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オンライン通学コース×プロジェクトN 「このスタンプかわいい!欲しい!」コメントで全国発表会チャットを埋め尽くした噂のスタンプ制作者に話を聞いてみた!

2022年1月〜3月にオンライン通学コース ベーシッククラスで実施された「気持ちの良いコミュニケーションを生むスタンプ制作プロジェクト」。
N/S高でオンライン通学コースが開始から早1年。その締めくくりとして行われたプロジェクトで生徒たちはどんなことを考え制作を進めたのか。プロジェクトで「人と違うこと」を追求・表現し、まさに気持ちの良いコミュニケーションを生む作品を全国発表会* で発表をしてくれた4名の生徒に話を聞いてきました!

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プロジェクト概要

授業の中で情報モラルやデザイン思考について学びながら、より良い社会の実現に向けて、気持ちの良いコミュニケーションの提案・啓蒙ができるようなLINEスタンプを制作。一般財団法人LINEみらい財団、「ゆかいなエヅプトくんLINEスタンプ」などで知られるサラリーマンクリエイターの吉永龍樹氏に講演・全国発表会の講評等でご協力いただき実施しました。

<インタビューを受けてくださった生徒の皆さん>
岩城さん/3年生 Kさん/学年未公開
福山さん/2年生    髙橋さん/2年生 (以下、敬称略)
* インタビューはプロジェクト終了後の5月にZOOMで実施。学年はインタビュー時のもの。一部構成を変えています。
イ:インタビュアー

1年の締めくくりは初の個人制作プロジェクト!?

-今回のプロジェクトはいかがでしたか?
髙橋:
今回は個人制作だったので最初は不安もありましたが、制作していくうちにスタンプ作りがとても楽しくなったという印象です。あと、全国発表会にも参加させていただいて、他のクラス代表の皆さんのスタンプがどんなペルソナからできているのかや工夫したところを詳しく聞けたことが、今後の制作の参考にもなるので良かったなと思ってます。

福山:全体的に一番良かったのが全国発表会に参加できたこと。その発表会に参加したおかげで、発表の前にどのくらい練習したらいいのかなど分かったり、自信につながったと思います。

K:初めての個人制作だったことは私もちょっと不安がありました。でも、自分で趣味程度にイラストを描くことはあるにしても、制作した後に買う人がいる想定*2 で制作する視点はこれまでになく、そういう意味で楽しかったなって思います。

岩城:最初、個人ワークでイラストを描くと聞いた時、「マジか」と思いました。イラストを Twitterなどで見るのは好きでも、子どもの頃から描くのは苦手....そこがネックでどうしようか悩んだっていうか、図形を使って絵を描いている人もいたんですけど、それじゃちょっと味気ない。やっぱり人とちょっと違うものを作りたいと思ってなんとかやり遂げました。

無題のプレゼンテーション

自分にしか作れないユニークなスタンプを追求!

−みなさん素敵な作品ばかりでしたが、最終的に完成するまでどのように制作進めたのか気になります!工夫したところ、難しかった部分はありますか?

岩城:あのフォルムを採用したのは良かったなっては思います。あと、周囲にも色々言われたところではありますが、色合いやあえて雑に塗った感じも意識したポイントですね。自分の感覚としては、自分のできる範囲で作れるものを作ったっていう感じなんですけど、色合いとかフォルムなど狙って堅実に作ったねとプロのクリエイターの人達に褒めてもらって、何かこういう方向性もあるんだっていうのはすごく思いましたね。

岩城

▲  様々な表情のまるっこいスタンプを8個制作した中で一推しのスタンプは「赤い鬼子」と岩城さん。絶妙な表情でちょっとした気持ちを伝えられ、かつ受け取った方も素直にごめんねという自然な流れで言えそうなスタンプです。みんなが楽しい・嬉しいというようなポジティブな感情だけが「気持ちの良いコミュニケーション」ではなく、これも一種の気持ちの良いコミュニケーションと教えていただいたような気がします。

K: 私は、最初の方にちょっと体調崩してて授業とか出れてなくて、ペルソナを考えるという大事なところが抜けてたんですね。そこで、自分っぽい人に向けて作るには何がいいかなっていう点から始まったんです。”学生で、面白いことや可愛いものが好きな人”をペルソナに設定して、モチーフは動物としました。

ただ、猫や犬はみんな作ってくるでしょって思って。人とは違ったもの...を思った時に南極にいるような生き物に決めました。シロクマとかペンギンとかもバーっと描いてみて、その中の一つにあの子がいて。笑。でもただのアザラシではつまらない。ちょっと面白いことが好きなので、もうちょっと捻りたいなと思って、じゃあ髪の毛生やすかとなりました!

