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Flash Back Thopter vol.2 2022.3~4(~SNC)

■はじめに

 お久しぶりです、サボってましたクォーツです。"Flash Back Thopter(FBT)"です。この記事は、マジック:ザ・ギャザリングにおける筆者の振り返りを目的とした記事です。
 今回は、2022/3/7に発表された《夢の巣のルールス》の禁止改定から"ニューカペナの街角"の実装までの期間の振り返りです。ようやくVol.2ということになります。

 【注意!】この記事は、主に「Urza's Thopter(ウルザソプター)」のデッキの調整記録および特定のデッキに対する考察等がメインとなりますので、以前上げているこちらの記事や、前回のFBTをお読みいただくことを推奨します。


■定義やルール(ここまでテンプレ)

 フォーマットはモダン(Modern)となります。使用可能セットは最新のものを記事内に記載します。
 記事の構成として、記録している該当期間の戦績を引用します。記録は、MagicOnlineのLeagueとプレミアマッチ(Preliminary,Challenge等)、中規模以上の店舗大会(ここでは主にSEありの大会を指します)となります。一部店舗大会関係は漏れがあることもありますが、誤差です。

■対戦記録(2022.3.9~2022.4.27)

 ということで、まずは対戦記録から。
 期間は2022年3月9日から2022年4月27日まで、使用可能セットは”神河:輝ける世界”まで、《夢の巣のルールス》禁止以降の集計です。

TOTAL 279戦(先手130、後手149)
勝利数175 敗北数104 勝率62.7%
※先手勝率65.4% 後手勝率60.4%

主要デッキ(マッチ回数の多いデッキ)および勝率

UR Murktide 32戦 マッチ率11.5% 22勝 10敗 勝率68.8%
Hammer Time 17戦 マッチ率6.1% 6勝 11敗 勝率35.3%
WU Control 17戦 マッチ率6.1% 10勝 7敗 勝率58.5%
Amulet Titan 15戦 マッチ率5.4% 9勝 6敗 勝率60.0%
4C Omnath  13戦 マッチ率4.7% 7勝 6敗 勝率53.8%

上のデッキはマッチした上位5のデッの一覧です。(全体の33.7%)

■大会入賞など

 上の2つの引用ツイートは、SEありの大会でTOP8以上を達成したリストです。特にモダンチャレンジ入賞は一つの目標だったのでうれしい限りですね(初戦で有利だと思っていた青白コントロールに負けたのは滅茶苦茶悔しいですが…)

■ルールス禁止の影響

 なんといってもこの環境の最大のトピックは《夢の巣のルールス》の禁止でしょう。これにより大きく後半のアドバンテージ勝負を制すことのできなくなったグリクシスシャドウが環境上位から退くこととなりました。
 相棒をジェガンサに鞍替えしているリストもありますが、なかなか勝ちきれないデッキとなっています(執筆時5/20現在)
 

まあ…うん、ダメだったよね

■赤青濁浪の大量発生

 ルールスが禁止されて以来、頭角を現したのが赤青濁浪(UR Murktide)
です。もともと人気のデッキでしたが、モダンでレガシーにプレイ体験を味わえ(語弊あり)かつ、様々なデッキに柔軟に対応できるその地力の高さからトップメタに君臨することとなりました。

 これはウルザソプターの目線から見るとかなり追い風で、特にメインデッキにおいては無類の勝率を誇ります。もっと増えろ。

モ ダ ン ホ ラ イ ゾ ン 2

■相変わらず強いハンマータイム

 またルールス禁止以前から新勢力《現実チップ》を引っ提げルールスに頼らない継戦能力を得たハンマータイムもメタ上位に君臨。もともとルールス不要論が唱えられていたことを裏付けるかのように今日も特大パンチを繰り出しています。
 
 そしてこちらは、赤青濁浪と対照的に、かなり不利なデッキになります。従来の方であれば、採用されなかった《呪文貫き》によるテンポずらしや、《時を解すもの、テフェリー》によってコンボパーツや従来型のハンマーに対して盤石だった《カルドラの完成体》をいともたやすく除去されるなど、かなり苦しい戦いを強いられることとなります。

主流は”白黒”から”白青”に

■怪しいコンボデッキの登場

 また、”神河:輝ける世界”の新カード《現実の設計者、タメシ》を使った新しいコンボデッキも誕生しました。詳しい挙動などは公式の紹介動画を参考にしてもらうといいと思います。
 ちなみにこちらも不利デッキ、タメシの効果の都合で《大祖始の遺産》が有効に働きにくい、《ポータブル・ホール》を当てる先がない、《減衰球》が効かないなど、対策を見事にずらしてくるため、厳しい戦いになります。

