日本と西洋の政党の違い

昨日の記事では西洋人と日本人の世界観の違いを取り上げたが、この違いは政党のあり方の違いと、選挙制度改革が期待通りにならなかったことにつながっている。

30年前の改革では、衆議院の選挙制度が個人本位になりがちな日本独特の(遅れた)中選挙区制から、政策本位・政党本位の米英型の(進んだ)小選挙区制に変えられたが、それによって日本の政治と政治家の質が上がったとする肯定的な評価はほとんど見られない(むしろその逆)。

そうなってしまった根本理由として、日本の精神風土には「理念に基づいた組織運営を行う政党」が合わないことが挙げられる。

党の運営は党の理念に沿って事務局が行い、そこで決まったことを候補者や議員が発信するという仕組みを目指していた神谷氏。

その観点から見たときに、参考になる政党として神谷氏が挙げたのは公明党と共産党です。

イデオロギーは違えど、理念に基づいた組織運営を行う政党として参考にする部分は多々あるようです。

https://go2senkyo.com/articles/2023/10/31/88649.html

西洋の政党が「理念に基づいた組織運営」になるのは、西洋人が「正しいと信じる」理念・思想・イデオロギー(昔はキリスト教)によって社会をつくらなければならないと考えているからで、政党は各教派の教会が世俗化されたようなものと言える。必然的に、選挙は個人本位ではなく政党本位になる。

これに対して、日本には西洋のような「思想体系に基づいて社会を設計・構築する」という観念がないので、選挙は政党本位にはなりにくく、それよりも個人本位(個人を選ぶ)がしっくりくることになる。

結局、30年前の選挙制度改革がうまくいかなかったのは、仏を作っても入れる魂がなかったからと言える。英米かぶれの東京大学の政治学者たちが予想した通りにならなかったのは必然だったわけである(その後、同じ過ちを経済構造改革でも繰り返すわけだが)。

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