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ゴールデン・リバー(2018)

最強の殺し屋兄弟の欲望と再生の旅路
サスペンスフルなストーリー展開で惹きつける出色の西部劇

ジョン・C・ライリー、ホアキン・フェニックス、ジェイク・ギレンホールなど、アカデミー賞常連の実力派俳優が豪華競演を果たし、2018年のヴェネチア国際映画祭で、銀獅子賞(最優秀監督賞)に輝いた作品です。

ゴールドラッシュのアメリカを舞台に、殺し屋の兄弟が辿る壮絶な旅路が描かれます。

【ストーリー】
1851年のアメリカ、オレゴン。兄イーライ(ジョン・C・ライリー)と弟チャーリー(ホアキン・フェニックス)は、最強と恐れられる殺し屋「シスターズ兄弟」として、辺り一帯を取り仕切る提督の依頼を受け、悪事の限りを尽くしていました。
そんな2人の新たな仕事は、連絡係のモリス(ジェイク・ギレンホール)が捜し出すウォーム(リズ・アーメッド)という男を始末することでした。

2人がモリスを追って、サンフランシスコへ南下する道中で、キャラクターの違いがくっきりと浮かび上がります。

傲慢で血の気が多いチャーリーと、そんな弟をボヤキながらも世話を焼く、実はロマンティストなイーライ。とりとめのないバカ話や激しいケンカ、時にはドジも犯す2人は残虐なのに、可笑しみが感じられます。

さらに、2人が道を外れたのは、非情な父親の存在があったことも分かり、悲惨な過去を共有する兄弟の強い絆が伝わってきます。

一方、モリスはひょんなことからウォームと知り合いになり、「砂金を採りに行く」というウォームと行動を共にします。化学者であるウォームは、「金を見分ける“予言者の薬”を作る化学式を発見したことから提督に狙われている」と告白します。提督はその化学式を奪うために、シスターズ兄弟を向かわせていたのです。

砂金で手に入れた金で「野蛮な世界を終わらせ、理想郷を作りたい」という、志の高い化学者ウォームと出会ったことで3人の悪党たちが変わっていきます――

理想と欲望、それぞれの思惑のために4人は手を組むことに。そして、いよいよウォームの薬を使い、砂金を採る晩、金を手に入れることで、未来を変えたいと望んだ男たちに衝撃的な出来事が起こります。

原作は、イギリスのブッカー賞最終候補に残ったパトリック・デヴィッドの『シスターズ・ブラザーズ』。監督は、カンヌ映画祭常連のフランスの名匠ジャック・オーディアール。

悪人たちの駆け引きが横行するサスペンスフルなストーリー展開、血みどろの銃撃戦が繰り広げられる西部劇ならではの迫力のアクション、そして狂気と悲哀を滲ませるチャーリー役のホアキン・フェニックスを始めとする、完成度の高い演技を披露した俳優陣など、すべての要素がうまく絡み合った、出色の西部劇です。

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