無題の図形描画 (4)

▲  Kさんが「あの子」と愛情を込めて呼ぶ、ゴマアザラシらしい「ゴマしい」。形だけでなく、髪型も色々なものに変化していて、コンセプトにあったユニークなスタンプでした。いち推しの一つは、右のユルッとしたスタンプ。疲れてしまって、通常ついているオシャレエクステ!? (左図)も外してしまっている状態とか。発表会ではチャットでの反響も大きく、そのユニークさに衝撃を受けた人も多数いました。

高橋:私が作りたいスタンプが柔らかい印象のものだったので、どうしたらイメージに近い物ができるかと考えるところが大変でしたまず自分が持ってる柔らかい印象のLINEスタンプを見てみたんですね。そこから動物は癒されることと、柔らかい印象になる描き方を知って。ただ、Kさんも言っていたけれど、動物は猫や犬はもうスタンプで作られてるのが多くて。次に思いついた鳥のシマエナガも意外とスタンプ作られていて、エナガに辿り着きました。イメージしたようにかわいらしい印象で描けて、うまくいったなって思いました。
あと色の彩度が高いと目に刺激があるっていうのを聞いたことがあって、なるべく彩度を落としてこうと気を付けて塗りました

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▲ 髙橋さんいち推しのスタンプは、イメージの通りにかわいらしく表現できたという右のお辞儀をしているもの。
高橋さんはスタンプを8個制作し、授業終了後に無事にスタンプ登録申請も完了。自身でも使ってみたところ、受け取った相手からは「かわいい」の反響があったとか。愛着のあるスタンプを褒めてもらえて両者ともに気持ちが良いコミュニケーションが生まれたようです。

イ:全国発表会のゲストにも、ものすごく上品さ・インテリジェンスを感じるスタンプと嬉しい言葉を掛けてもらっていましたね!

福山:私はLINEスタンプの登録・販売は最大で40個っていうの聞いて、せっかくだから40個まで頑張ろうかなって思いました。同じキャラクターを40個を描くことを考えたとき、まずどんな色とも合う白色にしように決めて。あと、どんな表情も描きやすいような感じのキャラにしたことが工夫した点です
ただ、なかなかキャラクターが決まらなくて、自分が暇な時にいろいろ書いてた落書きを見たらこの大根の絵があって、葉っぱを大きくしたり、シンプルにして今のデザインに進化させたんです。それで愛着が出てきて、私のこのキャラクター見てくれ!と思ったことが全国発表会に出たい気持ちに繋がりました。

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▲ 福山さんのいち推しスタンプは、左上にある躍動感たっぷりのこちら。まずは紙を使って、日常的に使う言葉、言葉で伝えれない感情やをたくさん書いたそうです。その一つに「だからお前は人参どまりなんだ」「誤字王」という、スタンプの個性を出せそうなアイデアもたくさん出したとのこと。

福山:あとは、発表の時にやっぱり緊張してしまったんですけど、自分でもびっくりするぐらい言いたいことがスラスラ出てきてきちんと伝えられたことがうまくいったと思います。クラスですごく発表が上手な人って全然緊張した感じで話してないので、それをどうにか真似ようとしていました。なんだろう上手い人から真似るって一番上達の最短ルートというか、いい方法かなと感じました。

K: 授業でも確か言っていましたよね。「真似よう」って。

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▲ 授業のスタートはアイスブレイクから始まることも多いプロジェクトN。イラストやデザインの得意な生徒も多いN/S高。チャットにコツを投稿・シェアしてもらうことで、得意な生徒から学べることも、クラスメイトとクラスで一緒に活動するプロジェクトNならではです!

イ:真似したからといってすぐにその人と同じようにはできないかもしれないけれど、まずは真似をしてみて、あとは自分に合うように工夫していく。今後も使っていってほしいスキルなので、授業のアイスブレイクに入れていましたね。細かな授業の内容を覚えていてくださっていて嬉しいです!

自発的な行動の原動力とは

Kさんはスライドに自分なりのプロジェクト結論を入れたり、髙橋さんと福山さんはクオリティ高いイラストをいくつも描いたり、岩城さんは終了前にスタンプの申請・登録したり、自発的に授業として期待されること以上のことを実行していたことも印象的でした。
- そのモチベーションはどこからきたものなのでしょう?

