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歌詞集

29
ここでは詩のなかでも歌詞っぽいものをまとめています。
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#オリジナル歌詞

シガレットキス

春が来ると思い出す
翼の生えた三毛猫のタトゥー
ブロンドの長い髪
古びた木の匂いがする書店

売れそうにない本を片手に
机に足を乗せていた
神を恐れない僕の
憧れのマリア

シガレットキス
黒い人魚のパッケージ
ルージュの跡に込められた
想いは人工的な甘苦さ
シガレットキス
背伸びして無理にアンサー
洋書の話題なんて
まるで頭にないのに

さよならの後の静けさが
薄明かりの背中と重なる
少しだけ湿

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冬の校舎

冬の校舎

昨日の雪が溶けかけて
霜柱にならずに凍りついた地面
今なら簡単だねと
キミは息を弾ませた

モラトリアム最中の
僕らの花は短い
パステルカラーの思い出に
塗りつぶされないように
鼻を膨らませる

あっけなく、忍び込んだ
冬の校舎は白い息が
邪魔になるけど
響いている僕らの音
その一瞬だけでも
切り取りたいよ

非常口の緑の下
安心するねとキミは言う
若者は大志を抱けだの
恋をせよと言うけれど
今は

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シャボン玉

真夜中の駅の改札の前
ポツンとベンチに座る
静まり返った改札口から
やってくるはずのない
まぼろしを待ち続けている

ずっと変わらない心で
何気ない会話で満たされたいの
震える唇を噛み締めて
悴んだ手を温めている

あなたはシャボン玉
知らない間に弾けて消えた
あなたはシャボン玉
束の間の空に浮かぶ
あどけなさがどこか似てる

コンビニの前で集まる
若者たちの笑い声
がらんとした空洞の中では
自分

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ナインプラザ

ナインプラザ

常夏の太陽が支配するこの街は
ギラつく視線で客を取る
新宿二丁目のネオン街よりも
渦巻く欲望はタチが悪い

ありのまま生きていれば
根こそぎ奪われ、捨てられる
淡い感情の成れの果てを
この目で見てきた、
まるで鳥獣戯画

ショッキングピンクなルージュに
導かれていく僕はしがない夏の虫

パッション溢れた楽園に
現実逃避かまして嗚呼…
アバンチュール

株が暴落しても
虹色の雨が降ろうと
ここだけは

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精神の窓

 雲の隙間から覗き込む光
 氷が溶けきったぬるいコーヒー
 テーブルには君が描いた
 作りかけの似顔絵
 
 雨上がりの匂い
 落ち葉の風に運ばれて
 あの日のまま
 止まった午後二時の時計
 割れたガラスはもう直したけど
 
 変わらない世界が
 いつでもここにあったらなんて妄想
 願うだけ無駄なのでしょうか?
 虫籠越しに眺めていたいけど
 あまりにも時の流れが速すぎて
 
 ハンガーにもかけ

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エメラルド

眠気まなこを指でこすり
見上げた月明かりは
鮮やかな光の粒に包まれた
ひまわりのよう

ふわりと漂う風に
夏の終わりを感じる
また一つ増えたシャッター店
今年も不発の花火大会

嗚呼、夢のように歩きたいな
全部、うわの空で済んだなら
しがらみさえもどこ吹く風
人生は楽しさの連続だ
悪意も親切もごちゃ混ぜにして

寂しさに触発された
僕の心はまるでエメラルド

衝動夢

退屈が苦痛だった、
ギラギラした目で語りまわる
オレはきっと
ただの獣より劣る生き物だ

満たされない衝動が
心を貪っていく
欲求不満で頭はいっぱい
誰も彼もが異形の顔つき

欲しているものも
分からないまま、あぁ、オレは行く
蓮池の奥、モラトリアムの入り口で
あの子が眩しい光を放つ

救い出してくれ
終わりのない螺旋階段から
叫べば叫ぶほど
虚しくて喉が渇く 

ぶつ切りの感情で
空なんか飛べる

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ジオラマガール

果てしなく続く水平線
向かう少女の
足取りは深い海の底
その素顔は
もう二度と知る事のない
秘密のスクランブル

学生証に挟まれた家族の
ポートレート
肩までのポニーテール
スカートの丈は膝下で
キラリ、光る
セイコーの時刻は
正午を過ぎた頃

ジオラマガール
感情を表に出せないまま
幸せそうに見えた世界は
フィクションだったの?

