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外から来たのか内から出たのか

こんにちは。
株式会社プロタゴワークスあかねです。

「まるで憑き物が落ちたようだ」

物語の世界で時々みかけるこんなセリフがありますが、この表現に出会う度「一度も見た事ないし、そんなこと本当にあるんだろうか?」なんて子どもの頃から思っていたことをふいに思い出しました。

なぜなら、まさに僕自身が“この状態”を身を持って体験したからです。

それは先日のことでした。
いつもは車で出勤しているんですが、その日は夜にお酒を飲む予定が入っていたので鉄道に乗って出勤することにしました。その日はちょうど外出する予定も無く、久々の鉄道出勤を堪能する予定でした。

ところが、意気揚々と家を出ると容赦の無い朝の陽射しが僕を焼き殺さんばかりの勢いでジリジリと照らしつけてきます。いつもだったら車のエアコンで快適に通り過ぎる住宅街の道を、一歩ごとに頭皮から額から頬から首筋から前腕から噴き出して流れ落ちて来る汗を手ぬぐいで拭いながら、駅まで約10分程度の道のりを歩きます。既に道半ばにして、手ぬぐいは汗でビショビショになり、シャツもズボンもすっかり濡れてしまいました。

数分待って到着した鉄道列車の車内は、想像していたよりも冷房の効きが良く、これなら約10分弱の道のりで汗もすっかりひくんじゃないか、なんて思っていたんですが目的の駅に着いても、噴き出す汗は弱まりはしましたが止まる事は無く、これからまた外気の中を歩くくのかと思うと段々と気が滅入ってきました。

とは言え、駅に到着したら降りないわけにはいきませんし、降りたら改札へ向かわないといけません。

駅の階段を上り、改札を出て、会社の近くを通っているバスに乗れるバス停へ向かいます。これだけの移動でまたもや汗が噴き出しますが、もはや濡れてしまった手ぬぐいで拭うという行為の繰り返しをするだけです。お目当てのバスに乗って空いている席に座っても同じことをただ繰り返すだけ。ふと周囲を見渡すと、車内ではしっかり冷房が効いているからなのか、誰一人として汗をぬぐっている人はいませんでした。こうなってくると、周囲の人から見たらもはや「ただひたすら流れる汗を拭うだけの妖怪」みたない存在です。

結局、その日の通勤時に鉄道とバスで読もうと思っていた本も流れる汗を拭う作業のために2ページくらいしか読み進められず、そもそも流れる汗を拭うのもめんどくさくなるくらいにひっきりなしに流れて来るし、そのための手ぬぐいは汗でビショビショだし、下着もシャツもズボンも全てが汗にまみれて体にぴったりはりついています。

「なんだかジムでトレーニングしてる時くらい汗かいているけど、別に走ってもいないし、重たい物も持ってないんだよなぁ…」

そんなことを思いながら、ようやく会社の最寄りのバス停に着きました。ここからは直線距離にして200mくらい。「よし、早く会社に行ってまずは冷房をMAXにしてクールダウンしながら、顔を洗ったり、汗拭きシートで全身を拭いたりしつつ、冷蔵庫に入っている炭酸水を一気飲みして体の体温を下げて汗を止めつつ、気分をリフレッシュしよう」と思いワクワクしながら会社に向かいます。

汗をダラダラかきながら100m程歩いたところで、ふと思い出しました。

「あれ?そう言えば、家を出る時に、今日は車に乗らないから車のカギは持たないまま出発しよう、なんて思って家を出てきたよなぁ。てことは、車のカギのキーホルダーに付けているはずの会社のカギも家にそのまま置いてあるってことだよね?てことは、もしかして、今の自分は会社のすぐ近くにいるのに会社に入ることができないってこと?もちろん、その通りである」と。

「おいおいおいおいマジですか!?」

危うく朝の路上で大声で叫びそうになりました。

時計を見ると朝の8時30分。いつも仲間が出勤してくるまでにあと30分程時間があります。とりあえず、仲間にSOSのメッセージを送り、最寄りのコンビニで陽射しを避けつつ時間を過ごし、しばらくして仲間から「出勤した」とメッセージが返ってきてから、いつもだったら買う事の無いコンビニのアイスコーヒーとみたらし団子を買って会社に向かいました。

会社に向かいながら、自分の心持ちが朝の出勤時と比べると明らかに急降下しているのが自分でもハッキリわかりました。

とてつもない暑さ、大量の発汗、出勤するだけで朝から汗だく、着ているモノは全て汗でビショビショ、カギを忘れて会社に入れなった、などの出来事があまりにも自分の想定とかけ離れ過ぎていて、出勤したら朝からやろうと思って楽しみにしていたコトもできず、ただただ心身ともに疲弊してしまっていました。

そのあまりの気分変調具合にはさすがに自分自身が辟易としてしまいました。

幸いにも、その後、アイスコーヒーを飲みながらみたらし団子を食べながら、体が冷えて汗がひいてきて、体の不快感が減っていくとともに徐々に気分が戻ってきたので事なきをえました。

まさに、「まるで憑き物が落ちたかのように」全く別人にでもなったかのような変調具合でした。

一通り落ち着いてから、「なんでこんなことに…」とそんなことを考えるともなく考えていたら、今日の一連の出来事の中で、唯一「会社のカギを忘れた」というところだけは、今後の取り組み次第で“再発の防止”ができるんじゃないだろうか?なんてことに気が付きました。

そもそも「なぜ、普段は忘れることの無いカギをこの日は忘れたのか?」と考えると、会社のカギがついている“あのカギ”を「車のカギ」だという認識でいたからです。もちろん、外出時に車に乗るのならば忘れることはありませんし、忘れたら家の駐車場で気が付くわけです。
であれば、これからは“あのカギ”を「会社のカギ」と認識することで「会社に行く時にはわすれない」となるのか?と言えば、今回のように忘れて家を出てしまうと、気付けるのは「会社に来た時」です。そうなると、“あのカギ”を「何らかのカギという位置づけに認識を上書きできたとしても、特定のシチュエーションにならないと思いだせない可能性は高いままです。

なので、「外出する際には何があっても必ず持ち歩くべき“必携のモノ”」という位置づけに変更することで忘れる頻度が減っていくんじゃないだろうか。そんな仮説を立ててみました。

そうすることで、大事なモノの物忘れが減るかもしれません。

今回のことで見えてきたのは、「“あのカギ”を自分はどう認識しているのか?」ということと、「いつものルーティンから外れる行動をとるとこんな重大なミスが起きるということは、自分の行動は自動化されているから忘れ物が発生していなかったというだけで、実際には自分の意志や能力によって忘れ物やミスが起きていなかったわけでは無い」ということでした。

「こんな特性がある」ということを自分で把握して認識できていること、つまり、「正しく己を知る」ということと、その対策を立てて実践することによって、ようやく自分がやりたいことややろうとしていることに取り組んでいくための基盤を整えることができていたってことなのかもしれない。

あらためて、客観的に己を認識する良い機会になりました。

己の知らない己は、この内側にまだまだたくさん潜んでいるような気がしてなりません。今は、はやく全ての正体を見極めてやりたい気持ちでいっぱいです。怖いけど。


あかね

株式会社プロタゴワークス

https://www.protagoworks.com/

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