意外と強い

■Urza’s Thopter 最新リスト

 上記のように環境が変わったことも踏まえて、いくつかリストの調整を進めています。ただし、ある程度の固定枠はほぼほぼ固まりつつあるので、前回リストから変わった部分などを軽く紹介します。

3/24に入賞したデッキから引用

■採用カードについて

《捧げ物の魔導士》の採用

”成長”はしないが確実に”仕事”をこなす

 ルールスの退場により環境が若干ミッドレンジに寄ったことで、コンボに繋げて勝つというパターンが増えました。そこでコンボの成立を安定させるためにお試しです採用したのが《捧げ物の魔導士》です。現状は《巧妙な鍛冶》から入れ替えています。
 基本的な運用は5枚目の石鍛冶であり、4枚目の《飛行機械の鋳造所》です。しばしば《現実チップ》をサーチすることもあります。 これは神河:輝ける世界で変わった構築にかなり合致していると感じていて、あと一歩でコンボが成立する段階で、《霊気の呪文爆弾》や《大田原》でバウンス再キャストなどによりパーツを揃え勝ちまでもっていくという点が強みです。 ただ一方で弱みもあって、そもそも3コストと重いこと、種族に工匠が入っていないため、《魂の洞窟》の恩恵を受けにくいといった欠点もあります。
 正直これを書いている5/20の時点でも《巧妙な鍛冶》とどちらがいいのか、というのは悩んでいるところですが、一つの選択肢としての可能性は見えたと思っている1枚です。

《冥途灯りの行進》の採用


毒を持って毒を制す

 アミュレットタイタンなどのサーガを利用するデッキや、ハンマータイムの特に《墨蛾の生息地》への有効なインスタント除去除去として機能します。そのほか、サイド後の青白コントロールが入れてくる可能性がある《石のような静寂》やフィニッシャーである《天界の列柱》を始めとしたカードをへの対応を無理なくできるというのも大きな1枚です(こういったデッキにはポータブルホールをサイドアウトしますからね)
 あとは、テンポを意識しつつピッチコスト込みで払うことを常に念頭に入れることも重要です。コンボで勝つなら手札の枚数など些細なことですからね。

■質問への回答(マシュマロより)

 新コーナーです。マシュマロでデッキについて質問を受け付けることにしました。以降、記事を上げる際はこれらもポツポツ回答していくことにします。場合によっては別で記事を書くかもです。

①打消しの採用について

 対抗呪文を採用しないことには大きく2つの理由があります。
 まず1つ目が"テンポ"の問題。
 このデッキにおいてインスタント呪文が極端に少ないという特徴があります。例えばコントロールデッキや赤青濁浪といったデッキは相手のターンに2マナ立てていても他に動きようがありますが、このデッキではそうはいきません。《石鍛冶の神秘家》や《巧妙な鍛冶》といった強力な2マナ呪文を唱えるのを遅らせてまで唱えることが最適な場面はありません。
 かたや1マナを立てるだけで動ける《金属の叱責》や《神秘の論争》はこれらの強力な動きを阻害しにくいという利点があり、確定の打ち消しではないものの、トロンのような大量のマナを生むデッキをスピード勝負で押し切るといった芸当ができる、というわけです。
 逆に《発明品の唸り》などを採用し、インスタントタイミングで強く動けるタイプのウルザソプターにおいては《対抗呪文》も十分採用圏内になると思います。
 またもう一つの理由が”色の問題”です。このデッキでは《ウルザの物語》や、アンタップインできるアーティファクト土地である《ダークスティールの城塞》を採用しています。これは23枚の土地枠の中の6枚とかなりの割合となります。デッキのカラーとしては2色ですが、実質的に無色を含んだ3色になっているわけです。そうした場合『(青)(青)』のマナを出すのがかなり難しいわけです。また《エスパーの歩哨》《石鍛冶の神秘家》といった強力な呪文は軒並み白マナのみを要求するため、ライフを優先するためにフェッチランドから《平地》をサーチすることも多く、この2色を気軽に捻出することが難しくなっています。
 ちなみに《発展のタリスマン》を採用しているのもこの理由によるところが大きく、《最高工匠卿、ウルザ》を出す際に色事故を起こさないことを意識したものとなります。
 またこうした色問題から、先手で置けば各種続唱デッキに有利になる《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》の採用を見送っています。