岩城:
授業終了前にスタンプ申請をしたのは、フィードバック*3 をもらって8個すべて書き直せた時に、意外と時間が余ってるし出してみるかっていうので、やってみたって感じですね。時間があったからその先のステップに進んだ結果という感じで、特に大きなモチベーションがあったわけではないです笑。あと過去に友人たちとノリで写真を集めて、スマホアプリでスタンプ制作を作って送り合ったりしたこともありました。

イ:その時の経験も活きていたのですね。ちなみに新しいスタンプの売れ行きはどうでしたか。

岩城:宣伝をしたところでは買ってもらえましたね。

髙橋:スタンプは授業の中では、1個だけでもいいっていうのは確かに出てきていたんですけど、8個あれば売ることも可能だということを聞いて、自分で作ったスタンプ売ってみたいなって思ったことがただただの原動力でした笑。

福山:私は、その全国発表会に参加できたらクリエイターの方から一言もらえるっていうのがすごい貴重な体験だなって思って。そこで自分の思ってることを全部伝えたいっていう気持ちが大きくなったので、発表とかも頑張れたのかなって思います。

K: 私も福山さんとほぼ同じ理由で、全国発表会に出て目立ちたい、人と違うことをしたい!という想いがあり、頑張って8個完成させようと。プロNの発表会に限らず、もの作りシェア*4 でもなんでもそうなんですが、自分にしかできないことをしたいと思うとどんどん頑張れちゃいます。笑。

▲ 全国発表会の様子。個人での発表は緊張したと言う声も多く聞かれましたが、そんな雰囲気を微塵も見せない堂々とした発表っぷりの皆さんでした。発表のあとにはその場に居た人々がまさに素敵な・温かな気持ちになりました!

成長実感はプロジェクトへの向き合い方次第!

-今年度様々なプロNを経験して、どんな自身の成長を感じましたか?
髙橋:
全体的にプロNを通して成長したっていう感じるのがあって、特にプレゼンテーション能力とコミュニケーションスキルが前よりも上がったんじゃないかなとこの1年のプロNを通して思いました。前までは人前で話したり、発表したりっていうことに対して、すごく苦手意識を持っていたんですけど、プロNを通してこう全国発表会とかいきなり出たりして、選ばれちゃったからやるしかないので鍛えられました。

岩城:デジタルツールっていうんですかね。そういうのは、結構使えるようにはなったかなと思います。
あとは、役割分担や自分の立ち位置を学べたかと。プロNだけでなく他の21世紀スキルプログラムの授業でもありますけど、グループワークではみんなの意見を聞いてパパパってワークシートにまとめて書く立ち位置でよくやってます。記録係やることで自分の脳内整理もできて、アイデアが浮かんできたりするっていうのが、自分の立場としてあってるのかなと気づけました

福山:今回は、個人制作だったんですけど、それまでのプロNが全てグループで制作して作品を完成したことが一番成長につながったなと思います。最初はなかなか意見が一つにまとまらなくて苦戦しました。どうやったら作業をスムーズに進められるかということを考えたりして、その点は成長につながったのかなって思います。

あと、最後の個人制作の方は、計画を立てる、計画を実行する力が身に付いたというか、計画が大事だなと気付きました。制作に入る前にどういうスタンプを作りたいっていうこととかをまとめてたので、迷わずに、今日はこのスタンプ書こうみたいな感じスムーズに作業ができました

K:  私は成長を感じた点が3つあります。1つは、みんなも言っている話し合いや意見をまとめるスキル。2つ目は、設定した課題に対して、ペルソナを意識して向き合って解決策を見つけていくところがすごく伸びたかなと感じています。それまでは、内に秘めてるそのアイデアを披露したいってだけで作ってきたものって結構あったので。

あとは、解決策や作品にオリジナリティを出すという点。1クオーターの「推しジャパンプロジェクト」では、コラボ先のるるぶさんに寄せた形で作ったんです。グループでも私自身もそれが良いことと思っていました。でも他の人たちの作品を見たり、フィードバックもいただいた上で、改めて考えると真似できることもすごいけれど、他のオリジナル性が作品の方が魅力的だということ。今回は、自分の個性を爆発させた作品が評価されて、よかったなと思いました。

オン通4Q_01_導入_講演 (2)

▲  プロジェクトNが提唱する、現在の社会に必要な5つのスキルフレーム。「TEPIC」は、Thinking(思考力)・Expression(表現力)・Project Management(進行管理力)・IT skill(ITスキル)・Communication(コミュニケーション力)のそれぞれの頭文字を表している。

-プロNで成長を感じてきたみなさん。どのようにプロジェクトに向き合ったら成長を実感できるようになると思いますか?

