ベーシックインカムと弱者ビジネス

ベーシックインカム(BI)が話題になっているのでポイントを整理する。

BIを導入することで、生活保護が不要となり、年金も要らなくなる。それらを財源にすることで、大きな財政負担なしに制度を作れる。生活保護をなくすのは強者の論理だと反論する人がいるが、それは違う。BIは事前に全員が最低限の生活ができるよう保証するので、現在のような生活保護制度はいらなくなる、ということだ。
年金を今まで積み立てた人はどうなるのかという問題が残るが、後で考えればいい。

1人に毎月7万円では年間で約100兆円の財源が必要になるが、2017年度には社会保険料と公費(税)で約120兆円の収入があり、支出も約120兆円なので、年金の2階部分の30兆円強を除いてほぼ財政中立で移行できる。

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現行の社会保障制度(年金を除く)は、

◆病気や怪我で治療が必要な人
◆介護が必要な人
◆生活苦に陥った人

などの助けを必要とする人に重点的に給付されている。しかし、BIは助けを必要としない人にも給付されるので、財政中立では助けを必要とする人への給付が減ることになる。

現行の公的保険と同等の給付を求めるなら、民間保険に加入する必要があるが、

◆公的保険は応能負担だが民間保険は応益負担になる
◆保険会社の運営コストと利益の分だけ割高になる

ことから、経済弱者ほど厳しくなる。

現行制度では社会支出の半分の約60兆円が現物給付だが、BIではこれが現金給付になるので、個々人が市場で財・サービスを購入することになる。弱者ビジネスの巨大な市場が出現するので民間企業にとっては大チャンスである。

BIが「小さな政府」を実現するためのショック・ドクトリンであることには要注意。「金は配るから後は自助で」がBIの本質である。

◆行政によるきめ細かい救済→大きな政府
◆行政は金を配るだけ(後は個々人の自由な選択に任せる)→小さな政府

自由な選択には「貧しくなる自由」も含まれる。

私が、若い人に1つだけ言いたいのは、「みなさんには貧しくなる自由がある」ということだ。「何もしたくないなら、何もしなくて大いに結構。その代わりに貧しくなるので、貧しさをエンジョイしたらいい。ただ1つだけ、そのときに頑張って成功した人の足を引っ張るな」と。


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