【心理検査解説】WAIS-IV①使用目的

WAISは知能検査の1つ

WAIS-IVはウェクスラー式知能検査と呼ばれる一群の知能検査のうち、成人用の最新版です。読み方は「ウェイス-フォー」です。どうしても「ヴァイス」と読んでしまいます。
知能検査といえば昔はIQを測定するためのものというイメージで、進学塾などでも使用されていました。
現在使用されている代表的な知能検査であるウェクスラー式知能検査は個人の特性(得意なことや苦手なこと)の傾向や、知能や発達の水準を明らかにすることを目的にしています。
決してIQを測り優劣をつけるのが目的ではないです。

WAISで検証できる事柄

WAIS-IVから得られた情報をもとに3つのことが検証できます。

1つ目は、「一般的な水準と比較して自分の知能を知ることができる」ことです。
先に述べたとおり優劣をつけるのが目的ではありません。
しかし自分がある部分で平均的な知能水準から大きく離れていたら、それが今抱えている困り事の原因となっているかもしれません。
それを把握することができれば、対応を考えることができます。
WAIS-IVはきちんと標準化された知能検査ですので、一般的な水準(テストでいうところの平均点や偏差値)が明確に算出されています。
それを参考に、自分の知能水準を知ることができます。

2つ目は、「自分の中での知的能力の凸凹を知ることができる」ことです。
IQと言えば昔は単純に知能という理解でしたが、今ではそうではありません。
本を読むのは得意だけれど、絵を描くのは苦手という人がいます。その逆に絵を描くのは得意だけれど、本を読むのは苦手という人がいます。
WAISには様々な種類の知的能力を算出できるよう構成されており、それぞれの人の得意・不得意を知ることができます。
これをよく知的能力の凸凹という言い方をします。
この凸凹が大きいと発達障害だと言う人もいますが、多くの研究者はこのことに異論を唱えています。気にしないでおきましょう。

3つ目は、これが一番大切なことですが「今後の生活を送りやすくするためのヒントを得られる」ことです。
例えば、指示したことをうまくこなせない、と評価されている人がいたとします。
この困り事を解決するためにはその原因を検証する必要があります。
例えば、
・物事を記憶することが苦手で指示を記憶しておけない
・言葉で理解することが苦手で指示を理解できない
・(こういうこともありますよ!)そもそもその人に原因はなく、上司の指示の出し方に問題がある
といったふうにいろいろなことが考えられます。そうすると、それぞれ、
・簡単なメモを準備してもらえれば読み返して指示を確認できる
・図表の形で指示をもらえれば十分理解できる
・(なんとか上司にWAISを受けてもらう)
といった解決法を考えることができます。
こうしてWAISから得られた情報を基に合理的配慮をしてもらうことで、WAISを受検した本人だけでなく、家族や職場の周囲の人々にもプラスになるでしょう。

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