岩城:一旦終わらせてみることと何回か作ってみるっていうのは大事かなとか思いますね。一回作品が出来上がって、細かいところをアップデートしていくと、一番最初のやつよりは良くなったやんみたいな。そういう状況ができると思うんで、成長を感じれるのかなと思います。

1発目でハイクオリティーのものを出そうと、自分の中で考えてる人もいるとは思うんですけど、とりあえず出してみて、フィードバックもらったりして、そうすると他の目線からじゃないと気づかないことって本当にたくさんあると気づけます。

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▲ 今回のプロジェクトでは複数回、相互フィードバックをもらえる機会を作りました。初回は、制作に本格的に入る前にモチーフやアイデアスケッチをした段階で、生徒同士だけでなく、TA(Teaching Assistant) と呼ばれる学生のサポートスタッフからもフィードバックをもらいました!

福山:グループワークがあったら、今日は一回は発言するとか、デザインを考えることを頑張ろうとか、そのプロNに対して毎回目標を決めて取り組んだら興味がなかったりといってはなんなんですが、やる気がないなって思った時も、これはちゃんとやろうって思えて向き合えるような気がします。

K:私も福山さんと同じで目標設定ってのは大事だと思います。高い目標じゃなくても、これできたら成長してるなって思えるラインで設定するといいかなっていうのと。

あとは、自分の意見を発言するってのがすごい大事だと思います。難しくても言葉にして誰かに伝える、共有してフィードバックをもらうことで成長って感じられると思います。今日の授業でもやってたんですけど、発言量と満足度が比例するというデータがあるという話を聞きました

髙橋:自分から積極的に行動することが大事だと思いますね。意見を出したり、あとは全国発表会のクラス代表者に立候補してみるとか、そうすると自分のスキルを高める機会が増えて成長を実感できるんじゃないかなと私は思います。

これからについて

- 最後に、プロNに限らず今後頑張っていきたいことなどを聞かせてください
髙橋:
将来の夢・なりたい仕事に向けて、CGモデリングの勉強を今しています。今後もいろんなスキルを身につけたり、独自に勉強したりっていうのを頑張っていきたいです!

福山:このLINEスタンプを完成させて売るという想いが再燃しました。今、まだ作りかけで中途半端なので一番最後の売るところまでやるっていうこと頑張ります。

イ:全国発表会のときのチャットの反響、スタンプ欲しい!という声が多かったのも記憶しています。ファンは待っていますよ。笑。

K:私はスタンプ制作はやり切ったので、好きなダンスで何か成果を出せたらいいなと思って密かに色々準備しています。

岩城:個人的にはすごいBlenderが好きで。平面より立体のグラフィックがすごい好きで自分で作ってみたりとかYoutubeとか見ながら作ってみたりはしたんですけど、3DモデリングのプロNがあったらありがたいなとか思います。

イ:余談ですが、中等部通学コースでBlenderではないんですが、Tinkercadで「未来のワクワクする学びの場」を制作するプロジェクトNを実施する予定です。ちなみに、3Dモデリングの魅力とはなんでしょう。

岩城:3Dの魅力は、出来上がったときの滑らかさ・綺麗さをどうよって自慢できるのが好きですね。自慢できるものを作りたいです。


オン通4Q_08_全国発表会 (3)

*1 全国発表会:オンライン通学コースの全9クラスの代表が集い、プレゼンテーションを披露する特別な発表会のこと。クォーター最後の授業として実施しました。
*2 買う人がいる想定:授業の中では、一人一つスタンプの絵柄を完成させることを目標に実施。LINEクリエイターズスタンプの登録申請については保護者と相談の上、任意としていました。
*3 フィードバックをもらう:個人制作とはいえ、スタンプは使う人あってのもの。複数回グループでフィードバックを送り合うワークを取り入れて、作品を改善しながら制作を進めていきました。
*4 もの作りシェア:プログラミング授業で制作した作品の共有会のこと。

インタビュー後記

岩城さん、Kさん、髙橋さん、福山さんに話を聞いて特に印象的だったのは「人と違うことをしよう!」「前回のプロジェクトよりも成長しよう」という意気込みと真摯にプロジェクトに向き合う姿勢。その結果として、納得のできる作品や全国発表会にクラス代表として選出、結果がついてきたということが分かりました。そんな彼らとインタビューを通じてじっくり話をすることで、今後も生徒の皆さんにとって成長や刺激となるようなプロジェクトNを制作したいと思いを新たにしたインタビュアーでした。
現在も新たなプロジェクトN「未来の家具を作ろう」プロジェクトや自身の活動にそれぞれ邁進してキラキラしている4名の今後の活躍が楽しみです。心より応援しています。ありがとうございました!

同プロジェクトの他の作品はプロジェクトN Twitterアカウント(@) やInstagramアカウント(@projectn_works) で紹介しています。興味のある方はぜひ覗いてみてくださいね。





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