②殴打頭蓋の非採用について

 実はモダンホライゾン2以降の石鍛冶型ウルザソプターでは、当初より《殴打頭蓋》がリストに入ることのほうが稀だったりします。
 答えは単純でこのデッキが《殴打頭蓋》に求めるところを《影槍》と《ウルザの物語》のパッケージがすべて満たしてくれること、《敏捷なこそ泥、ラガバン》が蔓延り軽量除去が多く採用されるモダン環境において《石鍛冶の神秘家》が場に残ることが少ないというのが理由です。
 そういったリスクがある中、《石鍛冶の神秘家》がいないと真価を発揮しきれない《殴打頭蓋》より打点が高く、無限コンボ成立時にターンを返さず相手を仕留めることのできる《カルドラの完成体》が優先されるというわけです。

③ヨーリオン採用型について

 ヨーリオン採用型のウルザソプター、《孤独》と《儚い存在》のブリンクパッケージに《スレイベンの検査官》など地上を止めながらブリンクで確実にアドバンテージを確保できるというのが強みのデッキですね。
 個人的には80枚デッキに懐疑的でドローのムラを許容しきれないな、というのがありあまり好みではないです。ですが、前述の通り地上戦とアドバンテージという側面では非常に強力で、どちらが強い、というのは一概に言い切れないと思っています。
 ちなみにこれは余談ですが、現在の私のウルザソプターのベースとなったリストはヨーリオン採用型のウルザソプターです。もっとも今とはかなり構築が違いますが。参考までにリンクを載せておきます。

④タッチカラーについて

 2色に色を足して3色にするのは《虹色の終焉》が強く使える、メタカードを採用できるなど、痒い所に手が届くといったところではありますが、トライオームの採用によるタップインがどうしても発生するなど、テンポ的に短所も目立つため、可能な限り2色でまとめることが望ましいと今は考えています。
 他には、《ラフィーンの塔》を入れ、《ボーラスの工作員、テゼレット》や《思考囲い》を採用した黒タッチなども試しましたが、2色でまとめること以上のメリットを享受できなかったのが実情です。 
 タッチとしての緑は、《不屈の追跡者》などが採用候補ですが、除去が多い環境で上手に使うことが想像できず試してはいないですね。
 あくまでも2色として、前述の《ボーラスの工作員、テゼレット》や《思考囲い》を入れアグレッシブに立ち回る青黒型や、珍しいところだと3色にはなりますが《お菓子の小屋》と《レンと6番》を採用し、《飛行機械の鋳造所》を抜いたものなど様々な型が試された過去がありますね。
 この辺のいろんな型のウルザはどこかで記事にしたいですね。青黒ウルザについては、今と環境も大きく異なりますが前に記事を書いているのでこちらも参考にしてもらうと面白いかもしれません。

⑤《石鍛冶の神秘家》の使い方について

 一番簡単なところで言うと、《大魔導士の魔除け》の危険がなく、除去が少ない(=《石鍛冶の神秘家》が生き残る可能性が高い)盤面では《カルドラの完成体》をサーチすることが多いです。デッキで言えば特に対緑トロンでは弱点である《大いなる創造者、カーン》を仕留める為に9割方《カルドラの完成体》をサーチします。
 また盤面にクリーチャーが並び、ロングゲームが予想される場合はコンボによる勝ち筋を狙い《弱者の剣》をサーチします。逆に盤面にクリーチャーが少ない場合や後続のクリーチャーを間髪入れず並べられる算段が付いている場合は、ビートダウンプランを狙い《イラクサ嚢胞》をサーチします。
 相手がクリーチャーデッキで、ダメージレースで負けている場合かる手札に《最高工匠卿、ウルザ》があり、次のターンでウルザを出せる場面では、《影槍》をサーチし、ウルザで出てくる構築物トークンによるビートダウンプランを狙うこともあります。
 《現実チップ》は優先度は低いですが、相手に除去がなくアドバンテージ勝負が求められる間合いにサーチします。
 この辺のケーススタディ的な部分もどこかで記事にまとめられればとは思っています。そのうちそのうち……。

■最後に

 なんとか3回目です。やったね。
 今回初の試みとして質問を受け付けてそれに答える、というのをやってみましたけど、なかなかいいものですね。次もやってみようと思います(質問が来れば)
 さて、サボっていたためにニューカペナが実装してから1か月近くが経ちました。今のところ神河:輝ける世界の時ほど試してみたい、というカードがなくリストも代り映えしないですが、対戦するデッキたちには細々としたアップデートがかかっているのをようやく感じるようになってきました。
 次回の記事ではもしかしたら新カードを入れたリストをお見せすることができるかもしれないですね(今のところ見込みはないですけど…)

 それではまた次回お会いしましょう、お相手はクォーツ(Twitter:gyyby_mtg297)でした。ここまで読んでいただきありがとうございました。

■追伸

 引き続きマシュマロにて質問を受け付けます、お気軽にどうぞ~


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