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旅行記#4 【北欧で自分らしく生きる】

一泊二日、滞在30時間のストックホルム旅行に行ってきました。
観光するのではなく、スウェーデンに留学する人に話を聞きに行くのが目的でした。
話を聞きに行った3人とも、とても素敵な北欧ライフを送っていて、個人を特定しない形でシェアしたいと思います。

1.丁寧なくらし

ストックホルムの大学に交換留学に来ているは、授業は2時間と長いものの、週に3コマほどしか取っていないそうです。
それ以外の時間は、ジムに行ったり、お気に入りのお店に行ったり、自炊をしたりと、「自分を大切にする時間」「お気に入りのものを見つける時間」に充てていました。


自家製のぬか漬けをご馳走してくれました

北欧で、進んだ社会科学を勉強しに来た、というその学生は、
冬の16時には暗くなってしまう天気と、どこでもおいしいごはんが食べられるわけではないことへのストレスを感じているそうです。

また、興味深かったのは、北欧に来たからと言って北欧の人の考え方が分かるわけではない、ということ。
もともと積極的に交流を深めようとしない、スウェーデン語でしか会話をしないスウェーデン人と、留学生とで分かれてしまい、
スウェーデン人が実際に生活について、政治について何を感じているのかはなかなか知る機会がないのです。

多くの難民を受け入れてきたスウェーデンでも、最近は保守的になっている人も多いとのことでした。
また、投票率も年々下がっている、という話を聞き驚きました(理由は後でじっくりと調べてみたいと思います)。

2.スウェーデンで拓くキャリア


スウェーデンで将来現地就職したい!と思っている人も多いのではないでしょうか。
今回話を聞きに行った学生は、日本にいたころにはそのようなことは考えていなかったようでしたが、
紆余曲折あり、日本の大学を卒業した後、スウェーデンでPhDを取りたいと話してくれました。

交換留学の協定大学の中で、自分の関心のある分野の教授に連絡を取った後、最終的に返事が返ってきたところ、自分との研究との相性でスウェーデンの大学を選んだそう。
スウェーデンでの研究が、日本のように小さな研究室単位でプレッシャーに苦しみながら論文を書くのではなく、
その分野に関わるPhD、大学教授がゆるやかなグループを作っており、
一流の環境にいながらのびのびと研究できることに魅力を感じたそうです。

日本では、PhDは三年で取らなければならない、卒業後の進路も狭まっているというイメージが強いですが、
スウェーデンをはじめとするヨーロッパでは、PhDは教授がゴーサインを出したら取るもの、三年以上かけて取る人もいるとのことです。

なによりも、PhDの待遇はヨーロッパの方が圧倒的によく、
そこそこの給料をもらいながら研究に没頭する、卒業後はジョブ型雇用の中で修士以下の学生よりも圧倒的に有利な立場で仕事探しができます。

「スウェーデンにある企業がスウェーデン人よりも日本人をあえて選ぶ理由が分からない、現地就職はやはりスウェーデン語を話せていないと難しいのではないですか?」と質問したところ、
それを有利にしてくれるパスポートがPhDなのだ、という答えにハッとしました。

今の企業研修で、スペイン語がネイティブではなくても、
PhDを持っていることでポストを見つけて、マネージャーとして活躍している上司がいます。
英語と専門性の二刀流でキャリアを作っていくことへの興味がますます強くなりました。

3.自分の関心分野を見つけるには

半分病みながらスペインに滞在している私にとっては、このテーマは非常にやっかいで、いつも頭から離れない悩みの種になっています。

最後に話を聞いた、スウェーデンの大学院でPhDを取ろうとしている学生の話を聞き、好きなことは何か、自分の専門性を身に着けるまでの過程について、新たな知見を得ることができました。

日本で修士号まで取った後、さらに自分の関心テーマを深堀していった結果、最終的には3つくらいの学校まで絞ったそうです。
その後、その研究グループが活発に動いているか、教授が分野の中でどのような位置づけになっているか、など環境面を考えて
スウェーデンに決めたといっていました。
国に対するこだわりはなかったのか、と聞いたところ、
勉強しに来ているのであって、特にこだわりはないとのことでした。

さて、本題の関心分野の見つけ方について。
私は結局どんなことでも関心を持ててしまい、逆に困っている、と話すと、

①自分の専攻でスタンダードとされている教科書を一冊目に通す
②そのなかで特に引っかかった点について、論文を探してみて深堀する
③一本の論文に対して簡単な質問に答えられるくらいの精度で読んでいく。論文は100本ほど読むと、どの教授、研究室が強いのかがだんだん分かってくる

の3つのステップを教えてくれました。
私は自分の専攻に対してもはや関心をもてなくなってきているのですが、
どんな分野であれ、まず上記のことをやってみるだけで、
自分が本当に好きな分野が見つかったときの練習になる、とも言っていました。

それでも関心分野が見つからない場合は、
授業を受けた中で、自分が一番質問が浮かびやすい授業はなんだったか、
その質問になぜひっかかったか、という自己分析をする必要があります。

この方の場合は、修士まで進んだ時点で博士に行きたいと考えていたので、
先ほど紹介したPhDの境遇のよさから、ヨーロッパでポスドクをやることを引き続き考えているそうです。


4. 原点に戻ること

留学に対する考え方はひとそれぞれです。
「日本が嫌だったから」「海外に住んでみたかったから」「これを勉強すると稼げると知ったから」など、どんな動機でもいいと思います。

一方で、一度海外に出て話を聞きに行くと、案外「いろいろな条件をみて、なぜかこの土地で過ごすことになった」という偶然性で来ている人も多いです。

その人たちの原動力は、自分のわくわくすることを突き詰める、という非常にシンプルで自己満足的なものでした。

海外に出ることは準備と覚悟が必要で、強制されるものではありません。
そんな決断の時、最後まで粘れるかどうかは、自分の直観に従って純粋に楽しいと感じられるか、という素直な気持ちなのかもしれません。

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