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歌詞集

29
ここでは詩のなかでも歌詞っぽいものをまとめています。
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#オリジナル

火炎舞踏会

永遠に焼かれる業火の中で
高らかに笑う誰かがいる
燃える身体など気に留めず
素顔を覆い隠している

炎に焦げる痛みすら
楽しんでいるかのよう
優雅に飛び廻る
赤銅のマスカレイド

記憶を失い、這い上がる
術を忘れても
煤けた心を躍らせる
狂おしいほどのカリスマ

マスカレイド…
両手を広げ、物憂げに俯き
口ずさむ天使のメロディー
彼を知る者はいない

嗚呼、マスカレイド…
埃積もった開かずの部屋

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屋根裏の部屋

埃かぶった屋根裏は
僕の大事な秘密基地
息が詰まるといつもこうして
頭隠して泣くんだ

今日も一人でお留守番
扉が閉まる、昼下がり
父と母と姉の三人を
僕は窓の外から覗き込む

いつまで僕は一人きり
朝も昼も夜も
時々、不意に殴る拳が
痛い、痛いよ、ごめんなさい
いい子にするね

買い物から戻る車が
灰色の空を作る
また今日が終わる前に
僕は声を殺して泣くんだ

いつまで僕は一人きり
朝も昼も夜も

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