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診断名と症状が一致しないことある? 理学療法

今回は診断名や病名と実際に起こっている症状が必ずしも一致しないことがあることについてお話します。

結論下記の内容が重要であると考えます。

・診断名や検査結果から予測できる症状が出ているかを評価すること
・実際の症状がどのようなメカニカルストレスで起こっているか評価すること
・メカニカルストレスが起こってしまった背景には他部位を含めて包括的に評価すること

例えば、肩腱板断裂でも無症候性のケースもあり、エコー上では病態が認められても生活に何不自由なく暮らしている方がいたり、腰椎椎間板ヘルニアでも画像上ヘルニアの所見が認められても症状がないケースはたくさんあり、論文も散見されます。

また、変形性膝関節症など荷重時痛がメイン症状の疾患でも体重をかけても痛くないが、寝ていると痛いなど、病態から予測されるメカニカルストレスと実際の現象から想定されるストレスに差があることもあります。

この間、肩石灰性腱板炎の対象者で実際にMRIで確認された方で理学療法を実施した際に挙上運動時痛が見られたものの胸郭・肩甲骨運動を補助し誘導することで疼痛なく運動が可能となった方がいました。その方は仕事で使いすぎると安静時痛も見られるということでした。

ここからわかることは、「胸郭や肩甲骨運動が不足し肩甲上腕関節が過剰に運動せざる負えなかったこと」「腱板自体には石灰性の変化があったこと」です。

さらに深掘りしていくと週5回8時間仕事をし、ほぼ立ち仕事で機械を使って清掃したり、拭き掃除をしたり、立位での活動が主でした。

そのため、立位姿勢を評価したところ上半身質量中心に対して下半身質量中心が前方に移動できず上部体幹が常に前方にあり、胸郭を伸展しながら回旋運動が出来ない状態にありました。

これらがわかることで立位姿勢自体が掃除動作での上肢過活動を引き起こしていることがよくわかると思います。
結果的に胸肋関節や胸郭側方組織へのアプローチで症状が緩和しました。

臨床をおこなっているとこういったケースがかなり多いように感じます。

養成校では、当たり前のように病態を学び、あたかもその疾患名の患者は皆同じ症状であり、同じアプローチでいいのではないかという学習形態になっていたりするのでしょうか。

目の前の事実をしっかりと受け止めて、それを仮説・検証できるよう日々鍛錬していきたいと感じました。

※この内容には個人の解釈がありますので参考程度にお願いします。


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