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新しいくらしかた

仕事の上では5月が終わった。バケーションでない休みがトンネルのように語られ、そこを抜けたら不安の海みたいのに浮かんでいた。ぷかりぷかり未来の方角がぼやけて暗くて、多分また来る敵と次はどう対峙しようか、答えも見えてはいない自分。

自分だけじゃない、というのがいつもと違う。未来は勿論分からない性質だけれど、想像できた限りの先をゴールにしてきたのに、ぼんやりとして見えないことだけでもストレスだ。誰にどう尋ねれば筋道が見えてくるだろう。真っ白な紙を穴が開くほど見つめても、時間が過ぎて、5月が終わってく。

*  *  *  *  *

まさかりを担いでみたんだけど、外には出られないみたい。熊は一人で好きに山に入っていったから、今しばらく戻ってこない方がいいね。お外もダメだし、お相撲もダメ。新しい暮らし方がこうして熊たちと会えずに家の中にしかいられないのだというなら、寂しいものだな、未来は。

会おうとしなきゃいいんだ。たまたま会うってのはどうだろう。ぼくちょっと今日からここで待っててみるよ。まさかりが目印だもの、わかるよね。

熊自身が新しい生き方を見つけたならしょうがない。そうしてぼくは思い立ち、密にならないやり方で熊を待ってみることにした。ぼくの新しい暮らし方がこうして始まった。

もう戻らないのなら、一番やりたいことを守ろう。

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