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アウフタクトコンサートまで一カ月&コラム

---What's new---
アウフタクトコンサートまで1カ月を切りました!感染症対策を行いながら実施いたしますので、皆様ぜひお越しください。
チケットご購入はこちらから。
ご購入に際し、チケットの詳細を必ずご確認ください。

第二回公演アウフタクトコンサート ~黄昏に~
2022年3月13日(日)13:30開場 14:00開演
於:加賀町ホール(東京都新宿区)
●曲目
シューマン 幻想小曲集Op.12
ラヴェル ヴァイオリンとチェロのためのソナタ
シューベルト ピアノ三重奏曲Op.100
●出演
伊澤悠(ピアノ)戸原直(ヴァイオリン)佐古健一(チェロ)
出演者プロフィールはProject NAKAホームページをご覧ください。
●チケット
一般3000円 学生1500円

※ピアノ・ヴァイオリン・チェロによる通常タイプのコンサートとなります。
2022年9月に行われる第二回公演~夜のしじま~への導入となるアウフタクトコンサート。ぜひ両公演を併せてお楽しみください!


---Column---
今回はアウフタクトコンサート、ならびに9月の第二回公演にご出演予定のチェリスト、佐古健一さんです。第二回公演では企画もご担当いただきます。

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【君がイチゴで僕はクリームで】

大学生の頃は、一般大学で学生オケに入っていた。インカレサークルなので、毎年春には新入生を迎える事になる。俗にいう“新歓”というやつ。
オーケストラの場合は、新入生へのアピールは部室で開く「説明会」だった。
弦、木管、金管、打楽器とそれぞれ代表者がアンサンブルを披露して、興味のある楽器に新入生が集まり説明会。精一杯、和気あいあいとした雰囲気を演出して、新入生をだます・・・もとい、興味をもってもらう。その演奏の中にはパート毎に「一言アピール」の時間も設けてあった。
ある時、弦楽器の中である‘遊び’が流行った。バイオリンから順番に喋るわけだが、そのバイオリン代表が即興で自分の楽器を何かに例える。すると続くビオラ、チェロ、コントラバスはそのお題に乗っかっていく。
例えば、「バイオリンはオケではショートケーキのイチゴみたいな役回りです。」とくる。すると「ビオラはショートケーキの生クリームです。ビオラ次第で味が決まります。」「チェロは、スポンジケーキでしょうか。土台となってイチゴとクリームを乗っけます。」ときて、最後に「コントラバスは・・・ケーキを乗せるお皿かな。ないと食べにくい。」
と、コントラバスで‘落とす’わけである。それぞれに腕を試される。
何回も開かれる説明会で、その都度どんなお題が来るのか、そこに即興でどれだけうまく乗れるか。一度バイオリンが牛丼の具、ビオラがご飯と来た時にはコントラバス代表と一緒に殺意を覚えたりした。あれはどうやって着地したのか。今となっては楽しい思い出だ。

 今、プロの演奏家となってオーケストラや室内楽など弾いていると、ふとこの遊びを思い出す時がある。あの時はあんな風に「チェロは~~です!」なんて言っていたけど、実際は、どの楽器もいつも同じ役回りなんてことはない。スポンジケーキだと思っていたら、いつの間にかイチゴになってたり。チェロの役回りだって、時代や作曲家の嗜好なんかでけっこう様々だ。もちろんバイオリンだって毎度毎度イチゴという訳にもいかないし、フルートだってお皿になる時もある。いつだったか、「どうも!メインのステーキです!」と思って弾いてたら、実は“付け合せのニンジン”でしたなんていう恥ずかしい経験も
ある。練習を重ねながら、スコアを読み、音を出し、自分は今どんな役回りなのかを1つ1つ確認していく。この作業に時間を費やしているのが一番楽しかったりする。
そしてコンサート本番でも。何を思ったのかイチゴがブドウになってたりする。クリームの甘さを抑えないと、ケーキ全体が甘すぎる。あ、もしかしてタルトにしちゃう感じ?
あれ、ステーキの様子が変だ。貴様さてはビーフじゃなくポークだな!ソースを変えねば。
なんて具合に。舞台での昂揚感、客席の反応、場合によっては天気なんかでも少しずつ演奏は変わる。
ステーキがサバ味噌になってたらさすがにお手上げだが。
美味しく召し上がっていただくために、舞台上では楽しみながらも真剣勝負だ。

 君がイチゴで僕がクリームで。あ、僕はお皿?
獲れたてはそのままで? それもいいかも。 素敵なお皿で召し上がれ。
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