一通り学習が進むと活動が低下する事がわかっています。

② 連合

この段階では目標を達成するために様々な運動戦略を試行錯誤します。その結果を比較し、動作の修正を繰り返しながら、より効率的に行える様に導きます。

間違った動作の学習がされない様に「結果の知識」と呼ばれるものが重要になります。運動もしくはその誤差についての反応後の情報を提供する言語的なフィードバックのことです。

例えばセラピストが「もうちょっと腰を丸めて!」「胸を丸めるのではなくて腰を動かしましょう!」「それは首だけが前に出ています!」と、あれこれいうのが結果の知識です。

後述しますが、セラピストによる過剰なフィードバック情報の付加は、学習効率を低下させます。そのため患者自身が動作の評価を行える様に促していく事が重要です。

脳領域では皮質運動連合野と感覚運動連合野が活動します。

③ 自動化

この段階になると手続きは自動化され、注意は減少し、言語は動作の遂行に不要となります。注意を他の動作に向ける事ができるため、応用的な動作練習も可能です。

例えばベッド上でできた骨盤後傾動作を歩行で生かせる様に練習します。運動学習に関連した脳活動が連合野から大脳基底核などの他の部位に移行します。


フィードバックの量を考える

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