見出し画像

4、ビジネスとしてのミュージカル

こんにちは。オリジナルミュージカル制作にゼロから挑むユッキーナです。前回の記事では、ミュージカルの市場をみていきましたが、今回の記事は「ビジネスとしてのミュージカル」をテーマにミュージカル業界の課題をチェックしていきたいと思います。

ミュージカルのビジネスモデル

まず、ミュージカルの主なビジネスモデルをご覧ください。黄色い¥が収入で、水色の¥が支出です。

画像1

これをみると、主な収入源が「チケット販売」と「グッズ販売」であることが分かります。グッズは劇場に置いてあることが多いので、要するに、チケットをたくさん売る!というのが基本の仕組みです。

制作費や運営費を回収するためにチケットをたくさん売って、それ以上に売れれば儲かる、ということですね。

チケットをたくさん売るには

さて、ここからが本題です。さて、チケットをたくさん売るにはどうするのがよいでしょうか。

①ロングラン

一番簡単なのは、長い間同じ公演をつづけてずっとお客さんに入り続けてもらう方法です。劇団四季はこの方法ですね。とはいえ、同じ作品を長い間やり続けるっていのはなかなか大変。既存ファンに何度も見に来てもらうか、新規ファンを開拓するか…。既存を押さえながら、新規にどんどんとアプローチをしていく必要があります。


②PRやプロモーションをバンバンやる

それならば、と思いつくのがこれではないでしょうか。しかし、これは初期投資費用となります。お金をかけた分、チケットが売れないと赤字になってしまいますね。じゃあ、そのリスクを低くするためには、どうするのがよいでしょうか。


③魅力的なコンテンツを提供する

作品が面白そうだったら、プロモーションの効果もあるかもしれません!まずはコンテンツの面白さ、それが一番でしょう。ではここで、ふと思いかえしてみてください。映画でもいいのですが、面白そうだなーと思って本当に劇場に足を運んだ作品はどのくらいありますか?

私はCMなどで面白そうと思っても、実際に足を運んだ映画は1割に満たないです。。しかも、映画なら1,800円のチケット代が、ミュージカルとなると8,000円~10,000円。

「おもしろそ~」ぐらいのモチベーションじゃ、ホイホイいけません。それでも行くのなら、確実におもしろいという保証がほしくなります。


④有名作品を公演する

オリジナル作品はリスクがあります。正直なところ、初公演のオリジナル作品を観劇しにいって外した経験は数知れず。。

やっぱり鉄板作品に限るよね!ということで「レ・ミゼラブル」や「ミス・サイゴン」「オペラ座の怪人」や「ライオンキング」「シカゴ」などなどとなるのですが、このラインナップを眺めるとあることに気がつきます。全部海外の版権物じゃん!

つまり、有名作品でお客を釣るためには莫大な版権代がかかるのです。さらに、この版権の問題でDVD化やCD化も難しくなっています。感動は劇場の外に持ち出せません。


⑤有名人を起用する

ということで、最近のミュージカルでは脂ののった人気芸能人を起用することが増えています。今年のレミゼですら(あるいは一番人気のレミゼだからこそできた)、乃木坂の生田ちゃんやトレンディーエンジェルの斎藤さんを起用して、乃木坂のファンを動員したり、斎藤さんで話題性をつくったりして頑張っています。

ところが、この方法にも問題があります。人気芸能人は長い公演期間のスケジュールを押さえるのが難しいのです。つまり、ロングランができないということです。

ちなみに、人気有名人を起用するということは、もともとミュージカル畑で頑張っている実力派俳優たちの枠が少なくなるということでもあります。。世知辛い。


まとめ:ビジネスとしてのミュージカル

・主な収益源はチケット販売

・チケット販売数を増やすためにロングラン → 動員数を増やすためにプロモーションが必要!

・PRやプロモーション → リーチしても確実におもしろくなければ10,000円は払えない!

・確実におもしろい作品 → 海外の超人気作品

・海外の超人気作品 → 版権代がかかる。だったら、人気有名人でもっと人を呼ぼう!

・人気有名人 → 人気だからスケジュール押さえられない!

ーーーー

まぁ、実際はチケット販売だけではなくて協賛とかもあるし、こう一直線に説明するといろいろと課題や原因の抜け漏れも多々あるのですが、

今回お伝えしたかったのは、制作費&運営費以外にも「人を呼ぶ(=チケットを売る)」ために、莫大な費用を投資しているということです。だからこそ、ミュージカルは大手が強いのです。

ちょっと気持ちが落ち込んだところで、次回はそんななかでも新しいアイディアでがんばっている劇団☆新幹線と2.5次元ミュージカルのビジネスアイディアを紹介していきます!

オリジナルミュージカルでみんなをハッピーに! 観劇者も、役者も、演出家も、脚本家も、音楽家も、スタッフも、みんながうれしいミュージカルのあたらしいビジネスモデルの実現に貢献します☆