ジオラマガール
本当の世界を見せてよ
なんて、愚痴をこぼしても

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日曜日の過ごし方

パジャマを脱いで
洗濯かごに放り込む
その瞬間が私、
1番癒されているの

誰にだってあるでしょ?
変な癖の一つや二つ
私なんてまだ可愛い方でしょう

タバコ タバコ 許せないの
マナーは守って
駅の改札 ポイ捨て ダメよ
ちゃんと見てるんだから!

デパ地下に行くと、
かならずいる 放し飼いのコーギー
甘えた目でしっぽフリフリ
この、プリケツ野郎!(萌)

誰にだってあるでしょ?
言いたい事とす

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残像思念

自販機一つないホーム
ベンチに座り、うわの空
頼りにならない街灯が
チカチカ、時折り
熱風が通り抜ける

各駅停車のアナウンス
流れる、冷や汗がじわり
真夏の夜が見せた
残像思念

問いかけた答えは
今もまだ返ってこない
相も変わらず僕は
この風景に住み着いたまま

電車から降りてすぐに
階段を駆け降りる
振り払え、憂鬱を
考えられなくなるまで
走れ、光のように

ひたすら帰り道も
わからなくなる

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Milky way

待っていてよ、夜空の星
追いかけていくから
今なら流れ星より
自由に早く飛べる

大昔だったなら、
気球に乗って、果てしなく続く
大気圏を見上げていたんだろう?

奇跡がぶつかり合って
未来で答え合わせして
そうして常識が増えていく

僕らの生きてる時代も
さらに遠い未来なら
宇宙にだってターミナルが
あるのが当たり前だろう?

Milky way行きのチケットを
握りしめて、僕たちは
胸に空いた

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ストークキング

ストークキング

苗字しか知らないの
許せないボクのプライド
秘密のプロファイルを
君で埋め尽くしたい

夕方、小田原行きの電車を待つ
最寄り駅でジムの着替えを
背負っているね、
アメリカ製のリュック

ボクの名はストークキング
誰にも怪しまれずに
ボクの名はストークキング
知らない事を知りたいだけ

ボヤけて曖昧な
レンズを買い替えて
鮮明な視界で
君をメモリの中に閉じ込める

朝方、新宿行きの通勤快速
灰色の枝

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ガラスの心

だれにも言えない
きっと分かり合えない
あの日、おやすみを言った
夜からキミは眠り続けたまま

無言が胸を突き刺す
時に人はナイフより
残酷になる
ボクは本当は知っていた
キミの表情の違いを

見ないふりをしてた
キミの心の扉は
どんな言葉も
傷つけると わかってたから

白い部屋の真ん中で
今、静かな夢を見てる
息を吸うことさえ
躊躇うくらいに
優しい横顔で

机の引き出しに
隠されていた日記帳

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屋根裏の部屋

埃かぶった屋根裏は
僕の大事な秘密基地
息が詰まるといつもこうして
頭隠して泣くんだ

今日も一人でお留守番
扉が閉まる、昼下がり
父と母と姉の三人を
僕は窓の外から覗き込む

いつまで僕は一人きり
朝も昼も夜も
時々、不意に殴る拳が
痛い、痛いよ、ごめんなさい
いい子にするね

買い物から戻る車が
灰色の空を作る
また今日が終わる前に
僕は声を殺して泣くんだ

いつまで僕は一人きり
朝も昼も夜も

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